椿荘日記

椿荘日記

美容室とマリ


マリは十代になってから髪質が急に変わって、いわゆる「縮毛」になってしまいまして、父からの遺伝が強いのでしょうけれど、年齢に伴う変化の余波もあったのでしょうね。
いずれにせよ、そのままではとてもスタイリング出来ず、20代半ばまでは観念して、編みこむなどの措置で堪え、それ以降は良い薬剤が開発されたのを機に、所謂ストレートパーマ=縮毛矯正で、やっと扱いやすい真っ直ぐな髪質を得て、今日に至ります。

「救世主」のような矯正技術ですが、やはり難点がありまして、価格が高いこと(ストレートパーマの平均価格の三倍以上ですので)と、中々難しい技術らしく、最近はマリの住んでいる地域の美容室でも扱っているようなのですが、やはり二十代からお世話になっている、都内の美容室の高い技術には比べ様も無く、今や自宅からすっかり遠くなってしまった為に、いつもぎりぎりまで我慢してから(矯正した後に伸びてきた部分は、当然元の毛質のままです)行くのですが、施術の時間がカラーリングを含め4時間近く掛かるのを、ほぼ座り通しの辛い状態で、堪えなければならないということです。

今回もその難行苦行を強いられるのを覚悟しつつ、東海道、山の手と乗り継いで(湘南新宿線の開通により~とは言え在来線への乗り入れですけれど~新宿と渋谷方面に出るのがとても楽になりましたが、この日は生憎時間が合わず、何時もの品川経由となりました)向かい、所在地である渋谷に、予約の時間より大分早く着きましたので、階下の「PRONTO」でコーヒーを頂く余裕も出来、幸先は良しです(下手をすると給水もままなりません)。

このお店のチーフである、マリを何時も担当してくれる女性の技術者さんとは、本当に長いお付き合いで、マリよりかなり年上のはずなのですが、初めてお会いした当時と、全く変らぬ若々しさと、美しさで(本当に信じられないくらいです。対抗し得るのは、かの「由美かおる」だけでしょうか~笑)にこやかに迎えてくれます。

早速シャンプー台に乗せられ、洗い上げた髪に薬剤を塗布するのですが(縮毛の髪は、アミノ酸配列が直毛と違うそうで、薬剤で一旦切断、その後に正しく付け直すそうです。今は信じられないようなことが出来るのですね)、この薬液の量が尋常でなく、3リットルほどのタンクにたっぷりある粘性の強い液体を、全部塗布するわけですから、首が痛くなるほどの重量です。
この段階で、かなり長時間放置され(この辺りから、昔失敗した、家庭用縮毛矯正剤とは訳が違うことがわかります)、また薬を足して(!)、同じくらい置き、その後また洗髪して、ブロー、別の薬剤を塗布され洗髪と、放置時間も含めもう1時間半、既にトータルで3時間近く経過しています。

その間、マリは何をしているのかと申しますと、例のごとく目の前に山積みにされた、女性雑誌を覗いているわけですが、日頃から女性誌を殆ど読まないマリですので、やはりぱらぱらとめくるだけで(たまに面白い記事にぶつかりますと、ちょっと集中したりしますが、直に飽きてしまいます)、後はもっぱら、窓の外を行く人や車、久し振りの渋谷の町をぼんやり眺め、考え事をしたり、うつらうつら(特にブローの時は、ドライヤーの熱で睡魔に襲われて、がくがくなりながら~苦笑~堪えなければなりません)したりと、まるで悠長な休息のようです。
けれど、相変わらず首から上は固定されているわけで(笑)、これで自由に動ければさして問題も無いのですが、同じ姿勢で座り通しというのは本当に消耗してしまいますね。

そう、お店の方とお話しに興じられる方も多く見られますけれど、マリは人見知りが強いですし、あまり親しげに話しかけられると困惑してしまう方ですので、担当の方も以前から、良くそれを理解して下さって、二言三言近況をお知らせするだけで済み、とても気楽です(それもあって余計に美容室を変えられないのでしょうね)。

さて、やっと最後の工程、カラーリングとカットですが、息子を出産した直後から、余り見えない所ですけれど、白髪が出始めまして、酸性カラーを掛けて目立たなくさせています。

カットは、本当に期間が空き過ぎたせいか、傷みが目立ち、お薦めで、久し振りにばっさりと切ってしまいました。
以前の日記の画像(小さいですけれど)でもお判りになったかもしれませんが、マリは大概、髪を結っていますので、肩先のダウンスタイルは本当に何年振りでしょうか。
髪を乾かして、スタイリングした後鏡を覗きこみ、満足出来る仕上がりに、思わず笑顔になり疲労も吹き飛ぶ様です。
今日は、前回との期間が空き過ぎた為の、大幅な超過時間も含めまして、全工程4時間以上の大施術(!)でした。

お店の方々にお礼を述べ、日の落ち始めた街に、久し振りのすっかり軽くなった髪型で踏み出せば、気分も高揚して、このまま遊びに行きたいほどでしたけれど、時間も迫っていますし、懐かしくも騒々しい渋谷の町に別れを告げ、早々に東海道線、特別車両のシートに麦酒を片手に座っていました。

さて、その新しいヘアスタイルですけれど、家人や知人、先生には概ね好評で気を良くしているマリでしたが、「年相応」になったとの感想もあり、一体どちらに?とは邪推が過ぎるかもしれません(笑)。







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