田崎正巳のモンゴル徒然日記

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2013.01.14
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カテゴリ: 世界とモンゴル
今週のニューズウィーク日本語版に6ページに渡ってチンギスハンの墓のことが出ていました。

アメリカ系の雑誌でモンゴルを大きく取り上げることは多くはないと思うので、興味を持って読みました。執筆者はオリバー・スティーズというジャーナリストです。

記事は、「ハイテクで謎解くチンギス・ハンの墓」とあるように、死後800年を経ても見つからないチンギス・ハンの墓の調査のことが書かれています。

過去に、ドイツやアメリカ、ロシア、日本、イギリスなどの探検チームが探してきたが、全て失敗に終わっている、とあります。

ところが、最近アメリカのチームがハイテク機器を持ち込んで、かなりの科学的証拠に基づく発見が得られたというのです。

ハイテクチームは、無人機と地中探知レーダーを使って約1万平方キロ(つまり100キロ四方です!)に及ぶ周辺地域の画像を撮影しました。そして地中探知レーダーのスキャン画像から3Dの再現画像を作り上げたとのことです。

更には隠れた構造物や不自然な地形を発見するために、何千人ものボランティアが、オンラインで8万5千の高解像度衛星画像を丹念に調べ上げた、とあります。

場所は大方の予想通りヘンティ山脈周辺のようです。この辺りに13~14世紀に建造された(放射性炭素による年代測定の結果判明)巨大な構造物の基礎部分が見つかり、その周辺には多くの矢じりや磁器、屋根瓦やれんがなどの人工物が発見されたそうです。

ただまだ「確定」ではないようです。そもそも立ち入り禁止地域であるこの地域への更なる調査にはモンゴル政府の許可が必要です。(今回の調査は、政府の許可を得てやりました)



とまあ、この辺までは調査に関する話です。私が目を引いたのは、これらに関わる中国人の認識です。

この原稿にはこう書かれています。

「ちなみに中国では昔から、チンギス・ハンは中国人であり、従ってモンゴルは中国の一部であるとする考え方がある。」とあり、更には「実際、中国の内モンゴル自治区にはチンギス・ハンのひつぎのレプリカを安置した巨大な霊廟があるし、神に近い祖先として今も崇拝する人がいる」とあるのです。

私は以前から不思議に思っていました。チベットを全部占領して「ここは元々中国の一部だ」と主張するのは、インチキなりにもまだ理解できますが、そもそもモンゴル族がおり、モンゴルという中国も認めている独立国があるのに、なんで内モンゴルを占領し続けているのか?ということです。

以前、中国人から聞いた話では「元々モンゴルは中国だったのに、その一部が中国を出て行って独立してしまった」という荒唐無稽なものでしたが、その根拠として、ここに書かれているように「チンギス・ハンは中国人だった」というのがあったのには驚きました。

しかも内モンゴルにはひつぎまで安置された霊廟があるというではないですか!レプリカのひつぎというけど、普通は本物が存在してレプリカがあるのに、本物がないのにあるということは、単なる偽物でしかないというのは明白です。

しかも、まだ話は続きます・・・

モンゴル政府が最も懸念しているのは、墓荒らしによる出土品の略奪です。もし場所が正式に特定されたら、ニンジャ(モンゴルにいる零細「金」採掘者)どころではなくなるかもしれません。

今も明らかにヘンティ県で盗掘されたと思われる品々が、1万から18万ドルの高値で取引されているそうです。「主な買い手は中国人だ」とのこと。

それを趣味のコレクションに使うのではなく、内モンゴルにある博物館に飾るためだ」ということです。


今はまだこうした行為は、こうしてジャーナリズムの手で報道されることもあり得ますが、50年後、100年後にはどうなっているでしょうか?



インチキで作られた内モンゴルにある霊廟、ひつぎ、博物館は、建設時の経緯など誰も覚えておらず、本当に本物のチンギス・ハンの墓と思うことでしょう。

博物館には盗掘された「本物の」馬具、彫刻、磁器、武器などが飾られることになります。

外国人観光客も含め、多くの人々が「チンギス・ハンは内モンゴルの人だったんだ」「内モンゴルは中国だから、モンゴル人も元々は中国の一部だったんだ」なんて思ってしまうこともあり得るのではないでしょうか?

チベット問題も、恐らく中国政府としてはあと100年かけてでも既成事実化を積み重ねれば、いつかは本当に中国になると信じているような気がします。モンゴルもそうならないとは、誰も保証できません。

「チンギス・ハンの墓をそっとしておいてほしい」というモンゴル人の気持ちはよくわかりますが、アメリカなどの中立国を含めたチームで、チンギス・ハンは中国とは程遠いヘンティで生まれ、ヘンティで眠っていることを世界に知らしめることも大事なような気がします。







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Last updated  2013.01.15 10:43:01
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