田崎正巳のモンゴル徒然日記

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2013.06.04
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今朝の新聞で、元官房長官の野中広務氏が「田中角栄首相(当時)から、尖閣諸島の領有権について日中双方が棚上げを確認したと直接聞いたことを明らかにした。」とありました。

偶然でしょうが、昨日その話を聞いたばかりでした。

昨日は、岸井成格氏(きしいしげただ、と読みます)の講演会に行ってきました。

岸井さんは、関口宏さんがやっているサンデージャポンのコメンテーターとして有名でな毎日新聞の方です。

この春から、TBSのニュース23(昔、筑紫哲也さんがやってた)のキャスターもやってます。

私は政治関係の講演などにはほとんど興味はありませんが、岸井さんのコメントはいつも「なるほど」と思っていたので、今回行って来ました。

こういう講演会のいいのは、オープンなテレビ、新聞などと違って、普段は言えないようなことも言ってくれる場合が多いことです。

私たちレベルの前でオフレコの話までは無理かもしれませんが、テレビ等での「公式見解」とは異なる見方を教えて下さいます。



日中国交回復などの大舞台では、常に有名政治家の陰には新聞記者が同行しており、夜の席もかなり同席しているんだということがわかります。

新聞記者が政治家に情報を求めるように、政治家もまた新聞記者を通じて情報を集めている関係なんだと再認識しました。

岸井さんは、そうした戦後政治、戦後の日本とアジアの重要な場面で同行していた記者の一人だそうです。ですから単なる「伝聞」ではなく、実際の場に立ち会っていたんだそうです。

岸井さんは「歴史的経緯も国際法上も尖閣や竹島は日本の領土であることは間違いない」との大前提を持ちながらも、なぜ中国や韓国がこれほどまでに領土問題を主張するのかを教えてくれました。

要すれば、過去の日本との会談では日本側が「領土問題があることを認めていた」事実や「相手国の領土であった可能性を認めていた」事実があったからなのです。

そうした内容は、外務省の公式記録には残っていないだけのことであって、あったかなかったかとなれば「あった」ということなのです。

もちろん私も「きっとあったんだろうな、いろんな会話が」とは思っていましたが、歴史の証人によって事実を聞かされると、少なくとも抗議されるのは理解できるなと思います。

例えば、日中国交回復の時。交渉に臨んだ田中角栄首相は、諸問題で討議していた時に自ら「尖閣の問題はどうするのか?」と切り出したんだそうです。

結局、その話を持ち出すとこの交渉は決裂するとの両首脳の判断で「この問題は横に置く」と決めたのだそうです。

これが、今日の新聞で報道された「棚上げ論」のことです。正確には、棚上げ論はその4年後の日中平和友好条約締結時にトウ小平が福田首相に言った言葉だそうで、これはこれで有名な言葉です。

つまり、「棚上げ」にしろ「横に置く」にしろ、日中の両国首脳がその問題の存在を認識していたことには変わりなく、それに対して現在の日本政府は「そのような事実はない」「そもそも問題そのものが存在しない」と言っていることに、中国側が怒っているというのです。




日本と中国の条約が「日中平和条約」ではなく「日中平和友好条約」と微妙に異なる点です。これは歴史的には日本は既に「中国」と平和条約を結んでいたからなんだそうです。

戦後から長い間、中国を代表する政府は中華民国でした。今の台湾です。これは世界的に認められ、国連も中国の代表政府を台湾と認めていたのです。

その「正式な中国」と日本は既に1952年に日華平和条約を結んでいたのです。なので、同じ平和条約ではなく平和友好条約としたのだそうです。

その日華平和条約の内容は、全ての賠償請求権を放棄するというものでした。中国を代表する政府として現在の中国は、国際法上有効なその内容を大まかに踏襲せざるを得なくなったのです。

一般的に戦後処理というのは、国境の画定と賠償問題を解決することです。中国側からすると、前者は曖昧なままにすることを両政府で合意したものの、後者については「あれだけの甚大な損害を与えておいて、何も賠償請求できないというのか!」と怒り心頭だったとのことです。



そりゃあそうです、全体の金額が確定していれば「もう、これでいいでしょう」と言えますが、ある意味「上限なし」と考えれば、いつまでたっても終わらないのです。


中韓の歴史問題化に辟易している日本人は多いと思います。

ですが、その火種はやはりあるわけで、その多くは日本をはじめとするアジア諸国が欧米に比べて「得意」とされる「曖昧さ」「敢えてはっきりさせない」ことから来ている気がします。

昨今の安部首相の強硬な発言を聞いて、岸井さんは外務省の記録とは別に実際にはそういうことがあったという事実は直接安部さんに伝えているそうです。

それでも強硬姿勢を崩さない安部首相について「現政権がつまずくとしたら、その辺にあるかもしれない」ともおっしゃってました。

会場の質問者の「結局、この問題は解決されるのでしょうか?」という素朴な質問には「日本に誰の不満もなく両島が平和的に戻ってくるということはありえないでしょう」ときっぱりと言ってました。むしろ、尖閣の竹島化の方が心配だとも。


他にもなるほどと思う話がありましたが、それはまたの機会に。

ちなみに日本とモンゴルは、1977年にノモンハン事件への賠償なども含めて日本側が賠償金を支払っており、今は何の問題も存在しません。





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Last updated  2013.06.09 13:18:37
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