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2009年08月22日
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     3

「やっと追いついた……」
 保持にそういって微笑む限り、彼女は保持もよく知る女性である事は間違いないだろう。
「さぁ、帰りましょ」
「帰りましょう、って……」
「もちろん地球よ。ここは棚加君がいるべき場所じゃないわ」
「じゃ、どこならいいわけ? サリナ曹長?」
「おか……いえ、司令……」
 店から出てきたネリュートが腕を組んで仁王立ちしている。

「わ・た・し・の胸の中、って言いたいの? いやぁ~ん、サリナちゃんってば、しばらく見ないうちに大人になってしまったのね~」
 感心したのもつかの間、あっという間に保持のよく知るネリュートに戻ってしまった。
「な、なにを言っているのですか!」
「その慌て様、さては図星だな? このこの~憎いね~」
「あの、お二人はお知り合いで?」
「え? 保持君聞いていないの。私達は――」
「ゴメン。棚加君、私は実はサンクロバの軍人なの。でこちらは私の上官、そういう関係よ」
「――あ~、まぁ、それも間違いじゃないけど、さ」
「司令、これ以上は機密事項に抵触します」
「え~っ、そうだけど、あぁ~ん、保持君~サリンが苛める~」
「――ッ! そのあだ名はやめてください!」

「あ、えっと、ネリュート司令、地球には サリンという毒ガスが……」
「へぇ、そうなの。ネリュートちゃん、ぜ~んぜん知らなかった~」
(この反応は知っていておちょくっているな……)
 沙理菜が悔しそうに顔を歪めている。余程悔しいのだろうが、容姿端麗、成績優秀、品行方正、冷静沈着な州上沙理菜のその表情はある意味事件だ。
「という事は、もしかして、州上さんは……」

「そうよ。サリナ曹長は、保持君の監視と有事の際の護衛、そして状況により勧誘の任務を受けていたの。というかその命令を押し付けたのは私だけど」
「……ゴメン」
 サリナが顔を背けた。保持には意味が分からなかったが、素性や目的を偽っていた事に対するものであることに気付いた。
 ――が、保持自身は全く気にしていなかった。
「ところが、任務は放棄するわ、命令違反するは……どんな任務も無表情かつ冷酷にこなす鉄仮面サリナ曹長の異名を持つあなたらしくなかったわね?」
「その……恥ずかしい名前で呼ばないで下さいッ! 異名も何も、そうやって呼ぶのは司令だけじゃないですかッ!」
(やっぱり……)
 いくら潜入任務とはいえ、彼女の生真面目さは素としか思えない。そんなサリナをネリュートがおちょくり、その反応を楽しんでいる事は想像に容易い。
「任務に忠実なあなたが私情を挟む……そ~れは、な~んでかぁ~な?」
 茶化し口調のネリュートの質問に、サリナは顔を高潮させ、唇を噛んで耐えている。
(うっわ~、怒っている……)
「――行きましょう!」
 ついに我慢できなくなったのか、サリナは保持の腕を強引につかむと、ネリュートに背を向けた。
「集合は1500だからね」
「地球に帰らせていただきます!」
「帰るって、あなたの故郷は……」
「とにかく帰ります!」
 聞く耳持たず、という体でサリナが歩き出し、保持はそれに引きずられていくのだった。





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最終更新日  2009年08月23日 20時54分39秒
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