追悼気骨の政治家大石武一さん | 気ままな日記

追悼　気骨の政治家大石武一さん

　私たちが米沢で環境保護活動をしていることを知った大石さんは、米沢市の名誉市民で民法学者我妻栄さんとの思い出を次のように語ってくれました。
「環境庁長官になり佐藤総理から公害防止法を作るように指示があった。しかし、立法化する時に大きな壁は官僚たちだった。話し合いをしても出来ない理由だけを述べる官僚たち。国民の健康と環境を守る立場の役人たちが企業の代弁者になっているのには驚いた。案じているとひとりの民法学者を思い出した。その方が米沢出身の我妻栄先生だった。以前私は先生と法律雑誌で対談をしたことがあり、そのお人柄や民法学者としての基本的人権を考慮した考え方に敬服していた。我妻先生なら私の考えをわかてくれるだろうと、早速、環境庁の顧問に就任されることをお願いに行った。彼に私がやらなければならないこと、それを実行するためには官僚たちの障害を乗り越えなければんらないことをお話しした。先生は環境庁の顧問は勘弁して下さい。ただし大石さんあなたの個人的な顧問にはなりますからと言ってくれた。先生はすぐに官僚たちに話をして、公害防止法の必要性を説いて下さった。そのお陰で公害防止法が生まれた。官僚たちは東大卒で我妻先生の教え子だった。官僚といえども我妻先生には楯突くことはできなかった。本当に先生には私も国民も助けられました」
「米沢のために役立つことがあれば我妻先生の恩返しをしたかった」という大石さんは一九九五年六月米沢生活協同組合の主催した「最上川エコシンポジウム」に全面的に協力を申し入れてくださいました。米沢生協の組合員が集めた環境基金の送り先であるタンザニアや中国、ベトナムから講師をよび、市内の小中高校で講演会を行いました。この時の条件がおもしろい。「講演を聞かせるのは子どもたちにしろよ。大人は利害で動くから話を聞いても影響力は少ない。子どもは純真だ。真っ白だ。未来を考える力を養うようにするのだ」と冷静な目で言うのでした。大規模林道工事に対して反対の立場を貫いていました。この件で白鷹町に視察に来ていただいたこともありました。

大石武一さん

　とにかくユニークな方です。白布温泉西屋旅館に宿泊したときは、鯉の甘煮をガリガリと食べるので「小骨が喉に刺さります」と言っても「大丈夫、大丈夫。歯が丈夫だからね」と言っていうことを聞きません。温泉で背中を流したときは「済まないね。ありがとうね」と優しい声を掛ける方でした。ある高校へ大石さんが直接講演に出かけると地球環境と暮らしについて話し終えると、いきなりマスターベーションの体験談を披露し、医師としての一面もみせるのでした。
　大石さんは議員を辞めてからも環境問題に取り組まれ、多くの後継者を育てられました。私も大石学校の生徒のひとりであることを自負しています。気骨の政治家、いや偉大なる運動家大石武一さん　安らかにお眠り下さい。

　二〇〇三年十月二十日　記

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