レムリアからの転生旅行者

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神坂俊一郎

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Jul 20, 2020
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テーマ: 怪談(48)
カテゴリ: サヴァン症候群
那須は、梅雨空の上、時々時間雨量100ミリ近い豪雨に見舞われるのですが、洪水の心配がまずない所が安心です。
とは言っても、1998年8月26日~31日の那須水害がありましたから絶対はありませんが、この時、初日8月26日の那須町の日雨量が607ミリ、6日間の総雨量が1254ミリと、年間降水量の3分の2ぐらいが6日間で降ったのです。600ミリの後100ミリ以上の雨量が5日連続することって、確率的には2千年に一度あるかないかであるとのことでした。
幸い、それだけ雨が降っても元々水はけがよく、那須疎水が開削されるまで不毛の原野だった那須野で、平地でも周囲よりも30センチぐらい高い我が家の敷地内は、全く浸水しませんでした。
さて、続きです。

12月に会って美紀子さんに充電した後、8月にもたまたままた大阪に行く機会があった一郎君、再会から3年でそろそろ電池切れと言うよりも、時間切れと言うか、寿命切れになりそうだと本当に心配になっていたのです。
ですから、何としても会った方が良いと電話をかけまくったのですが、美紀子さん、会えるかどうか調整してみるからしばらく待ってと答えたのです。
そのしばらくの間に一郎君、難波から心斎橋筋を歩いて北上し、船場に至った時にようやく、「今回はパスするわ。」とお断りの電話が来ました。
この時一郎君、サヴァンの予知までは行かなかったのですが、このまま二度と会えなくなりそうな気がしたのです。
ですから、何とか会いたかったのですが、翌日には福島に移動することになっていましたから、時間が取れなかったのです。


そして、まず象徴的な事件が起きました。
美紀子さんの誕生日の4日前の8月下旬、3年前に一郎君が彼女にプレゼントしたトルマリンのブレスレットが粉々に砕け散ったのです。
トルマリン、石ですから普通はいくつかの石が割れることはあっても、全部の石が粉々になることは、まず考えられません。
直接会えなくても、ブレスレットを通じて一郎君からエナジーを受け取れるような気がしていた美紀子さんでしたから、その命の綱が全く補修しようがない壊れ方をしたことは、大変なショックでした。
それで、泣きながら一郎君に電話して、代わりのブレスレットをねだったのです。
一郎君、粉々になったと聞いて、もしかしたら本当に自分のエナジーがブレスレットを通じて美紀子さんを生かしていたのかも知れないと思いました。
しかし、出張先の高知で電話を受けましたから、東京や大阪ならともかく、高知で手配できるだろうかとまず心配しました。
ところが、幸運にも特産の珊瑚を扱っていた宝石店の1軒の閉店セールがあり、珍しいグリーンのトルマリンのブレスレットがリーゾナブルな値段で出品されていて入手できたのです。
今ならネットでいくらでも手配できるのですが、当時は楽天市場もなく、ネットショップがまだまだ珍しい時代だったのですから、高知で手配できたのは奇跡的でした。
これなら誕生日プレゼントに何とか間に合うなとほっとしつつ、一郎君、一晩身に付けたうえに、両手で包んでエナジーを充填してから送りました。
そして、誕生日にブレスレットを受け取った美紀子さん、大喜びだったのですが、身を清めてから身に付けようと思ってシャワーを浴びました。

このまま彼から送られてきたブレスレットを身に付ければ、私はもう少し長生きできそうだけど、それは生ける屍としてであって、恐らく家族にも彼にも迷惑をかける。
私の人生、これで終わりにするのが正解なんだ。
そして、この瞬間は、21年前に彼と別れた時に既に予知していたことだったのだ。
美紀子さん、静かに運命を受け入れることにしました。

その日、今日は娘の誕生日だからと、美紀子さんの母の亜紀さん、彼女のマンションを訪ねました。

何時もなら、ああ、また仕事が入ったんだわと諦めて帰るのですが、嫌な胸騒ぎを覚えたので、管理人に鍵を借りて部屋に入りました。
すると、テーブルとベッドの間に美紀子さんが倒れていました。
呼吸も脈もなく、体も冷たくなっていました。
いわゆる心肺停止状態で、体の冷たさから推測すると、どう見ても倒れて5分以内とは思えません。
ですから、もう助かる見込みは限りなく低かったのですが、救急車を呼んで病院に搬送しました。
人工心肺で、心臓の鼓動と呼吸を復活させてみましたが、医師の所見は、蘇生は絶望的でした。
病院から美紀子さんのマンションにいったん戻った真紀さん、テーブルに置かれたブレスレットと、一郎君の手紙を見つけたので、読みました。
普通なら、娘の不倫を疑うところかもしれませんが、文面は、娘の健康を心配してくれてはいましたが、素っ気ないほど事務的なものでしたし、再会してからのこの3年間、純粋な友人として心配してくれていたことも聞いていましたから、疑いは持ちませんでした。
でも、この状況ですから、娘は恐らく彼にお礼の電話もしていないだろうと思い付きました。
どうすべきか一晩考えた末、亜紀さん、一郎君に電話をしました。
彼に電話をするのは3年ぶり2回目だなと思いつつ、何と説明しようかまでは考えずに電話したのです。

