mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2006年12月15日
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赤い光線と青い光線が混ざり合い、幻想的な光景がアルテミスの視界に広がる
部屋の中央では、魔獣ガラテアが赤い光を帯びた魔獣と青い光を帯びた魔獣に囲まれている。

「さぁ、赤き旅人よ、我らの求めに応じて下さい。そして、我らの過ちを正し、人々を救って下さい」

天井からの声がアルテミスに話し掛ける。

「私、意味が解らないのです。赤き旅人とか言われても。どうしたらいいのか」

「目の前の屈強な魔獣、それは魂を奪われた悲しき戦士のなれの果て、ただひたすら氷の女性を守るのみ」
「最後の想いにのみ突き動かされています。そして、悲しき氷の女性。彼女を救い出す以外に戦士の魂は戻りません」

「私に何が出来るの?」

「赤き旅人よ、彼方はまず真実を知る必要があります。悲しき運命の日を」

「我ら赤き旅人が守人の過ちを・・・」

「彼方は誰?真実って何?解らないことばかり・・・私に何を求めるの?」

「赤き旅人、アルテミスよ。掌を上へ、私の力で時の壁を超えてもらいます」
「そして、見て、感じるのです。真実を。きっと正しき道が見えるはず」
「彼方のなすべきことが」

「で、でもあの子達がまだ戦っている。あの子達を置いては行けない」

「優しき戦士アルテミスよ、安心するがいい。それは長き旅かもしれない、しかしほんの一瞬の出来事でもあるのです」
「彼らは強き正しき心を持った魔獣。この部屋の力が開放された今、あの子達は簡単には負けはしない」
「安心して自らがなすべき事を確認してくるのです。さぁ掌を上にかざしなさい」

キュウ。
キュウキュウ。



「ありがとう、本当に君達には助けられてばっかだね」
「私、勇気を出していってくるよ。きっとまた会えるよね」
「だって君達は私を守る一対の宝剣だもんね」

アルテミスがゆっくりと両方の腕を天井に向かい伸ばす。掌を開いた時、天井が眩いばかりに輝き始めた。

「さぁ始めましょう、真実への旅を」

赤石物語


~古都の南風 傭兵の詩~

『第34章 真意』

暗い廊下、ザードフィルの塔の中に二人の女性の口論が響く。

「そんたらこといっでも、らじね」
そんなこと言っても、らちがあかない

「でも、聞いてルジェ、私達だけではどうにもならない」

声の主、つまり雪音とルジェの会話が少しずつ大きくなる。

「わ、えふりこぎじゃねが!だすけぇ、このままほんじなしじゃ、いんずい」とルジェ。
私、見栄っ張りじゃない!けど、このまま意気地なしじゃ、心地悪い

「簡単に言わないでよ!奴等だって簡単に信じる訳ないでしょ」と雪音。

「だすけぇ、つらつけね思われでも、やづらにかだる」とルジェ。
だけど、ずうずしいと思われても、かれらに加わる

「私だって、トリーシャを助けたい思いは同じよ、けど簡単には行かないし、トリーシャ自身が・・・」
「呪われた血の呪縛は、ザードフィル様しか解けないし・・・」
「彼らが上手くザードフィルを倒したところで、トリーシャが元に戻るかどうかなんて・・・」

雪音がなんとかルジェを説得しようとするが、上手く言葉が見つからない。

「そったら、ぐやめぐのはやめれ!」
そんなぐちるのはやめて

ルジェが雪音を一喝する。

「どうしたの?ルジェがなんか怒ってるみたいだけど、私と何か関係があるの?」

二人の背後にトリーシャが立っていた。二人はバツが悪そうになんでもないと同時に首を振る。

「ルジェさん?あなた興奮すると故郷の言葉がでるのよ、私に隠し事なんて冷たいね」

「お姉さま、誤解です。ただ少し、デ、デザートのことで揉めてただけですの」とルジェ。

「そ、そうよ。な、何でもないの」と雪音。

二人の苦しい言い訳が続いたが、トリーシャは気にも止めず振り向き戻っていく。

「ザードフィル様がお呼びです。二人が招いた客については不問だそうよ」

暗い廊下をコツコツと音を鳴らし、奥へと消えていく。残された二人も顔を見合わせトリーシャを
追いかけて暗闇に溶けていった。


塔に幽閉された花火達、マシン・インターによって開かれた扉の向こうから足音が近づいてくる。
花火、フクチ、楸の三人は反対方向へと足早に進む。廊下の角を何回か曲った後。近くの扉の中へ
と逃げ込んだ。

