幼幻記17 命日





命日


 幼幻記 17



 菊が祭壇の周囲を飾っていた。

 その菊は祖母の作っていた菊であった。大小の植木鉢の菊は満開に咲いていた。

 祖母の目は瞬きもしない。気丈にしていても反応がない。

 まだ25歳だった母と生まれたばかりの弟の死はそれほど影響が大きかった。
 私は虫歯が痛く、サロンパスをほっぺに貼っていた。

 昭和32年(1957年)10月26日の母と弟の死から49回目の命日を迎えた。

 菊を見るといまだに鮮明にあの祭壇とあの時の気丈な祖母の顔が浮かんでくる。

 2005年10月26日記


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