一郎君、彼女の誕生日に、そろそろ届いているはずなのに電話が来ないことが不審でした。
すると、何となく体調が悪くなったので、娘の由布さんに、「もしかしたら、誰かが死んだのかも。」と話しました。
霊感少女の由布さん、父が言う誰かが美紀子さんであることは想像がつきました。
一郎君、夜になって眠ろうとしたら妙な音が聞こえたのです。
鼓動のような音とともに、空気が出入りするような音が混じるのです。
幻視はよくあるが、幻聴は珍しいと思いつつ眠ったのですが、翌日の昼、亜紀さんからの電話が着信した時に携帯の画面に「摩耶」と表示された瞬間、事態を悟りました。
ああ、やはり美紀子さんが死んでしまったのだと。

真紀さん、何を話すか考えないで電話し、一郎君が出たもので、最初は急病で入院したのでお礼の電話が遅れますとごまかすつもりだったのですが、正直に言ってしまいました。
「美紀子、昨日の昼に倒れ、私が発見した時は心肺停止状態で手遅れでした。」
そこまで言ってしまってから亜紀さん、はたと我に返って取り繕うように弁解を始めました。
「あなたのプレゼントのブレスレットと手紙を読ませてもらいました。恐らくお礼の電話もしていないだろうと思いましたので、電話を差し上げたのです。美紀子、人工心肺を動かしていて、少し自発呼吸も始まりましたから、モーツアルトのレクイエムを聞かせています。元気になりましたら、本人からお礼の電話をさせます。一郎さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。」
事態が事態でなければ妙な言い訳とモーツアルトのレクイエムに笑い出したところですが、如何にサヴァンで心情が理解できない一郎君でも、亜紀さんの母としての愛情はわかりますし、苦しい言い訳もわかりましたから、こう答えただけでした。
「美紀子さんは、私にとっては最高の友人です。養生なさってください。」
一郎君、美紀子さんには二度と会えないと確信しつつ、幻聴の理由も理解しました。
そうか、あれは人工心肺装置の音だったのだ。
亜紀さんの電話の後、音が全く聞こえなくなりましたから、人工心肺も停止させた、つまりは美紀子さんは完全に死を迎えたことを知りました。
とは言っても、実質的には死んだのは昨日の昼だったんだろうなとも思いました。

ツインソウルの美紀子さんの死を、一郎君は冷静に受け入れました。
こうなることを、彼女は21年前に予知していたのだ。
5日前にはブレスレットが壊れたと泣いていたが、最後は静かに死を受け入れたに違いない。
そして、自分もサヴァンの能力で彼女の死を予知していたことも確認できました。
彼女は、自分が思った通り生き、そして死んだ。
生霊となって京丹波の家に現れ、首を絞めたことすらあった彼女が夢にも現れないことから、彼女は自分の死を納得して受け入れ、完全に成仏したのです。
そうなると、悲しむべき理由が見つけられなくなったわけです。
とは言っても、唯一無二のツインソウルの彼女でしたから、寂しさはありました。
でも、泣くこともできませんでしたから、限りなくあっさりと、関係を終えることができてしまったのです。
これこそが、彼女の望みだったのだろうなと思えましたし、彼女、本当は大切に思っていた夫と子供たちのこともあっさりと諦めたのだろうと思いました。

一郎君、亜紀さんからの電話の後、妻の美奈子さんには、一言だけ告げました。
「美紀子さんが、亡くなった。お母様からの知らせだった。」
普通の人間だったら、21年前の恋人が亡くなったことに悲しい顔の一つもするところですが、何事も見抜いていたかのように驚かない夫でしたし、昨夜霊感少女の次女の由布に、それらしいことを匂わせたと聞いていましたから、全ては予知済みだったのだと理解し、納得しました。
美紀子さんに一度は嫉妬した彼女でしたが、夫の態度から、彼なりに寂しいのだとは感じました。
そして、今晩、慰めてあげようと思いました。

続く。

画像は、美紀子さんと入れ替わるように横浜中華街で拾われて我が家にやってきたミトラと、当時彼の母親代わりを務めてくれたミューです。





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Last updated  Aug 7, 2023 10:23:25 PM
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Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞1(09/21) ずうずうしくリクエストをしたYokoです。 …
Yoko@ Re:ヤマトタケル?2(04/19) 21日のご返信に気が付かず、ご返信せずに…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ アメーバブログも確認したら全…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ 既に発見されたかも知れません…

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