星の髪飾り

星の髪飾り

2007/09/19
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「ああ」

「名前は?」

「優子」

「ゆうこ・・・・」

 優を失った母の後追い自殺は、榛名湖に居合わせた父との運命的出会いで未遂に

終わった。 そして今、僕がこの世に存在するのは、「優の死」が導いた皮肉な定めで

あることに僕は苦しむ。

 巡り巡る命。 とてつもない宇宙の不可抗力を知りながら、人は争い、生きる権利を

奪い合う。 そんな愚かを、天はいつか見放すだろう。

僕は、生きたくても生きられなかった命の無限を、優を通して思った。 叶うならば

優を返してもらいたい。  


「信じる? 優のこと・・・」

 父は、母が逝った夏からの出来事を、悲しげな面持ちで聴いていた。

「ああ・・・・」

 甦った優は、今この瞬間をきっとどこかで見つめている。 僕は約束の明日、どんな優に

会えるのだろう。

あるいは、正体を知られた優は、既に真冬の月に帰ったかもしれない。 

ただ僕は、できることなら見届けたい・・・・月に帰る優の最後の声を聴きたい。

「浩樹、あのね・・・・」

 こんなふうにさりげなく。


                      明日、夜 「真夜中の小悪魔」 最終章




                    photo by しっぽ2さん





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最終更新日  2007/09/19 05:42:08 PM
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