Happy life in Florence

Happy life in Florence

蝶々婦人に参加


カルーゾとの出会い * 蝶々婦人再演 * 蝶々婦人再再演 * 蝶々婦人再再再演 * ジャンニ・スキッキ * ジャンニ・スキッキ再演 *

蝶々婦人

2003年8月
ヴィヴィアーナと週に2日は会って二重唱の練習をしているけれどなかなか進まない。
彼女は実は40代になってから合唱団に入り、自分が声を持っていることに気づいてソロで歌うために本格的に勉強をはじめた人で、音楽的素地がない。
彼女が私とやりたいという二重唱の練習もはっきり言って私が伴奏して音をとってあげているだけ。
ちょっと利用されてる気がしないでもないんだけど、彼女なしではまだ右も左もわからない私は彼女に引っ付いているしかない。

そうこうするうちに、カルーゾの若手歌手による蝶々婦人のちょい役をさせてもらえることになった。やっぱりヴィヴィアーナにくっついててよかった。
彼女は、今回の蝶々さん役の人はあんまりで、mikiのほうがぴったりというのだけれど・・・。
もう前から決まっていたので、蝶々さん役はもう無理だけど、今回は無理矢理口実をつけて私をねじ込んで、声を聴かせておいて、次回のチャンスをねらおうという。
実際、いとこの役なんてコーラスのひとりがやってもいいようなパート。
でも、ここでメンバーに入り込むのは賢いやり方であることには間違いない。万が一蝶々さん役のひとが具合が悪くなったら代役ということだってなきにしもあらず。
東なんとかこさんだって、スタンドのとき、本役さんに毎晩嫌がらせ無言電話して、ノイローゼにさせて代役を勝ち取ったとか聞いたことが・・・。
そこまでしなくてもと思うけど。
とにかく今回は始めて実際のオペラ公演に参加できるので、ちょい役でもいいじゃないの。
よくばっちゃいかん。

練習初日

8時ごろヴィヴィアンがうちまで車で迎えに来てくれて、着いたときにはもう始まってた。
でも、蝶々さん登場にはぎりぎり間に合った私たち。
私の役はいちおういとこなんだけど、スズキ紹介のシーンで隣に並んで座って、お台所担当と紹介されてお辞儀もすることに。
結構カットが多くて、一番ややこしいところ、しっかり勉強したのにカットされてたりして・・・
メンバーの人たちはすごく良い感じの人たち。
蝶々さんは、すんごいパワーの声で、正面で聞いてると張り倒されそうな勢い。からだも大きくて金髪巻き毛で迫力がある。怒った顔をすると鬼にそっくり。でもキャラクター的にはすごく繊細な女のひと。見た目とキャラクターのギャップが面白い。実際、オペラが進むにつれて、見た目の違和感も薄れてくる。
指導、演出兼コンソレ役は往年の大歌手パネライ氏。
カラヤンのお気に入りバリトンだった彼はちっとも偉そうじゃなくて、すごく感じのいいやさしい紳士。
ピンカートンはいい声のテノール。
ボンゾの若い男の子もいい声だった。
ゴローと、ヤマドリは聞くだけで笑ってしまうくらいケッタイな声だけど、みんな熱心。
女性陣は蝶々さん以外はみんなちょー素人っぽい。
でもすごい熱心なのは同じ。

練習二日目

今回は音楽稽古。
前回はパネライ氏が演出してくれてたので音楽的にあんまり深くやらなかったので今回はきちんとだめだししながらきちんとやった。
私は自分がやらなきゃいけないところは暗譜するくらいやってったんだけど(といってもほんのちょっとなんだけど)あとのちょいやく仲間はいまいちきちんとできなくて、入りは遅れるは音はとれてないわで、コレペティが切れて、半分くらいカットされちゃった。
ほんのちょっとの半分だから、はっきり言ってなんで私ここにいるの?って感じ。
ま、これでギャラくれるんだから別にいいっちゃいいけどね。せっかくやったことないパート必死で暗譜するまで練習したのに・・・
それにしても練習とは言え、全力投球で歌う蝶々さんとピンカートン。
いいこえだわー。迫力満点。
伴奏しながらぎゃーぎゃーわめいて指示するコレペティも、偉そうだけど、それだけのことはある。カリスマっていうんですか?こういうの。
ちょっと暑さでばてぎみのところへ、8時半から夜中の12時までっていうこの時間割、きついけど、楽しかった。
あとはゲネプロまで練習無し?!

