mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2006年11月28日
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どれほどの時間が経過しただろう。
洞窟に差し込む月明かりが、地面にひれ伏すアルテミスを優しく包み込む。

「さぁ、アルテ時間がない。どれほど悲しんでもセシルスは戻ってこない」

月明かりに負けない位優しく、メタルビートルがアルテミスの赤い髪を撫でる。

「うん、でも凄く悲しいの。ほんの少しの時間しか触れ合えなかったけど、あの人のこと凄く伝わってきた」

「また一つ成長したな、アルテ。一流の戦士はお互いのオーラで不思議と通じ合えるんだよ」

「それ凄く感じる。戦いの中でセシルスさんが私の中に流れ込んでくるのが解るの」
「凄く悲しい心の流れが私の中に入ってくるの」
「小さな、小さな女の子が泣いていたの。凄く猛々しい一撃と一緒に・・・」



「うん」

「なら、アルテお前も笑わなくちゃな。さぁ行こう最後の試練が待っている」

「うん」

ようやく立ち上がり、涙を拭くアルテミスは何故だか頭上の月に向かい”ありがとう”と呟いた。
なんとなく、セシルスが見てくれているそんな気がしたからであった。

二人は相変わらず魚と戯れている正宗と村正を呼び、洞窟の奥へと進む。

「しかし、今回はホントにあんたたちは魚取ってただけだねぇ」とアルテ。
「しょうがないよ。こいつらは本当の敵かどうか分かってるからな。セシルスは敵じゃないって知ってたんだよ」

キュィ、キュウ、キュキュウ

いかにもそうだと言わんばかりに正宗が胸を張る。村正もそれにならって胸を張る。そんな仕草が戦い
に疲れたアルテミスにとって、大変に癒されるものであった。


その扉をアルテミスが押し開ける。それは石で出来た扉であり、何やら不思議な文字で色々と彫刻がなされていた。

キャー!

扉を開けた瞬間、アルテミスの目に飛び込んできたのは、巨大な斧をもった魔獣であった。
しかし、その魔獣は斧を振りかざしたまま微動だにしない。よく見ると石で作られた彫像であった。

「ふぅ、びっくりした」


二人で抱き合っていた。

「見ろアルテ、お前が本当に会わなければいけない人があそこで待っている」

石造りの部屋の奥、中心方向を指差すメタルビートルがアルテミスに告げる。
その指の指す方向には、炎が5つ燈る台に囲まれた巨大な氷の結晶がある。
いや、よく見ると炎に照らされ薄っすらと黒い影が氷の中心部分に確認出来る。
アルテミスは何故だか吸い込まれるようにその氷に足が向かった。
ようやくその黒い影の正体が分かりかけてきた。それは氷付けとなった一人の女性の姿であった。

赤石物語
(Blackworld and Redstonestory)

~古都の南風 傭兵の詩~



小都市ビッグアイその中央に高くそびえる塔がある。
戦場では男たちが未だに凌ぎを削っていた。

「やっと我が家についたな。さぁ目覚めろトリーシャ、我が僕よ」

塔の一番高い所にある一室では、ザードフィルが冷たくなったトリーシャの身体に不思議な
気体とも液体とも言えない不思議な球を当てていた。
その球体は時に真っ赤に、時に真っ青にまた時にはどす黒い色をしそれぞれが混ざり合いながら
光を放っていた。
その光の球から、光の雫が落ちトリーシャの唇へと流れていく。その一つの雫がやがて線となり
次第に太くなっていく。
その光の線が太くなるとは逆に光の球はどんどん小さくなる。やがては小さな小石のようになり
最後には全てトリーシャの口へと流れ込んでいった。

「うぅ、ここは何処だ。ざっ、ザードフィル何故お前が」

闇の中から目を覚ましたトリーシャが信じられないと言った表情で叫ぶ。

「ははは、トリーシャ残念だがお前は私からは逃れられないさ。いやもう一人のトリーシャからもな」

「な、なに!」

ザードフィルの言葉にうろたえたトリーシャが、部屋の周りを見渡しその視線が小さな窓を見つけ止まる。
その窓には大きな満月が、妖しく赤色に光っていた。心なしかいつもより大きい円を書いていた。

「くぅ、ううぅ。ダメだ。お前は出てきては行けない」
「は、はめたわね、ザード・・・。ああ~あダメよ。ああ~もう意識が・・・」

突然、頭を抱え出し床を転げまわるようにトリーシャが長い髪を振り乱し苦悩の表情を浮かべる。
頭を抱え、床にうずくまるトリーシャの体が小刻みに震え、そしてゆっくりと振動がどまる。

「ふふふ、はははぁ、戻ったぞ。私は戻ったぞ」

突如、奇声を発したトリーシャの表情はすでに別人となっていた。それどころか髪も短くなり多少の
面影を残す以外はまったくの別人と変わり果てたトリーシャがそこにはいた。

「トリーシャよ、愛しいトリーシャよ戻ったか」
「月の夜にお前に流れる太古の血が再びお前を狂わせる」
「私は錬金術を研究するにしたがい、レッドストーンの欠片に眠る天界の血を発見した」
「そしてそれは、聖なる意思と禍々しい意思が混沌となり結晶化したものとわかった」
「先程お前が飲んだあれがそうだよ。液体のようで固体のようで気体のようでもある。あれがレッドストーンの欠片だ」
「そして、お前はレッドストーンの適正者なのだよ。お前に流れる血。太古の末裔だよ」

得意げに語るザードフィルの前に落ち着きを取り戻し、妖艶な表情のトリーシャが近寄る。

バタン!

その時であった、トリーシャの呻き声を聞きつけて楸とインターが扉を開けて部屋に駆けつけた。

「何事だ?トリーシャは何処だ?」と楸。
「やはり裏切ったかザードフィル」インターが静かに呟く。

「ん?何のことだ。トリーシャは確かに助かったぞ。お前等の目の前にいるだろう」

「何!」

狼狽する楸の前にトリーシャが槍を持ちにやりと笑う。

「ま、まさか」

バキン!

「ぐはぁ」

不意をつくトリーシャの攻撃が楸を襲う。そしてトリーシャであるかも知れないとの思いが楸に反撃を
思い止まらせた。一撃、二撃と槍が楸を襲う。頭から血を流し鎧はへこみながらもなんとか意識を保つ。

「ははは、泣け! 叫べ! そして、死ね!」
「月を見るたび思い出せ!太古の血の継承者トリーシャの名を!」

遂に楸の意識は真っ白な世界へと消えていった。
ただ倒れながらにその瞳に映る赤い大きな月だけが意識に残されていた。





<あとがき>

はは、たまには一気に更新しないと第二部が終わらないのでw
まぁ、今回は新たな展開のための予告編的なものなのでねb

アルテ編は遂に最後の試練へと進んで行きます。
長い試練もこれで一応最後となります。
少しは私もアルテも成長したでしょうか?

戦争編は急展開ですね^^
久々にザーさん&トリーシャさん、楸さん&インターさんの登場となりました。
まぁトリさん的にはチョイネタぽくしてるのですが分かったかな?
設定とか台詞とかですw





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最終更新日  2006年11月28日 21時25分48秒
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