新月通信 

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2005.10.04
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カテゴリ: 本作り日記
★「紫式部 源氏の間」に行ってきました。

先日、滋賀県にある石山寺へ行ってきました。

ここには、紫式部が『源氏物語』を書いたといわれる「源氏の間」があります。

石山寺の縁起よりも、何よりも、
この紫式部が執筆したお部屋が見たくて寄ってみました。

★書きたい気持ちが一杯

私は、書きたいことがたくさんたまってくると、とても苦しくなります。

「こんなこと書いたってしょうがない」と思ってはいるのですが、
形、つまり文章化するまで、苦しくてしょうがないのです。




なんかこう、足の下からシャボン玉の小さなのがたくさん体につまってきて、
クビのあたりまで一杯になるような感覚。
息が苦しくなるような感じ。

それで、ばーっと書いてしまうと、シャボン玉が全部はじけて、
体の中がすっきりと透明になるのです。
頭の整理だけではなく、体の整理、
ひょっとしたら私の健康法になっているのかもしれません。

★源氏の間は暗かった。

ここで紫式部は着想を得たのかな?

とても小さなお部屋で、「あれ」と思うぐらい質素でした。

売店のお姉さんに、「ここですよね」と確認もしました。


灯火はろうそくの明かりたった一つ。
薄暗いどころか、筆先もおぼつかないほどの闇の中で、
彼女は『源氏物語』を書き上げたのでしょうか?

でも、彼女になり代わったと想像します。
中に入って、小さな窓に面して、筆を握って座ります。


月明かりに照らされて、彼女は執筆していたのかもしれません。

石山寺は瀬田川に面し、「お月見」でも有名な場所です。

★みんなどこで着想を得ているのかしら?

いつも無い頭をひねっています。
講座をどうしよう、イベントをどうしよう・・・
次の本をどうしよう・・・。

この間見に行ったモロー展にも確か、
「着想を得る瞬間の芸術家」を描いた絵画がありました。
タイトルは忘れました。すみません。

その芸術家にはミューズの神が寄り添い、耳元でささやくのです。

それを芸術家が、聞き取り書き取り、音楽・詩歌・文学などの作品に仕上げるのです。
インスピレーション、アイディアの湧く瞬間には、ミューズの神がいるのかもしれません。

ああ、ほんとに私にもミューズの神様がそばにおいでにならないかしら?
(こんな凡人だから、近寄りもしないかな)

でも、ひょっとしたら、人間皆にミューズの神が寄り添っているのだけど、
そのささやきを聞き取るこちら側の「耳」がないのかもしれません。

聞くためには、こちら側人間の「心」の耳を澄ませなければならないのかもしれません。

それには、場所の力や雰囲気などのお膳立ても必要なのでしょう。

紫式部には、それが石山寺だったのかもしれません。
(もちろん彼女はスーパーウーマンだから、どこででも執筆できたでしょう)

寺という普通の人間世界から離れた、異質の空間。
他の誰にもじゃまされない、孤独な空間。
暗い小部屋。
小窓からさす月光。


これらのセッティング(舞台設定)があって、『源氏物語』を一気に書き上げたのかもしれません。

みなさんは、どういうときにひらめきますか?

わたしは・・・ひらめく瞬間なんてあるかしら?
ピアノを弾いているときが一番多いかな。
それと、道を歩いている時。

★「豊浄殿」の紫式部の絵

石山寺の頂上あたりにある「豊浄殿」で開催されていた『紫式部展』にも
足を運んでみました。

もう夕暮れが近かったので、係りの人が「早く、早く」と手招きしています。


紫式部ゆかりの品物が置いてあります。
その中で見つけた一枚の絵。
それは紫式部が「着想を得た瞬間」の表情を描いた一服の絵。
縦長で掛け軸風な絵。

確か近世あたりの作者の絵画でした。
(これも名前を失念してしまいました。すみません)



彼女の白く美しい顔。
そして筆をとり、視線をちょっと上に上げ、
ミューズの神のことば(霊感)を聞き取っている表情が描かれています。

私は彼女のこの世のものではない、何かが乗り移ったような、
何かに心を奪われたような表情に、
彼女の喜びの声を聞いたような気がしました。

今、この瞬間、
彼女の心の中には『源氏物語』のすべてが聞こえたのかもしれません。

それからはそれらの言葉を筆で紙に書き取る作業に入るのでしょう。
それももどかしい思いで、ことばが薄れてしまわないように、
早く、早く・・・。



山を降りるときに観た「月見亭」
川を見下ろす高台にあります。

空にはうっすらと白い月が上がってきていました。






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Last updated  2005.10.04 22:02:13
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