椿荘日記

特別車両とマリ

マリも東海道線に最寄駅から乗り込む時、今回のような、ちょっと頭を使わなければならない込み入った用件の時以外は、百鬼園先生を見倣って麦酒を買いこみ（笑）、特別車両で出掛けます。
特別車両利用は、特に患ってから増えたのですが、それ以降もその快適さ故にしばしは利用しています。
最近は、「デイタイムグリーン」というサービスが始まってかなり定着したらしく、お昼間でも随分利用者が増えましたが、それでも、快適さは損なわれていませんので、ＣＤを聞きながら「夕鶴」の台本を読んだり、軽く食事をしたりと、一般車両とは違った気楽さで過ごせますので、品川、新橋までの一時間余りの時間を殆ど退屈せずに済みます。
今週末は、やはり目的のない「阿房列車」ではないのですけれど、浦和と東京でそれぞれ行われるコンサートが二つありますので、鉄道を使う機会がまだあり、それだけでも今から楽しみです。

さて、今回の目的ですが、以前お話しした通り、マリはあるダンス関連の団体の衣装制作に関わっておりまして（察しの良い方は、もうお気付きかもしれませんね。でもマリは演技者ではありません）、今年も、夏にある最大のイベントの為の衣装制作に、余程人手が足りないのか、引退したマリまで結局駆り出されまして、サンプルを一体分仕上げなくてはならなくなり、その材料調達に生地などの問屋街がある、田原町に向かったのでした。

マリが以前良く利用していたお店は舞台衣装専門ですが、小売もしてくれますし、かの大手「ユ○○ヤ」の仕入れ先とあって、品数も豊富で、勿論問屋さんですからお値段も安く、特に今回出向いて驚いたのが、以前訪れた時は、いかにも問屋さんといった風情の、畳敷きの店舗に帳場があり（生地を見る時は靴を脱いで上がります）、皆さん正座して事務を執り行っており、古びた急な階段を上った二階は倉庫といった、昔ながらのスタイルだったものが、がらりと変っていたことです。
つい最近の改装なのでしょう、畳みはすっかり取り除けられ、以前より沢山の品物が店頭に並び、倉庫だった二階もショールームになって開放されて、随分見やすく、明るくなりました。
丁度値引きの日でしたので、店内にお客様も結構いて、先客に混じってマリも目的の品物を選る事に。
そう、予算の問題で使いたくても使えず諦めていた生地に「「ユ○○ヤ」の三分の一の値札が着いていて、そこからさらに値引きしてもらえますので最終的には４分の一を切る事になりました！
ああ、嬉しい！様々な理由で（色が鮮やか、しわになりにくいなど）どうしてもこれ、と思っていましたので、わざわざ遠くから二時間近い時間を掛けてやってきた甲斐がありました。
この日は夜に、制作を手伝ってくれているメンバーが来ますので、胸をはって成果を伝えられそうです。
その他にも、ラメ生地やブレード等の付属品など物色し、持てる分だけ買いこんで、また東海道に乗りこむ為、元来た道を寄り道もせず引き返します（途中、日本橋、銀座など、魅力的な、つい、と思う場所もあるのですけれど）。

新橋の駅で麦酒を買いこみ、何時もの特別車両のシートに納まって、今日の収穫に満足しつつ、一人で乾杯し、美味しい一杯を頂きました。
都内ですので、至る所に寄ってみたい素敵なカフェやお店はあるのですけれど、単独でもありますし、何よりも「専有スペース」で寛ぎながら麦酒を飲み、好きな音楽を聞いて、しかもそのまま家に帰れますので（！）、これほど願ったり叶ったりの状態はありません（笑）。
以前はずっと私鉄でしたし、鉄道は唯、移動、輸送手段の一つと考えていましたので、ＪＲ東海道線の沿線の住民となった今、快適に過ごす場でもあることを認識し、「贅沢かしら」と多少の後ろめたさもあるのですけれど、他で倹約すればいいからと言い訳も含みまして（苦笑）、マリの「阿房列車行」は当面止まること知らずでしょうね。

そうそう、問屋街で割安で購入しても、交通費に懸かったら何にもならないとのお声が聞こえそうですけれど、当然のことながら「エクストラチャージ」は、経費として計上致しません。
何しろ「阿房（阿呆）列車」ですので（笑）。

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