椿荘日記

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アトリエのお引越しに思うこと~その顛末


経費節約と引越しの性質上(ゴミ等が大量に出る為)、業者は使わず、何時もお世話になっている茅ヶ崎市議会の議員氏と、その知人達(先生とは、その会合で引き合わせて頂きました)に助力をお願い致しました。

工場経営をなさっているA氏、その義兄に当るW氏、議員氏の私設秘書のようなことをしているT氏(マリと同い年の、気の置けない飲み友達でもあります)、のお三方と午前9時に議員氏の自宅で待ち合わせ、早速アトリエに向かい作業開始です。
余りの荷物の多さに唖然とする四氏とバツが悪そうにしている先生を残し、マリは受け入れ先である先生のお宅にお掃除と整理整頓に。

移動の為、既に空にされかけた戸棚に残るブロンズや乾漆塑像などの美術品(先生の作家仲間の方々の作品です)や、作家物の陶器などを慎重に取りだして、安全な場所に仮置きし、不燃ゴミを詰めた袋を幾つも外に出し、この2、3日の引越し騒動の為台所の流しに放置されていた山積みの食器を洗いました。

埃だらけの棚や床を掃除していると、大荷物を積んだトラックがやってきました。
T氏がぼやきながら「もっと前から準備していてくれていればいいのに」と入ってきます。「私も引っ越すと伺ったのはつい先週なのよ。それから二人で梱包し始めたのだけれど、とてもとても・・」とマリも答え、二人でやれやれという顔で見合ってしまいました。
確かに三月末というのは、とても切りがいいですし、最終の土日はマリも予定がありますので、この土曜日しかなかったのです。
今回の、この急な引越しは、車も出すし手伝うからとの、議員氏の強力な押しがあったからこそ実現したので、もしそうでなかったら、先生の性格上(いつもおっとり構えておいでなので)またずっと先延ばしになっていた可能性は大きいでしょうね。

そんな先生も今日は、逞しい(?)議員氏とそのお仲間に囲まれて、荷物の積み下ろしや、書架や大型の家具の据え置きや組み立てに大童です。いつもは、少し頼りない(笑)ご様子ですが、指図をしたり、議員氏とともに率先して働く姿に、僭越ながら見直す思いです(ご自身のお引越しですから当然といえば、当然ですが)。
かの議員氏も、全くの無償のご奉仕といえる今回のことに、お三方と共に一生懸命打ちこんでおいでの姿に、誠実さと人間性を感じました。
マリも工場経営者のA氏に「やあ○○さん(マリの本名です)の、台所で一生懸命掃除したりしている姿をみて、やっぱり主婦なんだなあと思ったよ」との誉め言葉(?)を頂き(苦笑)、少し株を上げたようです。

とはいえ、このお引越しで人様の住居をお掃除し、衣服を整理し、台所で洗い物(マリがアトリエで何時もしているお皿洗いとは、絵の具の溶き皿のことですので)をしていると、「何故?」と、ふと首を傾げたくなる瞬間があるのは否めません。
でも、皆でこうやって一生懸命にお手伝いをし、済まなそうに、しかし嬉しげにしている先生を見て、これはやはり先生の人徳なのだなとマリは思うのでした。

それにしても、今回のお引越しで生じた不要となった物の量の凄いこと。
中型トラックに一杯に積んでも、まだまだ残りはあります。
今度の水曜日に、また議員氏が手伝いに来ると仰って下さったので、先生と共に弟子として感謝しつつ、ゴミと化した不用品の山に少々心苦しさも感じるのでした。

平成13年3月24日(日)記




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