8月13日(木)17:00開演 会場:東京文化会館
他のフェスプログラムと違い、たった1日しか上演されないガラ。
今年も激しいチケット争奪戦が繰り広げられたようで、かくいう私も、
落選は免れたものの、下位希望での当選となり、舞台左半分が切れてしまうという
最悪の席での鑑賞となりました。
ダンサーは踊っているのに、舞台上には何も見えないという状態が
全体の3割ぐらいを占めていたのではないかと思います
全く、毎年、 バレエの祭典会員券
を2席も購入しているのに、NBSさんは本当に非情です。
でも、感動を伝えたく、見えなかったながらも少し感想を書いてみます。
■第1部■ 17:00~18:00
序曲「戴冠式行進曲」 (ジャコモ・マイヤベーア作曲)
「白鳥の湖」第1幕よりパ・ド・トロワ
振付:グレアム・マーフィー/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ルシンダ・ダン レイチェル・ローリンズ ロバート・カラン
グレアムの白鳥の湖はBプロ黒鳥のほうが、
どろどろとした嫉妬の渦に背中がゾクゾクとして楽しめました。
全体の中では、残念ながら印象が薄いです。
「カルメン」
振付:ローラン・プティ/音楽:ジョルジュ・ビゼー
タマラ・ロホ フェデリコ・ボネッリ
ロホはとても色っぽく威厳もあるのですが、
スタイルがあまりカルメン向きではないかもしれません。
そのせいなのか、色っぽさのなかに幼さを感じてしまいます。
しかし、コンテの中でも身体能力の高さが随所に感じられ、
最後の体幹の反り返しは柔らかさ全開で息を呑みました。
でも、今回のフェス全般を振り返ると、圧倒的な存在感をみせ
妖艶かつチャーミングなロホに相当魅せられました。
「ダンス組曲」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:J.S.バッハ
ニコラ・ル・リッシュ
ニコラの脱力感を漂わせるパフォーマンスに心地よさを感じた作品。
チェロの伴奏との融合もとてもよく、今でもあのチェロの響きが耳に
残っております。しかし、残念ながら、私の席からはチェロの先端しか見えず、
舞台上の二人の姿を同時に拝見することはできませんでした。
この作品をオペラ座のレパートリーとする際に、ロビンスからルグリが踊ることを
条件として提示された作品(ルグリ本参照)ということもあり、
どうしてもルグリの姿と重ねてしまいますが、ニコラらしく仕上がっていたと思います。
でも、最後はもう少し元気よく、パを踏んで欲しかったかな。
「いにしえの祭り」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:リヒャルト・シュトラウス
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン
ブシュの赤いドレスが印象的でしたが、それ以外はあまり
記憶に残っておりません
「ジゼル」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ /ジュール・ペロー/音楽:アドルフ・アダン
アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス
マントをまとったジョゼの気品漂う立ち姿にまずノックダウン。
あんなにジゼルは見ているのに、ジョゼのアルブレヒトは初体験です。
足先のノーブルさにパリオペエトワールの威厳を感じます。
対するアニエスも暗い舞台の中で威光を放っておりました。陶酔のひととき。
<休憩20分>
■第2部■ 18:20~19:35
「ジュエルズ」よりダイヤモンド
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
今回のフェスのこのペアでは、この演目が最も光っていたように思います。
前回、3年前のフェスでもこのダイヤモンドを踊りましたが、
そのときは、ジョゼ・アニエスペアも同じ演目を踊り、
なんとなく対比してしまったこともあり、私の中では
この演目での二人の印象が薄くなってしまいました。
しかし、今回は、マラーホフ王子さまと貫禄あるヴィシを
存分に堪能させていただきました。
「カンティーク」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:ユダヤの伝承音楽
エリザベット・ロス ジル・ロマン
ユダヤの帽子を頭にちょこんと乗せたジルが印象的、
相変わらずエリザベットは美しく貫禄があります。
結構な長さの演目ですが、最後までエネルギッシュに踊りきる二人の
姿に感銘を受けました。
「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトール・グゾフスキー/音楽:ダニエル・オーベール
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル
グラン・パ・クラシックと言えば、白のイメージですが
今日は黒の衣装で登場したポリーナちゃんとフォーゲル。
ポリーナちゃんのチュチュは今回の中では初めてでしたが、
安定感があり、安心してみていられました。美しい。
フォーゲル君は、アントルシャなど足捌きがちょっと雑な印象を受けました。
「TWO」
振付:ラッセル・マリファント/音楽:アンディ・カウトン
シルヴィ・ギエム
これは、何度目の鑑賞になるのか、毎回違う不思議な世界を
楽しませてもらっています。
照明効果で、手先が強調されて見えるのですが、とても素早い動き。
しかも、両上肢を回転させる動きのときには、明らかにその軌跡が
見えるのです。とても、不思議に思い、お友達に聞いてみたところ、
ライトを点滅させているとか...マラーホフの「コート」みたいね~
「ソナチネ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:モーリス・ラヴェル
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ
待望のソナチネ、今まで何度かプログラムとして発表されておりましたが
諸般の事情で、演目変更となっていた幻の作品。
ピンク(オーレリー)と水色(ルグリ)の衣装に包まれ笑顔で登場した二人には、チャイパドを彷彿。
悲しいかな、水色のお衣装とルグリの髪の後退感がなんとなくアンバランスですが、
そのパフォーマンスは相当に若々しく、その違和感も払拭される。
