文/森山誉恵(NPO法人3keys代表理事)
【前編「先進国で最悪水準『子どもの貧困』~ひとりの男の子と統計データが示す厳しい現実」は こちら(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48680) 】
彼は夜遅くまで公園やコンビニ前などで遊ぶ習慣がありました。
学校へは行くけれど授業についていけないので寝たり、友達と話たりして終わる。部活動のサッカーをして帰るけれど、それでも授業で寝ていたことや、年齢的にエネルギーが有り余っているせいもあって、放課後は夜まで遊んですごしていました。
家庭にいた頃は、誰もいない家には帰りたくないし、塾や習い事に行くお金もない家庭なので、自然と夜まで友達と遊ぶけれど、楽しいのは最初だけ。だんだんやることがなくなり、次第にたばこやお酒に手を出し、夜の時間にいる年上の人たちとつるむようになっていました。
先生や友達は、夜の公園などにいる年上の人たちのことは危ないし、つるまないほうが良いと言っていたようです。しかし、彼にとっては年上の人たちは自分よりも社会を知っていて、学校の先生とは違い、きれいごとだけでなく、自分の感じている現実と近い現実を語ってくれるからリアリティがあって勉強になる。
だんだん、社会も知らずに勉強だけをしているクラスの友達とも話が合わなくなって、学校でもいわゆる「不良」と呼ばれる部類になっていきました。友達や先生に怖がられ、ますます学校に居場所をなくし、勉強がわからなくても、「怖がられている自分に教えてくれる人がいるはずもない」と思い込み、勉強もすっかりあきらめていました。
これは私の想像ですが、「怖がられていること」で注目を浴びるというのは複雑な気分だったのではないかと思います。自分のもとから人が離れていく寂しさを抱えながらも、やっと何かで一番になれたという嬉しさや、それ以外の自分らしさが見つからず、「怖がられていること」に自分らしさを見出すようになっているようにも見えたからです。それが思春期の彼にとって、自分を保つことでもあったのだと思います。
学校の中で似た境遇にいる他クラスの友達と仲良くなり、放課後に一緒に公園でつるみ、恵まれたクラスの友達の守られた状況を鼻で笑いながらも、うらやましそうに話すときもありました。
「みんなは親が守ってくれるけど、俺のことはカネ(税金という意味で言っていました)しか守ってくれない」
そうこぼすこともありました。
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痴漢をしても人に大怪我をさせても、わずかな停職で済む。役所の懲戒処分の基準は民間企業に比べて、恐ろしく緩い。究極の「ぬるま湯体質」の実態を暴く。
痴漢で捕まってもクビになりません。リストラなし、役職定年もなし
「28歳、主事、男性。都内JR駅構内の階段で、女性の下半身を衣服の上から触る痴漢行為を行った。停職1ヵ月」
「43歳、主事、男性。自宅で交際相手の女性と揉み合いになった際に、顔面に頭突き、全治1ヵ月の傷害を負わせた。停職1ヵ月」
「39歳、主事、女性。帰宅途中にドラッグストアに立ち寄り、風邪薬2個(5396円相当)を万引きした。停職1ヵ月」
これらは、昨年から今年にかけて懲戒処分を受けた東京都職員の例だ。痴漢をしても人に大怪我をさせても、わずかな停職で済む。役所の懲戒処分の基準は民間企業に比べて、恐ろしく緩い。
労務行政研究所が'12年に行った、企業における懲戒処分の実態に関する調査によると、「満員電車で痴漢行為を行ったことが被害者からの訴えで判明」した場合、企業の36・9%は社員を懲戒解雇すると答えている。停職1ヵ月では甘すぎるだろう。
法に触れる行いをしてもこの程度なのだから、仕事の能率が悪い、職務態度がよろしくないといった程度のことでは、クビになることは絶対にないし、それどころか自動的に昇給していく。
「長期休職をしたり懲戒処分を受けない限り、何もせずに机の前でのんびりしていても、ほぼすべての公務員が毎年昇給していく仕組みになっています。
完全に横並びの昇給で、リストラというリスクに常にさらされている民間企業に比べると天国のようです」 (政治アナリストの伊藤惇夫氏)
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