「ようこそ諸君。そして久しぶりだな花火」

部屋の奥、暗闇の中から聞きなれた声。ザードフィルの声は届く。
身構える楸とフクチを右手で制止して花火が一歩前に出る。

「あまり品が良い住まいじゃないな。ザードフィル」と花火。

「そうか、案外気に入ってもらえると思ったのだがな」
「今日は客が多くてな、大したもてなしも出来ないがゆっくりしていくといい。楽しい宴が始まる」

ザードフィルが静かな口調で答える。

「お前が手に入れようとしている力は我々人間の手に余る物だ」
「力では人を幸福に出来ないと何故理解出来ない!」花火が問う。

「お前が持つ力、臆病なお前には過ぎたる物。俺なら力を有効に使える」
「俺は既に変わりの適正者を見つけた。そして、レッドストーンもな」
「お前の中で眠る、レッドストーンよりも大きな赤い石をな」ザードフィルが得意げに答える。

「どうやって、力を手に入れるんだ?お前は適正者ではないのだろ?」楸が口を挟む。

「ほほ~楸と言ったな。中々いい眼をしている。お前の中の漆黒の炎が渦巻いて見える」
「お前のその強すぎる正義感は、己の弱さの裏返しだろう?どうした?動揺が瞳に現れているぞ」

思いもよらない言葉に、楸は怒りをあらわにし、ザードフィルに向かっていこうとしたがフクチがしっかりと
両方の肩に手をかけて抑える。

「ここは奴の城、安易に行動を起こすのはまずい」とフクチがたしなめる。

「フフ、いい瞳だ憎悪が満ち溢れている」
「花火、感じるか?これが人なんだ。強い正義感が激しい憎悪を呼ぶ」
「今、この大地は悪意に満ちたオーラで溢れている。こんなに悪意に満ちているにもかかわらず」
「人々は正義の戦いと言い。お互いを傷つけあう」
「それが、この母なる大地にどんな影響を及ぼすかも知らないで」
「大地は浄化の炎を求めている。天上界より失われた赤き炎、地下界より湧き出る黒き炎」
「全てのバランスが狂い出し、やがてはこの母なる大地が黒き炎に包まれる」

悲しき表情でザードフィルが語る。一同は始めてみるザードフィルの人間らしさに驚きを隠せなかった。
ただ一人、花火を除いては。

「しかし、お前のやり方に賛同できない。人は可能性をもった生き物だ。醜い反面、お互いを慈しみあう」
「人が愛を忘れない限り、俺は人という種を信じる」と花火が反論する。

「お前はお前のやり方でいい。俺は不安なんだよ、絶対に壊れないと言われ氷の橋を渡るようなもんだ」
「俺はその橋を全力で壊すのさ、本当に壊れないなら人はその橋を渡るがいい」
「俺はこの大地の守人が最後の末裔。この世界を守るのがさだめだ」
「さぁソロソロ俺は失礼しよう。他の客も待たしているのでね」
「ああ、忘れていたよ。フクチ大佐と楸君に私からプレゼントを渡そう」

ザードフィルが二人に目線を合わす。二人は身構えるが、何時の間にか黄色の光で自由を奪われていた。
ゆっくりと、コートの中から黒く光る球体を取り出すザードフィル。
その球体は金属のような鈍い光を放ち、中に液体でも詰まっているように光がうねっている。

「これは、錬金術者として私が極めた結晶だ。ブラックストーンと名づけている」
「漆黒のこの世界にぴったりの名だ」
「右手の球体。これは、埋め込まれた者のオーラを永遠に食らう石だ」
「こいつはウイザードの力に反応する」