この振付は、舞台上を縦横無尽に移動するタイプのもので、私の席からは
残念ながら見えないシーンが多い。
途中から見えるルグリの左から右へ移動しながらのスピンもとても早く、
動きもとても滑らかでした。
右手の舞台袖に入っていく際に、体幹を大きく弓なりに反らせながら退場、
柔軟性も相変わらずね~と感動しながらみておりました。
見えないながらも、オペラグラスを放さず舞台をみつめておりまして、
拍手が散漫になってしまった自分を大きく反省。
私以外にもそのような方が多かったせいかカーテンコールも2回に留まる。
「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン
パリの炎が凄すぎて、シムキン君のアリも相当に凄かったのですが
地味な印象を受けてしまった。コチェトワの技術も高いですね~
<休憩15分> ガラは長すぎて、書いても書いても感想が終わらない・・・
■第3部■ 19:50~20:40
「ラ・シルフィード」
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル/音楽:H.S.レーヴェンスヨルド
ナターリヤ・オシポワ レオニード・サラファーノフ
サラファーノフ君の技術の高さは相変わらずで、世代交代を感じさせられました。
しかし、シルフィードと言ったらルグリを思い出してしまう。
「アルミードの館」よりシャムの踊り
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:ニコライ・チェレプニン
ティアゴ・ボァディン
これには驚嘆、とても早い振付でびっくりしているうちに終わってしまった。
もう一度、改めてみたいと思った作品でした。
「マクベス」
振付:ウラジーミル・ワシーリエフ/音楽:キリル・モルチャノフ
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・ウヴァーロフ
前髪をおろしたウヴァに釘付けとなってしまったが、
よく見ると顔を色黒に塗ってオレンジの衣装を身に纏い、いつもと相当に違う雰囲気。
対するザハロワは真っ赤なドレス、スリットから見える白い足が力強く、そして美しい。
相変わらず、足を耳の横まで挙げていたけれども、慣れたせいか自然に見られました。
全体を振りかえっても、強烈な印象が残る演目でした。
「ロミオとジュリエット」より "寝室のパ・ド・ドゥ"
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
シオマラ・レイエス ホセ・カレーニョ
ベッドに横たわるシーンから始まりましたが、ベッドの右側がかろうじて
見える程度でして、最初から落胆させられてしまった。
この演目では、カレーニョの跳躍やピルエットを拝むことはできませんが、
カレーニョの笑顔と逞しいけれどエレガントな足に注目しながら見ておりました。
「じゃじゃ馬馴らし」
振付:ジョン・クランコ/音楽:クルト・ハインツ・シュトルツェ
マリア・アイシュヴァルト フィリップ・バランキエヴィッチ
バランキエヴィッチがとてもエネルギッシュであり、会場も沸いておりました。
どうしても、かつて演じたフェリのいやいやする足の動きが細やかでとても
愛らしく印象的であったため、アイシュヴァルトと比較してしまう。
<休憩15分>
■第4部■ 20:55~21:55
「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン/音楽:ボリス・アサフィエフ
ヤーナ・サレンコ ズデネク・コンヴァリーナ
省略
「三人姉妹」
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリアネラ・ヌニェス ティアゴ・ソアレス
好きな演目、マリアネラがとてもよいですね~
ティアゴも軍人の衣装がよく似合っていたと思います。
「ザ・ピクチャー・オブ」
振付:パトリック・ド・バナ/音楽:ヘンリー・パーセル
マニュエル・ルグリ
昨年の暮れ、東京で初演された作品。
しかし、音楽は鯨の鳴き声など前回と同じですが、違った印象を感じました。
ルグリはTシャツを頭にかぶり、ウルトラマンのキャラクタージャミラのような
シルエットで当初、登場しておりましたが、今回はそのようなパフォーマンスはありませんでした。
最後の手を振るシーンも、前回は新たな人生の幕開けを感じましたが
今回はなんとなく暗いイメージ、お席のせいかしら…
「ロミオとジュリエット」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
オレリー・デュポン ローラン・イレール
これは、今回のガラの中で、最も忘れがたい作品。
R&Jの最後の場面で、皆様ご存知のとおり、交互に死の訪れを演じるのですが、
死を演じるその表現力が素晴らしい。
どうしたら、あれほどまでに力なく反応しない死の様子を巧みに表現できるのか…
あの二人だからだとしか思えないパフォーマンスでした。
最後に、ジュリエットが死を決断する際に、ロミオに勢いよく泣きすがり、
そして、床にはねつけられのですが、そのときに床を回転するオーレリーの
姿がとても美しいのです。
お二人に深く感謝。
「春の声」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ヨハン・シュトラウス
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
ガラの最後にふさわしい「春の声」。
コボーに高らかにリフトされ、花びらに見立てた紙吹雪をちらちらと
巻きながら登場するこの演目は本当に華やかです。
コジョカルは本当に愛らしく、思わず笑みがこぼれます。
幸せいっぱいのふたりからお裾分けをいただきました。
「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
上野水香 デヴィッド・マッカテリ
なぜか、バレエの発表会を思い出してしまいました。
それ以上は控えます。
フィナーレの前に、男性ダンサーが女装をして、
トゥシューズを履いて踊るファニーガラがありますが、
字数の関係でこれ以上は書けないので、ここで終わりにいたします。
長い感想に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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