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年末が近づき、雅彦の職場では恒例の大掃除が始まっていた。机や書類棚を片付ける中で、普段なかなか顔を合わせない部署の人たちとも挨拶を交わすことが増え、職場全体が少しずつ柔らかい雰囲気に包まれていた。
そんな中、雅彦はふと総務部の山田沙織のことを思い出した。先日のお歳暮を渡した際に沙織が嬉しそうにしていたことや、総務部の休憩室での会話が妙に心に残っていた。
「お歳暮って、ただの形式的なものじゃないんだな……」
雅彦はその時、感謝を形にすることの力を改めて実感していた。そして、ふと考えた。職場には他にも感謝を伝えたい人がいる。日々の仕事を支えてくれる総務部だけでなく、営業チームや経理の人たち、さらには清掃スタッフまで、多くの人の働きで自分たちの仕事が成り立っているのだ。
数日後、雅彦は帰りがけにデパートに立ち寄り、ささやかながら職場全体に贈ることができるお菓子を選んだ。彼が選んだのは、小分けされた焼き菓子の詰め合わせだった。包装には「一年間ありがとうございました」と書かれたシールを貼り、年末の感謝の気持ちを込めた。
翌朝、出勤した雅彦はその焼き菓子を休憩室のテーブルに置き、メモを添えた。「今年もお世話になりました。皆さんの働きに支えられて、感謝の気持ちでいっぱいです。どうぞお召し上がりください。」
特に派手な演出はしなかったが、それでも昼休み頃には焼き菓子が話題になり、社内にちょっとした温かい空気が広がっていた。
「これ、大田さんが用意したんだって?」「へえ、気が利くじゃない。」
普段あまり話す機会のない経理部の先輩や、他部署のメンバーが次々と雅彦に声をかけてきた。
「大田くん、ありがとうね。今年も忙しい中でみんなのために動いてくれて。こういう気遣い、すごく嬉しいよ。」
中には普段、寡黙でほとんど口を開かない清掃スタッフの田村さんが、小さな声で「ごちそうさまでした。こういうの、久しぶりに嬉しかった」と話しかけてくる場面もあった。雅彦は少し驚きながらも、自然と笑顔で「こちらこそ、いつもありがとうございます」と返した。
その日の夕方、山田沙織が雅彦のデスクを訪れた。
「大田さん、今日の焼き菓子の件だけど……すごく良かったと思う。社内でこういうことをしてくれる人、なかなかいないから。」
「そうかな?そんなに大したことじゃないけど。」
「ううん、大したことだよ。特に田村さんが喜んでたの、聞いた?普段あまり表情を見せない人だから、みんなびっくりしてたみたい。」
沙織の言葉を聞いて、雅彦は少し胸が熱くなるのを感じた。贈り物や感謝の言葉が、自分では思いもよらない形で相手の心に届いている。その事実が、自分の行動をもっと意味のあるものに思わせてくれた。
「お歳暮って、すごいな。誰かに贈ることで、こんなふうに繋がりが広がるんだな。」
「そうね。でもそれを形にするのって、結局その人自身の気持ちがあるからだと思うよ。」
沙織 は微笑みながら、さらに言葉を続けた。
「大田さんがきちんと感謝を伝えようと思ったから、今回みんなの心に響いたんだと思う。贈り物自体も素敵だけど、そこに込められた気持ちが何より大事だよね。」
雅彦はその言葉に少し照れくささを感じながらも、沙織の視線の中に温かい信頼を見たような気がした。
「ありがとう。でも、俺自身も学びながらって感じだよ。最近やっと、感謝を伝えることの大切さに気づけたんだ。」
沙織は軽く頷き、「それがわかるだけでもすごいことだよ」と静かに言った。
その日の夜、雅彦は帰宅後にふと、贈り物をするようになってからの変化を思い返していた。古田先生との再会、母への感謝、そして今回の職場での出来事。自分が小さな行動を起こすことで、周囲の空気が少しずつ変わり、人との繋がりが深まっていく感覚があった。
「お歳暮って、ただの慣習だと思ってたけど、全然違うんだな。」
自分が誰かに感謝を伝えると、その感謝は別の誰かに広がっていく。雅彦は、贈り物を通じて感じたこの連鎖を、もっと大切にしたいと思った。そして、それは年末という特別な時期に限らず、日々の中でもできることなのではないかと考え始めていた。
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