奇跡ハ起コルノカ

2008.06.20
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カテゴリ: 小説
『その一、僕は告白します』




ある男女が屋上で向き合っている。男は緊張している様子を見せ、女は男が何か話し始めるのを待っているようだ。

こんなベッタベタな場面はあれしかないだろう。

―――――告白。

告白とは、自分の気持ち等を相手にぶつけることである。

その行動を今、この屋上でしようとしている男はこの僕、上野勇気(うえの ゆうき)である。
まぁ、僕の場合は『愛の告白』なんだけどね。
目の前で恥ずかしそうに、軽くうつむいている女性は、高城 瑠璃華(たかじょう るりか)さんである。名前から分かるように、とても美しい人だ。神は背中まですらっと伸びていて、目は大きくも小さくもないが、とても素晴らしい輝きを放っている。

そんな容姿だ。もちろん、彼女に告白する人は後をたたない。噂に聞くところによると、今まで告白してきた人は全滅らしい。あくまでも、噂だが。



しかし、その言葉が今になって出てこない。昨日、一人で恥ずかしながらも鏡の前で練習したというのに。

『当たって砕けろ』

これは、僕のモットーだ。

よし、言うぞ! 俺は言うぞ!!

「ぼ、僕は、る…瑠璃華しゃんのことがとぅきですん!」

って、おーい!! 何言ってんだよ僕!!

「え?」

ほら、彼女も俺があまりに噛みすぎて、理解していないじゃないか! 僕の馬鹿!

「だ、だから、その…僕は瑠璃華さんのことが好きなんです!」

よし、今回はしっかりと言えた。これで僕の気持ちも届いただろう。思い残すことはない。

そう、思っていたのに…。



「へ?」

「言いたいことは、それだけなのか?」

目の前にいる彼女は、軽く笑みを浮かべながら僕にそう言ってきた。

『それで』はあまりにも意外すぎる。だけど、彼女の言う通りなのかも知れない。僕が気持ちを伝えて、はい、終わりぃ~! では、僕はただの馬鹿である。

当たって砕けろだ!!



「”よかったら”で、いいのか?」

さっきと変わらない、彼女の笑みは僕をからかっているように見えた。

「いや、ぜひ! 付き合ってください!」

どうせ振られるに決まっているんだ。何を頑張っている、僕は。

「いいぞ」

「そうですよね、いいんですよね…………ってええええ!!」

何だ。このありきたりで、ありえないパターンは! いや、今はそんなことをキにしている場合じゃない!

「なんだ、嫌なのか?」

「いえいえ! 驚いただけです! え、そ…本当に僕でいいんですか!?」

「そうと言っているだろう」

彼女はそういうと、くっくっくと笑い出した。

「勇気は面白いな。気に入ったぞ」

え、今…

「僕の名前…」

確か、まだ名乗っていなかったはずだ。

「もう、私の彼氏だろう? 呼び捨ては嫌だったか?」

「い、いやいや! 嬉しすぎて死にそうですよ!」

「死なないでくれよ? まぁ、これからよろしくな」

僕はこの言葉に舞い上がってしまい、なぜ僕の名前を知っているのか、という疑問を忘れてしまっていた。










そしてこれから、僕と瑠璃華さんとの物語が始まる。





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Last updated  2008.06.20 21:10:10
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