掌より少し小さい球体は妖しく光り、フクチの目の前に持ち上げられる。嫌な汗がフクチの額に流れる。
記憶の何処にもない恐怖心がフクチを襲う。これほどの恐怖は数々の戦争を潜りぬけた猛者もこの小さな
球体に不思議な恐怖感を覚える。
そして、ゆっくりと球体が額の中にめり込んでくる。完全に球体が額に飲み込まれ時、フクチの身体に
急激な脱力感が訪れた。

「感じるか?自分が無力になった感覚を。安心しろプレイヤーとしての力を失っただけだ」
「普通の人間と同じ、魔獣に怯える生活を送るだけだ」

怒りに満ちたフクチは杖に力を込める。しかし、杖ばかりでなく自分の指先にすらいつもの感覚が伝わらない。
絶望感がフクチを襲う。ザードフィルは何事も無かったように、今度は左手を楸の眼前に持ち上げる。

「安心しろ、これはお前の力を食らいはしない」

ここで、にやりとザードフィルが笑う。楸の瞳は力強くザードフィルを睨み返す。

「いい瞳だ。その憎しみに反応し魔獣の力をお前に与えるだろう。但し、お前の自我と引き換えにな」
「お前も聞いたことがあるだろう、悲しき湖の洞窟に棲む魔獣の話を」
「あれが俺の研究の始まりだ。プレイヤーと魔獣の共通点からレッドストーンに眠る神獣の力と融合を試みた」
「次にお前も知っている、メタルビートルだ。奴の病から救う手立てはレッドストーンとの融合しかなかった」
「そして、有機物と無機物の融合の媒介に槍を選んだ。その時点では意思のある有機物レッドストーンとの直接融合はできなかった」
「そして、ついに俺は見つけた。赤い悪魔達、地下界の住人達と同じ血、呪われた古代エリプシャンの血を」
「赤い悪魔がなし得た、レッドストーンの力との融合、それは皮肉にも悪魔達を一番憎む種族」
「悪魔達に根絶やしにされたとされるエリプシャンの血統にあったのだ」
「もう判るだろ、トリーシャの呪われた血。それがレッドストーンとの融合の鍵だよ」

フクチと同じように、ザードフィルの手から楸の額へと黒い球体が移動する。

「しかし、残念ながらこれは完全な物ではない。本来の力を使用すると自らの自我を侵食し始める」
「くれぐれも気をつける事だな、プレイヤーの力を解放するたびに恍惚と憎しみの感情が石に侵食される」

ゆっくりとそして確実に球体は楸と同化し始め、遂には全てが楸の中へと消えていった。

「そして、最後にもう一つ。これは呪いの効果も付けてある。お前が俺を殺した時、それが合図となり」
「お前の中の力が暴走し、俺の力とお前の力を全て吸収した魔獣が召喚されお前を乗っ取るだろう」
「憎いか?くくっく。はははっは。憎い俺を殺した時、お前は俺の思い通りに世界を焼き尽くす魔獣となる」
「せいぜい、俺のために世界を蹂躙してくれ」

真実を知らされた楸は言葉を失った。憎き敵を倒す事で自分が敵の望みを叶える魔獣となる。
どうにもならない事態。理解できない出来事が起こりただ立ち尽くすのみであった。

「では、宴の準備がある。余興はここまでだ。花火、是非俺を倒しに来い」
「ただの人となった男と自分の力の解放を恐れる男と共にな」

再び部屋には暗闇だけが残った。ザードフィルは音も無く姿を消していた。
途方にくれる三人の男を残して。

<あとがき>
ついに過去と現在の繋がりが見えてきたかな?
ザードさんの考えも少し、本当の真意なのかどうかは知りませんがw
そして、フクチ、楸が呪いにかかってしまった!

ルジェさんの言葉はどうなん?
適当に書いているので間違っているかな?
まぁ雰囲気が伝われば・・・

あ、今回は戦い全然なかった、ごめん面白くなかったねぇ~





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最終更新日  2006年12月15日 23時17分02秒
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