Happy life in Florence

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カルーゾとの出会い


蝶々婦人 * 蝶々婦人再演 * 蝶々婦人再再演 * 蝶々婦人再再再演 * ジャンニ・スキッキ * ジャンニ・スキッキ再演 *

カルーゾとの出会い

2003年5月
フィレンツェ市第2区の公民館で歌のレッスンを受けていた
ここのレッスンは30分、45分、1時間の3種類から選べて
週1回のレッスン
先生はフィレンツェ市立劇場専属合唱団員
これがなかなかわかりやすい指導で
十年来悩みまくってた私の欠点がうそのようになおって
俄然歌いやすくなった

ある日、先生が風邪をひいて、代わりの先生が来た
この先生はあんまりで
はっきり言って私の方が教えてあげようか?ってくらいだったんだけど
ピアノが上手で、今まで勉強してきた曲をさらいながら
自由に歌わせてくれた

付き添ってきてた先生のお友達が
今後私の音楽環境をがらっと変えるきっかけになる
ヴィヴィアーナ

私の歌を聴いて
「あなたはあちこちへ出向いて声を聞かせなくちゃだめよ」
と言う

歌のレッスンは続けてはいるものの、
ソリストとしての活躍はすっかりあきらめて
趣味で続けていた私はちょっと希望を持ちはじめた

彼女が最初に連れてってくれたのが
エンリコ・カルーゾ協会の定期演奏会

カルーゾ邸を本拠地とするオペラ協会主催の月一回の交流会のようなもので、若い歌手やプロの歌手がそれぞれ曲を持ちよってリハ無しでコンサートをするというもの。最初は聞きに行くものだとばかり思っていたら、よくよく話を聞いてみると聞きに行くのではなく歌いに行くのだと分かった。

いったんそれぞれ家に帰って9時半に彼女が言えまで来るまで迎えに来てくれた。
カルーゾ邸はラストラ・シンニャというちょっと郊外にあるので、流石に自転車では行けない。
車で30分ほどでカルーゾ邸に到着。一階にはカルーゾの写真や衣装などの博物館もあって、ホールは2階。上っていくともう少年がピアノの演奏をしていた。
ヴィヴィアンが私を会長に紹介してくれて、名前と歌う曲を聞かれた。ピアノが終わったら早速舞台に連れて行かれて「さあ、どうぞ」!
とりあえず、わかりやすい曲をとヴィヴィアーナに言われてたのでCosi fan tutteから、デスピーナのアリアを歌った。
歌い終えると同時に拍手喝采。ヴィヴィアンが言ってたとおりすごく暖かい観客。皆音楽愛好者で、この協会にすごく誇りを持っていて、若い歌手を育てるのが何よりの楽しみ、といった感じ。
その後ヴィヴィアンがカルメンを歌い、バリトン、バス、テノール、ソプラノと、次々若い歌手が歌う。皆いい声。合間に師匠も歌ってくれたりして、和気あいあいとした雰囲気。みんなが一通り歌ったのでまた私の番がまわってきた。
一曲目でホールの響きかたもなんとなく分かったし、人が歌うのを聞いてホールの感じはだいたい把握できたので、ちょっとちゃんとしたのも歌ってみようと思って、アンナ・ボレーナを歌ってみた。
前奏のあと一息おいて、最初のワンフレーズをピアニッシモで透明に響かせる。
これは私の大好きな瞬間
フォルティッシモで、これでもかーって聴かせるよりずっと観客を惹きつける効果がある
それまで和気あいあいと、歌ってる人がいても隣の控え室ではおしゃべりし放題、客席でもひそひそ感想を言い合ったりしていたのに、急に静かになって、皆聞く姿勢になってくれた。
それどころか、控え室の歌手たちに「しー!!」とやって、ドアまで閉めてしまった。こんなに本気で聞いてくれるならまじで気張って歌わねば、という気になる。歌いおわると割れんばかりの拍手。控え室に引っ込もうとしたらまた舞台に引っ張り出された。こんなに暖かい観客の前で歌えただけでも満足なのに、さらに強烈にいい声のテノール(ヴィヴィアンの師匠)が歌うのも聴けてチョー満足。コンサートが終わったのが夜中の12時。それから下の階の広間でパスタを皆で立食。歌手も会員も入り乱れる。
たくさんの人が「いい声だわ。がんばってね」「すごくよかったわ、応援してるわね」とかわるがわる声をかけに来てくれる。評論家の人も来ていて、だれについて習ってるのかと聞かれた。来る道々、ヴィヴィアーナに「独学っていうのよ」と念を押されてたのでそう答えた。イタリアでも派閥があるらしく、外国人であることを利用して、どの派閥からも声がかかるようにとの配慮らしい。実際特に有名な先生についたわけでもないので独学っちゃー独学なんだけど。今の先生にもまだ、数ヶ月習っただけだし、他の先生も数回レッスンに行っただけだしね。
とにかく、この協会は毎月一回こういうコンサートを開いているらしく、また来てね、と会長さんからお誘いを受けてまた来月も来ることになった。来月はミミを持ってきてねともいわれた。
あと、ヴィヴィアーナとアイーダか蝶ちょうさんの二重唱も準備する約束をした。
ヴィヴィアーナと知り合ってから、なんか道がすーっと開けた。

ヴィヴィアーナとの出会いイコールカルーゾとの出会いともいえる。


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