東京国立近代美術館で、1月14日まで開催の特別展「美術にぶるっ!ベストセレクション 日本近代美術の100年」の第1部「MOMATコレクション」を 観たとこまで
書いた。
もっと、「ぶるっ!」っとしたのは、同時開催の第2部「実験場1950s」のほうやった。
「現代の原点としての1950年代の意義を、ジャンル横断的な想像力をキーワードに、美術、写真、映像、デザイン、漫画を含む約300点の作品・資料によって捉え直す。」という企画。
第1部の「MOMATコレクション」は、単に第2部へ誘うための企画やなかったんかと思うほど。
会場には、解説シートが4種類置かれてて、持ち帰ることができる。
会場入口には、白黒のニュース映像が流されてた。
朝日ニュース第363号「原爆犠牲第一号」。
広島と長崎に原爆が落とされたことは、戦後GHQの報道規制で、一部の例外を除いて一般の国民は全くといっていいほど、その実態を知ることはなかったんやそうや。
原爆に関する情報が公になったのは、平和条約発効後の1952年夏。なんと7年後のこと。
ニュース映画会社の日映新社が、撮影を開始したがGHQから撮影中止の命令が下り、米軍の命令下で撮影を行い、完成した映画は米軍に納入することで、やっと許可が下りた。
1946年2月頃完成した「原子爆弾の効果」は、いかなるフィルムの断片も日本に残してはいけないという徹底した情報統制やった。撮影に関わった数人の同志が秘密裡にプリントを残し、占領終了までフィルムを地下に隠したおかげで、日の目をみることになったそうや。
この企画展は、10のテーマに沿って展示されてる。
1.原爆の刻印
2.静物としての身体
3.複数化するタブロー
4.記録・運動体
5.現場の磁力
6.モダン/プリミティブ
7..「国土」の再編
8..都市とテクノロジー
9..コラージュ/モンタージュ
10.方法としてのオブジェ
解説シートは、1と2のタイトルを「戦争の記憶と美術の形式」としてる。
1.原爆の刻印
土門拳の「ヒロシマ」より原爆ドーム、原爆病院の患者たちシリーズなど。川田喜久治の「地図」より原爆ドームなど。
言葉を失うが、ここからのスタートやったんやと改めて感じる。
丸木位里・俊夫婦が、「原爆の図」(当時は「8月6日」)を発表したのは、1950年第3回日本アンデパンダン展で、夫妻が試みた全国巡回の展示活動は、原爆の実情を伝達するための先駆的な役割を果たしたそうや。
2..静物としての身体
鶴岡政男の「事は物でもって表現されなければならないのに、物を忘れて事を描こうとしている」。「事」ではなく「物」を描くべきという言葉が挙げられ、鶴岡政男の「松本竣介の死(死の静物)」や河原温の「浴室」シリーズ名度が展示されてる。
3、4、5のタイトルは「現実改革のための美術」。
3.複数化するタブロー
印刷媒体を表現の場とする、真鍋博や久里洋二の漫画やルポルタージュ絵画の中村宏、池田龍雄、河原温の「印刷絵画」など。
4.記録・運動体
無着成恭の生活綴り方「山びこ学校―山形県山元村中学校生徒の生活記録」、花森安治の「美しい暮らしの手帖」(のちに「暮らしの手帖」と改称)、土門拳が提唱したリアリズム写真運動の舞台となったアルス社の写真雑誌「カメラ」などが並ぶ。
「カメラ」のアマチュア投稿者には、東松照明、川田喜久治などもいた。
5.現場の磁場
石川県内灘や東京都砂川などでの米軍基地への反対運動の「現場」の情景を「ルポルタージュ」した作品。池田龍雄の「怒りの海(内灘シリーズ)」、中村宏の「砂川五番」など。
そして、見始めると目を離せなくなったのが、亀井文夫のドキュメント・フィルム「流血の記録 砂川」。
1955年から57年にかけて、武装した警察と住民・学生達のぶつかり合うこんな悲惨なできごとがあったとは。
6、7、8のタイトルは「戦後日本のアイデンティティを求めて」。
6.モダン/プリミティヴ
50年代には、文学、演劇、美術、建築などで、「伝統」の問い直しが起こった。
1950年に来日したイサム・ノグチは、土偶や埴輪に触発されて陶器彫刻「かぶと」「ひまわり」などの制作を行い、岡本太郎は1952年に「四次元との対話 縄文土器論」を発表。縄文土器に内在する「根源的生命力」が注目されるようになる。
菅井汲の「響」、 岡本太郎の「赤のイコン」も展示されてた。
7.「国土」の再建
戦後の復興期に、「東北の地」に目が向けられた。
東山魁夷の青森県種差海岸の風景をモチーフにした「道」、写真家 木村伊兵衛の「秋田」シリーズ、濱谷浩の「裏日本」、小島一郎の「東北のまつり-三部作」、野田真吉が下北半島の漁村を撮ったドキュメンタリー映画「忘れられた土地」など。
8.都市とテクノロジー
工業化と機械への信奉、即物的な視点、構造主義的な「冷たい抽象」で捉えた作品が並ぶ。
山口勝弘のガラスの造形「ヴィトリーヌ」、 北代省三のアルミニウムを使った「モビール・オブジェ(回転する面による構成)」、 亀倉雄策のニコンのポスター、猪熊弦一郎の家具、石井茂雄の「暴力シリーズ 戒厳状態」、奈良原一高の軍艦島の写真「人間の土地」、「無国籍地」 、松本俊夫の関西電力のPR映画で戦後の電源開発の歩みを紹介する「白い長い線の記録」など。
9、10のタイトルは「多層化するリアリティのアプローチ」
9.コラージュ/モンタージュ
対象を多元的に構成する「モンタージュ/コラージュ」的な表現の実践。
岡本太郎の「重工業」、山梨県曙村の起こった山林地主と村民の闘争をテーマにした山下菊二の「あけぼの村物語」、桂ゆきのレース、布切れ、木の葉、コルク屑などをコラージュした作品「積んだり」「こわしたり」、中村宏の「基地」「階段にて、 松本俊夫の総評政策の記録映画「安保条約」1など。
10.方法としてのオブジェ
シュルレアリスム、オートマティック手法、、異様な組み合わせからリアリティを獲得しようという動きなど。
草間彌生「無題(15)」 「無題(16)」「夜」、福島秀子の円形や線形のスタンピングの活用「未知のものへ」、 池田満寿夫の銅板「女」、白髪一雄「天慧星命三郎(水滸伝豪傑の内)」、 工藤哲巳「増殖性連鎖反応」、荒川修作「抗生物質と子音にはさまれたアインシュタイン」「ワックスマンの胸」、八木一夫「漂流」、東松照明「家」シリーズ、細江英公の映像「へそと原爆」など。
ふーっ、くたびれた。
「ぶるっ!」としたのは、自分の無知なことと、それを知らせてくれる美術のすばらしさに対してやったんかもしれん。
美術にぶるっ!ベストセレクション 日本近代美術の100年
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