mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2006年11月02日
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漆黒の世界に響き渡る悲鳴。
それは、アルテミスの叫びであった。

セシルスの放った矢は明らかにメタルビートルの頭蓋骨を貫通していた。
しかし、セシルスは攻撃の手を緩めない。暗闇の中、四方八方に弓を連打する。

「ちっ、うざったいねぇ。ダミーなんて時間稼ぎにしかならないよ!」

_ダミー!そうか、あれはメタビの気が作った残像なのか。
_この暗闇では判断できない。

暗闇からは返答とも取れる矢の連打がセシルスを襲う。

「ふん!ダミーなんてランサーなら常識だよ!」


セシルスの攻撃とメタルビートルの攻撃が激しさを増す度に、分身の数が増えていく。
しだいに小さな島全体が二人のランサーの姿で覆い尽くされた。

アルテミスにとっては何がなんだか判らず、ただ困惑の表情を浮かべるだけであった。
しかし、その拮抗した展開もやがて終わりを告げる。
メタルビートルの矢が次第にセシルスを捉え始めた。

「メタビ、もうやめよう。充分なんだよ」
「セシルス、どうしたお前が諦めるなんて珍しい」
「誤魔化してもだめよ、メタビ」
「最初は気付かなかった、でもお前の攻撃を受けて理解したよ」
「何の事だ・・・」
「メタビ、あなたその状態でスキルを全開にするたび、命を削っているのね」


「・・・」
メタルビートルが弓を構えた状態で立ち止まる。

「そして、あなたの命は残り少ないのね」
「うるさいぞ!」

メタルビートルの手から矢が放たれる。



グサッ!

「何故よけないセシルス」
セシルスのその覆われた眼から涙が零れ落ちていた。

「あなたの・・・そのあなたの尽き果てそうな命では、もう私を傷つける事は出来ないの・・・」
「馬鹿にするなセシルス!」
「もういいよ、もういいよメタビ・・・」

メタルビートルは、まるで諦めたかのような表情を浮かべ語りだした。

「セシ、確かに私は失敗作だよ。私はレッドストーンと人の融合を確認するための試金石だったのさ」
「実験は失敗だったよ。霊的な集合体であるレッドストーンの欠片に人としての器が持ちこたえられなかった」
「元々不治の病に侵されていた私は進んで実験体となった。しかし適正者ではなかった」
「やつのおかげで、この魔槍に意識と霊力を全て融合させる事ができ、一命は取り留めた」
「でも所詮は金属体のこの体では、お前達のようにこの世界から魔力をもらう事は出来ない」
「唯一力を回復させる道は、魔槍の使い手の魔力だけだ」
「だから、私を扱う者は無尽蔵の魔力がいる。私に供給する分と自分の分だ」
「当然、扱える者は数少なく、直ぐにゲルニカによって封印されたよ」
「所詮、拾った命だアルテミスのために最後に一花咲かすよ」

「ダメー!メタビーが死ぬなんて許さない。絶対に許さないんだから」

時間が経ち、ダミーが消えたその場所にアルテミスは泣きながら立っていた。
既に顔はくしゃくしゃとなり、眼を吊り上げ泣きながら怒っていた。

アルテミスの声にならない泣き声が暗い洞窟の中にこだまする。
それは、悲しい風の音とどこか似ていた。

赤石物語
(Blackworld and Redstonestory)

~古都の南風 傭兵の詩~



砂漠の風はやみ、暑さだけが際立つ中戦士達が同じ方向を見定める。

「J・・・何故こんな所に?」

最初に声を出したのはセシルスであった。

「理由は分からん、しかし味方ではないようだな。後ろめたいから逃げた」

ガラテアが答える。

「今は誰が味方か、誰が敵かはどうでもいいのでは?ガラちん」
「剣聖、どうゆう意味だ?」
「おや?この気を感じないのですか?私なんてビンビンきちゃってますよ」

_!!

ガラテアとセシルスは急に我に帰ったように、反応する。

「まさか!何故これほどの数の魔獣が!」
「ガラさん、多分あなた達を狙う敵がコールしています。我々はそいつらの動向を伺っていました」

タケウマが答える。

「くっ、行くぞセシルス!」
「待って、ガラ。二人は加勢してくれるのか?」
「セシさん、私は紳士です。当然女性を助けたいのですが、アウグの剣聖が加担したとなれば国民を巻き込む」
「いいさセシ、お互いに事情はある。ただ俺は俺の戦いをするだけだ」
「だって、ガラ流石にこの気の量は尋常じゃない。助けるどころかこっちの命が危ない」
「ならお前はココにいろ。俺のわがままに付き合う必要はないさ」

それだけ言うと軽く手を挙げ、難民キャンプの方角へと走り去っていった。

「ちっ、ほんと男は馬鹿だよ。まぁそれに付き合う私も馬鹿かな?」
「じゃ、ちょっと死んでくるわ」

同じように手を挙げ、軽く微笑みを浮かべセシルスはガラテアの後を追っていった。

「酒さん、本当に・・・」
「タケ!それ以上何も言うな。剣聖sakezukiは一人の命ではないのだ。簡単に捨てられる命ではないのだ」
「酒さん・・・ありがとうやっと私の思いが伝わりましたね」


砂漠を疾走するガラテアの表情が冴えない。

_なんて数の気だ。
_しかも、戦いの気がもう薄れている。
_フクチ大佐や花火達はどうした?まさかもう・・・
_いや奴らならきっと守ってくれる。きっと・・・

戦場は砂丘がうねる小高い部分の頂に達すると目視出来た。
しかし、其処に広がるのは大小さまざまな魔獣達の群れであった。

「はぁ、はぁ、これは、なんて数だ。本当にこの中に人がいるのか?」

ようやく追いついたセシルスがガラに問いかける。

「絶対にいる。あいつらだって相当な使い手だ。必ず守ってくれているはずだ」
「行くぞ!」

ガラテアが大きく息をつき、その勢いで魔獣の海の中に身を投げ出すように突っ込んでいく。
その後ろから、セシルスが弓を放ちガラテアの前の魔獣達をなぎ倒していく。

砂の大地を真っ赤な血が埋めていく。
斧を振りかざし、鬼人のようにガラテアが魔獣達を切り裂き、吹き飛ばし、押しつぶす。
其処には、もう一種類の魔獣がいるかのようであった。


<あとがき>

はい、アルテ編は少しメタビの秘密が明らかになったかな?

戦争編は、急展開のつもりだけど・・・

ガラさんがベルセルク状態となっていますw

ちょっと少なめで今回は終わりましたけど次回にまぁ頑張りますw





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最終更新日  2006年11月02日 20時40分36秒
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