手書き文房具推奨委員会

2009.07.11
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バウハウス.JPG




さっそく電車とバスを乗り継いで某市某美術館にバウハウス展を観に行ってやろうというわけで、その週の土曜日、朝の8:30に起床し、電車とバスを乗り継いで某市某美術館にバウハウス展を観に行ってきた次第です。

バウハウスというのは、1919年にドイツのワイマールというところに設立された芸術と建築に関する学校です。
芸術の学校と言ってもバウハウスはちと変わっています。
いわゆる「表現主義」的な活動は排除して、合理的・機能主義的な活動を徹底的に重視したのです。
たとえば「椅子」を作るとき、余計な装飾などなく一見して椅子と判り、そして座り心地も最高な椅子を作るのです。
徹底的に「椅子な椅子」をデザインして作るのです。
しかもそれを、工場で大量生産させるのです。
ちょっと待て、そんな大量生産、芸術でもなんえもねえじゃねえか。と思うかもしれませんが、いやいやどうして、バウハウスの椅子を見てください。芸術作品以外の何物でもありません。

「芸術のための芸術から誰にでも手にできる日常生活の芸術に向けての壮大な試みと挫折」-
挫折については後述しますが、それがバウハウスなのです。
展示場には初代校長のバルター・グロピウスさんの言葉もありました。

「物はその性質によって現定される。それゆえ、それが正しく機能するようにデザインするためには、―それが容器であれ、椅子であれ、あるいは家であれ―まず第一にその本質を研究しなければならない」

椅子を知り尽くして徹底的に椅子を作り上げたとき、その椅子は自然と芸術作品になるのです。
思えば、こういったことははるか昔から人間の生活の中に溢れているものだったようです。
古い日本のやかん、アルミの鍋。黒電話やホウキ、安く古いコップ、刀、ご飯茶碗と味噌汁のお碗とお箸が卓に並べられたときの位置関係。どれも芸術作品ばかりです。
ただ、昔の人はそれをやろうと思ってやっていたわけではありません。
ただ必要に応じてそれらの道具を作り上げてきただけであって、芸術作品を創ろうなんてハナから思っちゃいないんです。
ただの偶然とあきれるほどの年季によって形成されていったものです。
そこから芸術性を見出すのは生産者側ではなく、あくまで消費者、見る者の感性です。
そのいい例が縄文式土器ですな。
あの土器を「発掘」したのはどこかの考古学者さんですが、「発見」したのはかの岡本太郎さんです。
それまでただの貴重な歴史的資料でしかなかった土くれ土器に、岡本さんは高い芸術性を見出したのです。
素晴らしい感性だと思います。
我々市民でもそうやって感性を研ぎ澄ましてモノを見ることができれば、わざわざ日曜日に美術館に行かなくても日常生活の中で様々な芸術作品に出会えるのです。
上野の美術館に飾られたゴーガンさんの「海辺に立つブルターニュの二少女」もこれ以上ないくらいの芸術絵画ですが、今この机に上に転がっているゼブラの「ラバー80」ボールペンだって、それに負けないくらいの芸術作品でありますよ。
少なくとも、どこかの安っすい美大のインチキ学生が前衛芸術の名の下に作るただ無駄にでかいだけの訳のわからないゴミ同然の空間オブジェなんかより百万倍も芸術作品でありますよ!・・・
と、少しく興奮してしまいましたが、バウハウス。
そんな偶然と長い年月が作り上げてきた生活レベルでの合理的かつ機能性重視芸術を、バウハウスは意図的に創造しようと試みたのでありますな。
なんと大胆で壮大な挑戦でありましょうか。
そして彼らは―特に建築物について―見事それを成功させたのです。

学校自体はワイマールからデッサウに移り、開校からわずか14年後に残念ながらナチスさんの影響もあって閉校を余儀なくされましたが、その表現傾向は現代に至るまであらゆる分野で大きな影響を与え続けています。
文房具界ではなんといってもこれ、

ラミー2ボール.JPG

ラミー2000でありましょうな。
バウハウスの流れを汲むデザイナー、ゲルト・ハルト・ミュラー氏による作です。

今回のバウハウス展では、開校当時の校長室が実物大で忠実に復元されておりました。
すごくシンプルでいてとてもスタイリッシュ。素晴らしかったです。
時間をかけてずっと見てまわるうちに気づいたのですが、これは要は○と△と□をいかに合理的に美しく配置するか、というようなことであるかもしれません。
3時間ほどかけてじっくり見学して、素人なりに有意義な1日を過ごすことができました。
創造に対する引き算の重要性を再認識しました。
帰りに売店でTシャツも買えたし、よかったよかった。


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最終更新日  2009.07.11 01:13:09
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