椿荘日記

気分は○○？（マリの採集日記）

マリの住む地域は、田舎（笑）のせいか、実に様々なスタイルの公園があります。
少し離れた場所の、国道沿いにある、名前から察するにお城址と思われる公園は、凝った造りの東屋（釣殿風です）がある心字池が特徴で、マリの大のお気に入りですが、もう一つのお気に入り、谷間の休耕田を使った豊富な涌き水の流れが特徴の公園は、あやめや菖蒲で知られる野趣に富んだ拵えですが、実はもう一つ、素敵な特徴があるのでした。
それは菖蒲田の真中の清流沿いに自生するクレソンの群落で、丁度季節的には今が「食べごろ」なのです（笑）。

軽井沢滞在で、すっかり野草づいてしまった様に見えますけれど、クレソンは昨年の五月に、先生と写生に来て見つけて以来の楽しみとなり、昨日お誘いを（？）受けていって参りました。
昨年見つけた時は、余りの茂り方に、栽培しているのかと思ったのですが、丁度手入れの最中の管理の方の足元に、他の雑草やセリと共に根こそぎに引き抜かれたクレソンが、大量に転がされているのを見て、これは頂いても大丈夫そうということになり、早速「採集」に。

とはいえ、菖蒲田に下りては行けないことになっているので、こっそりと（いけないですね）、他の植物を踏まない様に用心しながら、採集（先生です）し、アトリエに帰って試食したところ、鮮度はもちろんのこと、お味も香りも素晴らしく、すっかり病み付きになってしまい、では今年も、という運びとなりました。

こういうことでも息のぴったりあった「師弟」は、紙袋（半透明ビニールでは流石にバツが悪いので）をぶら下げ、マリは何時もの黒尽くめに日傘（？）という、幾分後ろめたい事をするには全く不適当な姿で（笑）、園内を連れ立って、目的地に向かって歩を進めます。

良いお天気のせいか、平日にも関わらず利用者が何組か、まだ咲かない菖蒲田を覗き込んだり、写真を撮ったりしていました。
田の中では、管理の方が腰を屈めて草取りに余念がありません。
マリと先生は、訳ある人のように周りの様子を伺いながら、何食わぬ顔で「ターゲット」を確認、最適な状況になるまで「待機」です（笑）。
黒装束に日傘をさしたマリは見張り役、実行犯（気分は殆ど○○ですね～苦笑）は先生です。
八橋のように組まれた歩道の下に、川が流れ、その流れ沿いにクレソンは生えていますので、一旦飛び降りて身を屈めてしまえば、目立ちません（笑）。
マリと先生は、ドキドキしながら、断続的に行き交う人の目を掠めて、食べられる分だけを奪取するのに成功しました（笑）。

いい年の大人が本当に可笑しいですね。
「雑草」だったらお断りして堂々と、いう声が聞こえそうですけれど、以前、茅ヶ崎の椿園で、掃き寄せてはゴミと一緒に捨てている落花（柵内ではなく通路内です）を、拾ってもいいですか、きちんと伺ったら、にべも無く断られたことがありまして、まるで子供じみていますけれど、どうしても好物の前には、大人らしい分別も吹き飛んで、つい強引になってしまいます。
それに、二人とも悪戯盛りの子供時代に戻ったようで、妙に興奮し、楽しかったのも否めません。

とは言え、大人として、とても大声では自慢できるお話しではないので、今日の日記の気持ちは「ないしょ」マークでしょうか（苦笑）。

平成13年5月14日（火）記

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