第11回 たくろう所利用者に学ぶ「家庭延



 今、グループホームを建設しています。27人の痴呆高齢者の共同住居です。建物は3つのグループに仕切られてあり、1つのグループに9人のおじいさんやおばあさんのお部屋があります。お部屋は洋室と和室があり、洋室にはトイレがついています。和室にはトイレはなく、廊下を出てから隣り合わせの共有トイレになります。そうそうお部屋の大きさは8畳です。その中にクローゼットや手洗いもありますから、くつろぎは6畳分のスペースで過ごしていただくことになります。各グループ毎に食堂兼お茶の間があります。日常はそこで過ごします。

 たくろう所を10年間運営してきて、常に「脱施設・家庭の延長の介護」を目指してきました。お手伝いをする側も主にボランティアでした。その結果、まだまだ不十分かもしれませんが、それなりの計画は達成してきたのかもしれません。今度のグループホームにも「家庭の延長」を持ち込みたく、建物は平屋で木造にしています。しかし、介護力が問題です。

グループホーム

 グループホームの開所条件に、ケアマネージャーや計画作成経験者のいわゆる「資格者」を採用しなければなりません。これらの方々の多くは施設勤務経験者です。この福祉業界の新参者は、この資格者たちを引き抜きやスカウトで採用して、グループホームを開所しなければならないのです。この一年間いろいろなケアマネージャー(以後ケアマネと称す)とお会いしましたが、結果的にはボランティアとハローワーク(職安)からの紹介でした。集まった資格者の皆さんはとてもいい人たちでよかったと思っています。

 ケアマネの専門家といっても、たくろう所やグループホームの介護は難解かもしれません。このケアマネの皆さんは不安がっています。その理由は「施設介護の習慣を引っ張るのではないか」ということです。長年かかって体得した施設の中での習慣が、たくろう所のような「家庭の延長」の介護を邪魔してしまうことです。何事も効率性を重視したスピードと時間との闘いではなく、おじいさんやおばあさんのそれぞれのベースに合わせていくたくろう所の介護は、簡単なようで難しい介護なのです。
 今日も家庭の延長の介護をたくろう所のおじいさんやおばあさんに学んでいる毎日です。

 11月30日記


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