マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2007.12.12
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 あれは何年前のことだったか、我が家の愛犬マックスが大きなドブネズミとじゃれていたことがあった。もちろん生きているものではなかったが、なぜマックスがドブネズミの死骸と戯れていたのかは未だに謎のままだ。彼が自ら捕らえるほど機敏ではないし、ドブネズミだってわざわざ犬に捕まるようなヘマはしないはずだ。

 だが、そのドブネズミには確かに見覚えがあった。否、正確に言えば何故ドブネズミが我が家の庭に現れたのか、理由が分かっていた。我が家の庭には小さな畑があるのだが、その一角にコンポスト容器を置いている。これは台所から出る生ごみや愛犬のウンチを「原料」にして堆肥を作る道具だ。

 そのコンポスト容器には時々魚の「あら」を入れることがあるのだが、食べ物を捜していたドブネズミがたまたまその匂いに釣られて我が家までやって来たのだろう。彼らの巣は我が家から100mほど離れた小川に流れ込む「土管」の中だと思う。何故なら何人かの人が、小動物が土管を出入りする姿を見ているからだ。そしてその彼が我が家のコンポスト容器に潜り込んだことは、何回か地面に大きな穴が開けられていたことで証明されている。

 何者かが侵入したのかは分からないが、それを防ぐために私は周囲に大きな石を敷き詰めたりした。だが、案外頭の良い彼は手薄な箇所を捜して潜り込んでいた。そんな智慧の働くドブネズミが、愛犬にむざむざ捕まる訳はないのだが、結果的に彼は死骸になりマックスの玩具になってしまった。

 あれから数年経ち、そんな出来事があったことなどすっかり忘れていたのだが、今年の秋に同じような「事件」が起きた。剪定した庭木などを積んであるイチジクの根元で、ある時カサコソと言う小さな音が聞こえたことがあった。その時は特段疑問にも思わなかったのだが、数日後、コンポストの脇に小さな穴が開けられ、何者かがコンポストに侵入した痕跡が認められた。

 あの音と言い、開けられた穴と言い、きっとドブネズミの仕業に相違ない。だが、今回の穴はずいぶんと小さなものだった。2回か3回同じようなことが続いた後、私は意地悪をしていつも穴を開ける辺りに大石を置いてみた。それ以来ドブネズミが来た様子はなく、カサコソと言う微かな音も聞こえなくなった。きっと小さなドブネズミは諦めてしまったのだろう。

 その少し前、取っている新聞にドブネズミの親子が新しい巣を求めて冒険すると言う内容の小説が連載されていた。タイトルは「川の光」だった。ふとあの話を思い出して、ドブネズミ親子には悪いことをしたなあと言う気になった。その庭も今ではすっかり木々の葉が落ち、淋しい冬景色に変わってしまった。





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Last updated  2007.12.12 17:23:23
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