グッドニュース

日本の雑貨を売ってるお店で簡単着物を売ってるのを見たので、蝶々さんをやるシルヴィアに電話で教えてあげようと思ったら電源が入ってなかったのでメッセージを送ってたのだった。
それに答えて電話がかかってきて、感謝感激のようす。早速土曜日にいってみるという。
さらに、彼女としてはせっかく私がちゃんと準備してるのも知ってるのでふたことみことしか歌わないのが残念だといって、音楽監督のコレペティに掛け合って、始めの登場のコーラスと結婚式からボンゾとの叫びまで全部カットしないことにしてくれたらしい。
来週、一緒に練習することにして電話を切った。
見た目怖いけどすごく情の熱い姉ちゃんだわ。

もうゲネプロ?!

なんと!!
まだ入りを間違えるピンカートン。
おいおい。
でもやっぱり声がいい!!
蝶々さんも絶好調。
彼女、私がお勧めしたお店できれいな着物を買ってチョーご機嫌。
しかも日本の古典芸術を研究している日本人と知り合ったらしく(偶然に!運命だと言ってた)立ち居振る舞い、芸者の歴史、小道具一つ一つの意味等勉強して、私たち日本人より日本に詳しいくらい。
生前日本人だったことがあるに違いないと信じてる様子。そもそも輪廻を信じること自体西洋人っぽくない。
豪快な体格と顔つきでぱっと見はそうでもないけど、本当はすごくきーつかいーで、日本人っぽいとこがある。
あさって、うまくいくといいね。

本番

いよいよ、蝶々夫人の本番。

マイ浴衣をもって、いざ出発。
朝からゆったり過ごして軽く発声して、お肉もしっかりお昼に食べたので、精神的にも肉体的にも絶好調。

でも、歌う場面ってほんのちょっとなんだけど。

カレンザーノというフィレンツェ近郊の街のお城がある高台に、野外舞台。
石の壁に囲まれて、音響抜群。
猛暑のフィレンツェを離れて、ちょっと肌寒いくらい。

私は1幕しか登場しないので、後はゆっくり客席に座ってオペラ鑑賞。

ほんの数小節歌っただけなのにギャラも頂いて、すっごくいい声の蝶々さんとピンカートン間近で聞いて、余は満足じゃー。


レプリカ

ヴィヴィアンちから、彼女の車で現地へ。
Borgo alla collinaという小さな町。
野外ステージが立派。
しかも今夜は入場無料じゃない!お客さんお金はらってみにくるのだー。ちゃんと歌わなきゃ。

ところが問題発生。
ピアノが電子キーボードで、鍵盤が少ない!
ピアニスト兼指揮者のマウリツィオ、パニック!
オペラをピアノ1台で伴奏するのでも無理があるのに、キーボードだとー??
それぞれが持ちうた歌って、ちょっと二重唱やって、ミニコンサーとにしようかなんて言い出した。
でも、お客さんたち、お金はらって、蝶々夫人見に来るんだから何としてもやらねばなるまい。
というわけで、ちょっとアレンジしながら何とかこのキーボードでやることになった。

一幕、なんとか無事修了。
でも、かわいそうなマウリツィオ、譜めくりしてたケイト役の女の子があんまりドンくさいので、歌手に指示しながら譜めくりにまで「今!、まだ!、めくってめくって!」と半狂乱になってた。
この女の子、ちょっとやばい。
初日の日も、舞台に登場してから、スズキやシャープレスに、どこに立ってればいいかこそこそ聞くし、ピンカートンの唯一のアリアが終わろうとしているまさにその時、彼のアクートかき消すかのように彼の前をどうどうと通り過ぎて舞台を横切ったのだった。舞台の左側にいなくちゃいけなかったのに右側にいたので、自分が歌いはじめる前に正しい位置にいなくてはいけないということだけが頭にあったらしい。
私たちはもちろん観客も唖然。

そんな彼女に譜めくりを頼むのは最初から無謀と分かっていたのだけれど、他にだれもいなかったから仕方なかったのね。
2幕3幕は私が浴衣に芸者メイクのまま譜めくりすることになっちゃった。

でも、大学時代、オペラ伴奏のピアニストからお呼びがかかる、譜めくりのプロだったので、久しぶりに才能が発揮されるいい機会?でした。

ピアニストも喜んでくれたし。

終わったのはやっぱり夜中の12時だったけど、パスタにお肉にケーキにカフェまでごちそうになってしまいました。


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