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2006.01.29
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「なんだったんだ・・?今の?」
三井健二は飛び出した大路社長のことで思い出すように言った。

「さあな・あの人は昔からよくわからないからな」
七星亮太は頭を振りながら答えた。

「何にせよ、社長がマスコミ連中を連れて行ってくれたよ」
ほっとする表情で沖山誠二が言った、そして、少しだけ考えて、
「あと、秋もな」思い出したように言った。

穴吹秋が出て行った時にも数人のマスコミが追いかけていった。
その後で大路社長の突然の外出。


「さあ~て。」
健二が背伸びをした。
「どうしよっか?」
つくづく退屈で面倒臭いような言い方だ。

「まあ・・・待機だろ」
誠二も止まっていた携帯ゲームをしながら返事をした。

「・・・・圭介・・大丈夫かな・・」
亮太がポツリと言った。

その言葉で空気が変わった。
誠二と健二は何も言わず、聞こえないフリをしているかのようだった。
亮太は失言に気づいたと同時に、いくら同級生とはいえ、圭介の言動が、行動が、世間も含めて自分達にも影響を及ぼしていることに気づいた。



圭介が「スカウトされたんだけど、遊びでやってみようぜ」と誘ってきた。
今や誰でも芸能人になれるように思われている時代。
「遊び」というキーワードに「思い出作り」が加わり、「金」がプラスされた。
ちょっとだけ・・と5人で事務所オージへ向かった。
5人の軽い思いとは逆に大路社長は切羽詰っていた。

通常やっていくボイスレッスン、ダンスレッスンが地獄のように厳しかった。
5人全員負けず嫌いなのが功を奏して、脱落者はいなかった。
毎日のようにレッスンで馬鹿だ阿呆だと罵られて、辞めていくのは負け犬のようで嫌だった。

結果的に大成功をしたのだが、圭介の潜在能力に皆が驚かされた。
当初は5人の大したことのない、ごく普通のグループだった。
歌にしろ、踊りにしろ、圭介の才能が開花していくのを残された4人は感じ取り、脅威になった。
その辺りから、今まで5人の平行な線は、圭介が大きくリードしていくような変則な線に変わった。
圭介の態度も高飛車になっていき、亮太達を見下すようになり、その態度に我慢ならないのが、健二であったり、秋であったりであった。
亮太や誠二も気にならないわけではない。
だが、確かに圭介の能力はずば抜けているのだ。
あのオールマイティーな才能を疎ましく思うこともあれば、羨ましく思うこともある。

あとは圭介本人の人間性。
いくら、才能があっても、ああいう態度だと誰も付いてこなくなるのはわかりきっている。
本人が気づいていないのだろう。

「圭介・大丈夫」という気遣いの言葉は、心のどこかにある、「大丈夫ではない」方を期待している自分達の気持ちがわかりすぎているために、そんなことを少しでも思っていることが恥ずかしいのだ。
誠二と健二が黙ったのはそのせいだ・・そのせいであって欲しい。

「おおっ、おかえり~人気者!」
健二がゆっくり帰ってきた秋をからかった。

「・・・」
秋は溜息をついて、また本を読み始めた。

亮太は秋の行動に違和感を覚えていた。
そう、さっきまで秋はマスコミを連れて、どこへ行っていたのだ。

つづく。


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最終更新日  2006.01.29 21:58:39
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