星の髪飾り

星の髪飾り

2006/08/07
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kitakitune05 さん

 薄紫のポーチ、マーガレット模様のハンカチ、ベージュの手帳、しわになった

数枚のお札、プラチナの指輪。

 艶のあるテーブルに一つ一つ置いていく。 しなやかな指が這う。

意味もなく並べられた持ち物に視線を落とした男が次のアクションを待つ。

「クラブ・・なんですね・・」

女がカウンターの後ろに並んだ煌くグラスの列に顔を向ける。 

名前入りのウィスキーの数々・・・・

「あと、2時間もすればこの静けさが別世界に変わります」

「・・・そうですか・・・別世界に?・・。 ではそろそろ行かなくてはなりません。
お陰様で体が温まりました。 楽になりました・・・帰ります」

 女は訳もなく並べたものをバッグにゆっくり戻しながら、闇の底に沈む人魚のような

悲しい目を見せた。


「失礼ですが!」

「?・・・」

「今から何処かへ?」

「わかりません・・・この街にたどり着いた、、た ど り つ い ただけですから・・」

 無防備な言葉が淡々と並ぶ。 まっすぐにありのままをさらけ出す事しか術がないのか。

追いやられた状況に震える天使を男はじっと見つめていた。


「突然ですが、お体、どこかお悪いのでしょうか? お疲れのようですが・・」

「すみません、ご心配をおかけしてしまい・・・本当に突然・・すみません」

すみませんと繰り返される言葉。 男達は女の生き様を垣間見る思いがした。

「紫音にいていただけませんか?! 無理ですか? 突然ですか? このままここに!」


 女は立ち上がると、大きな声で男に言った。

「哀れな私を拾ってくれるというのですね!?・・・こんな姿の私を?」

 天井を見上げたかと思うと、男を真っ直ぐ見て突然笑い出した。

やがて笑う女は暗涙に咽びながら、抱えてきた過去の陽炎を涙で消しはじめた。


 原石がダイヤに変わる日を、男達は確信した。


                  続く(火曜日、未来線=銀河線)





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最終更新日  2006/08/08 10:28:06 AM コメント(16) | コメントを書く


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