マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2010.04.26
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カテゴリ: 日本史全般



 吉村昭著「ふぉん・しいほるとの娘」の下巻を読書中であることは前にも書いた。最後まで読んでないためどんな結末になるのか分からないが、楽しみでもある。さて、シーボルトが長崎滞在中に愛妾其扇(そのおおぎ=本名お滝)と出会い、2人の間に女児お稲が誕生する。

 シーボルトはその後国外追放処分となるが、やがて成人した稲は我が国最初の女医として活躍する。明治新政府誕生後再び日本を訪れたシーボルトは、お滝や稲と再会するようだ。このように本書の観点の一つが、シーボルトとお滝親子との交流。仮にこれを縦糸の「経」としよう。

 もう一つの観点は当時の日本と世界の状況。これが横糸の「緯」だ。著者は縦と横の糸を巧みに織り成して、この小説をより鮮明で緻密なものした。この小説を書くに当たり著者は様々な文献を調査し、中には初めて発掘した資料もあったと聞く。その執念こそが小説を面白くし、幕末から明治に渡る緊迫した歴史に光を当てる。

 シーボルトがオランダの密命を受けて日本に関するあらゆる資料を手に入れようと画策し、国禁の日本地図などを入手する動きにはハラハラさせられた。そしてそれに協力したために死罪などの重罰を受けた門弟達の苦しみに胸を打たれた。鎖国体制を守りぬこうとする日本と、何とか開国に追い込もうとする先進国との息詰まる戦いがその背景にあったのだろう。

 これは小説と言うより歴史的ドラマそのもので、まさに「事実は小説より奇なり」の典型か。この小説から学ぶ点はとても多いし、著者の執念には頭が下がる思いだ。上下合わせて千ページ以上読んだが、まだ400ページ以上も紙数が残っている。これほど壮大なドラマに巡り会えたことに感謝している。

 この後読む予定の本は、オールコック著「大君の都」全3巻とアーネスト・サトウ著「一外交官の見た明治維新」全2巻。共に幕末から明治期に日本へ派遣されたイギリスの外交官が書いた本。内容が専門的なのに加えて訳文も古く、きっと読破には難渋するはず。少なくても1年半はかかると覚悟している。外国人の目から見て当時の日本はどう映ったのだろう。新たな知見が深まることを期待している。







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Last updated  2010.04.26 16:59:46 コメント(2) | コメントを書く


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