田崎正巳のモンゴル徒然日記

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2013.10.09
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最近、素朴な疑問を耳にしました。

「モンゴルは貿易が赤字だというけど、それで何が困るのか?」「石油や食料品を買うためにドルが必要なら、ドルを買えばいいではないのか?」という疑問です。

なるほど、その通りだと思いました。少なくとも、日常生活的に言えば日本もモンゴルも大して変わりませんから、こういう疑問が出るのはわかります。

日本もモンゴルも、多くの場合輸入するときにはドルを支払うことによって決済します。

個人であれば、外国へ旅行しようという人は銀行や両替屋に行ってトゥグルグや円でドルに交換するでしょうから、行動としては日本もモンゴルも同じです。

では何が違うのか?

日本の場合を考えてみます。最近日本も、原発停止の影響などによる燃料費の高騰で貿易赤字気味だというニュースを見ます。つまりモノやサービスの貿易ではマイナスだということです。

幸い、日本には過去に海外に投資した資産(債券や子会社など)が多くあり、そこから入ってくる金利や配当収入が赤字を上回っているので、最終的にはプラスとなっています。

が、仮にそういう収入がなくて、貿易収支の赤字が続いたらどうなるか?外国から石油や食料を買うために必要な外貨(主にドル)がどんどん減っていくことになります。で、最終的には底を尽きてしまうかもしれません。



当然、そんなことを続けていたらそのうち円の価値は低くなっていくでしょうが、当面はそれでしのげます。

モンゴルの場合はどうか?モンゴルで貿易赤字が続くとどうなるか?

今のところは海外からの金利や配当収入はほとんど期待できないでしょうから、その赤字の分だけ外貨準備(主にドル)が減っていきます。

さらに減るとどうなるか?もちろん、なくなってしまう可能性は十分あります。その時、日本と同じようにトゥグルグでドルを買えるか、が最大のポイントになります。

残念ながら、買えないのが実情です。トゥグルグは、残念ながら外国人にとっては交換できる通貨ではないのです。

そもそも世界中のどこへ行っても交換してもらえる通貨というのはそうはありません。

ドル、ユーロ、円、ポンドあたりがハードカレンシー(交換可能通貨)の代表で、他にはスイスフラン、カナダドル、オーストラリアドルなどの一部しかありません。

中国の元は東南アジアやモンゴルの一部でも使われているようですが、これも「どこでも交換可能な通貨」とは言えません。

なのでモンゴルの場合は、モンゴル国内にある外貨(或いは、外貨準備)が非常に重要になってくるのです。トゥグルグは印刷すればいくらでも作れますが、ドルは非常に有限なものです。


実は、貿易収支の赤字を補ってくれるお金があるのです。それが外国投資です。

外国人や外国企業がモンゴルで投資をする(会社を作る、事業のために資金を投入するなど)ことが、モンゴルにとっては非常に大きな外貨流入の道なのです。



去年は1-8月で2,329億ドルの経常赤字(貿易収支に貿易外収支を加えたもの)だったのに対し、今年は同時期で2,384億ドルの赤字です。石炭輸出の低迷などありましたが、ほとんど昨年と同じレベルです。

同じ時期での外国投資は、去年は3,409億ドルありました。つまり経常収支の赤字を補ってまだ余裕があるほどでした。

なので、外貨(主にドル)のやり取りという点では、1,000億ドル近い余裕があったということです。

では今年はどうなんでしょうか?このブログでも時々お伝えしている外資法の影響が出ています。

要するに、昨年の法律制定により外国企業が安心して投資できる環境が薄れてしまったということです。



このような理由で、外貨準備高はどんどん減っています。昨年末にチンギス国債を発行して巨額のドルが入ってきましたが、それらも財政資金に使われたりして、今どのくらい残っているのか不明です。

ではこれらの危機を補うにはどうするのか?一つは国債を発行することがあります。このブログでもお伝えしましたが、サムライ債の発行などが有力手段です。

が、短期的にはできないことが判明しました。モンゴル政府の国際社会での信頼感がもう少しないと、借金はできないということです。

別な方法は、評判の悪い外資法を改正して再び外資に投資をしてもらうことです。が、先月の臨時国会では改正されなかったようですし、改正されたとしても改正案そのものが外国企業を安心させるものではなかったように思えます。

他の方法は?手っ取り早いのは、資源などの権利を外国に売却することでしょう。

が、今まで長いこと「モンゴルの資産を守る」という姿勢で、外国企業との協力に前向きでなかっただけに、簡単に決められるかどうかわかりません。

ぜーんぶ、ダメだったら?すべて実施不可能だったら?

そうなる前に、モンゴル政府はなんらかの手は打つとは思います。(中国からの緊急ローンを頼むとか。もちろん、中国はそれなりの対価を要求するでしょうが)

それもなければ・・・デフォルトになるしかないでしょうね。対外債務返済の不履行とか凍結とかです。こうなると、IMFとかがやってきて、かなり面倒なことになってしまうでしょう。

私は、モンゴル政府はそこへ行くまでにはあの手この手で回避策を案じるのではないかと思っています。

ただ、トゥグルグの相場が再び下落を始めています。1ドル=1700トゥグルグまで落ちたのが一次的に盛り返しましたが、ここ数日で再び1700トゥグルグ近くまで落ちそうになっています。

マクロ経済学のお勉強みたいな話ですが、モンゴルに限っては「身近な問題」であると言えます。





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Last updated  2013.10.09 15:16:26
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