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2022年02月11日
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カテゴリ: 病院
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​おはようございます。



今日はMSWの仕事の一つ、 ​ ​ 「 経済的問題の解決、調整援助 ​ 」 ​ について解説していこうと思います


このシリーズはMSWの業務指針に書かれている業務内容を基に解説しています


公益社団法人 日本医療ソーシャルワーカー協会 ​
(↑↑クリックしてみてください)

1.療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助
2.退院援助

4.受診・受療援助
5.経済的問題の解決、調整援助
6.地域活動


今日は

・病院にかかるときに不安なこと

・利用できる制度

・「経済的問題の解決、調整援助」と「制度説明」の違い

・まとめ



の順番で解説していきます


全体通して8分ほどで読めると思います



時間がない人は最後のまとめだけなら1分もかからないで読めるので、そこだけみてもらってもよいかと思います
​​
​​

​ 1. 病院にかかるときに不安なこと



前回の受診・受療援助でも触れたように「病院へ受診する」ことに高いハードルを感じている人は多いと思います




普段かかることの無い人ほど、とりわけ仕事をしている若い世代の方ほどこの特徴は顕著です




なぜ病院にかかることのハードルが高いのか、これまで10年間平日毎日患者さんと関わって、色々な悩みを相談してもらっている私の経験から原因を考えるといくつかの要因が浮かんできます




まずは、 病院にかかる時に不安なこと




一つ目は何といっても お金のこと



今回のテーマでもありますし、私の働く急性期病院のMSWの業務統計を取っても、一番相談内容が多いのがこの医療費に関してです




病院でかかる医療費のこともそうですし、会社を休むことで給料が入ってこなくなることや、派遣社員やパートの方だと「あまり休むと会社を辞めさせられるから休めない」と言った声も聞かれます




事実70歳未満の3割負担の方が入院して手術した場合に医療費が1カ月で100~200万ほどかかるということも稀にあります( ​​ 高額療養費を使わなかった場合 ​​ )



病気や検査への不安




3つ目は 病院へ受診する時間が無い




4つ目は 家族のこと




5つ目は 仕事、学校のこと




6つ目は 医師や看護師など、医療者との関係性




7つ目は その他もろもろ です




あげればキリがないのですが、病院へかかるとなるとざっと思いつく限りでもこれだけの不安要素が挙げられます




病院へかかることは多くの人にとって非日常のことです




そのため不安なことやわからないことがたくさんあって当たり前のことだと思います
(そのために病院に相談員(MSW)がいるので)




2.
利用できる制度



今日のテーマである経済的な相談に関して利用できる制度として、5つピックアップして説明していこうと思います




残念ながら制度と言うのは基本的には申請主義なので、どれだけ良い制度であっても知らなくて申請できなければ、その恩恵を受けられません




もしあなたが知っていれば経済的な不安を一つ解決できるかもしれません




逆に知らなければ悩む必要のないことで、悩んでいるのかもしれません




知っていて損はしないので、まずは5つの制度について頭の片隅でも良いのでおいておくといざという時に、どこかで引っかかるかもしれません




①高額療養費


制度としては 所得に応じて一カ月当たりの医療費の上限額を設ける制度 です



所得の高い人ほど上限額が高く設定されており、支払う金額も増えます



この制度のあるおかげで、たとえ 入院費が100万かかったとしても、実際に支払う金額は10万くらいで収まる ようになります(70歳以未満で給料が30万の人の場合)




こちらの制度は医療保険にさえ入っていれば誰しもが利用できる万能制度です



日本は形式上は国民皆保険なので、全ての人がこの制度の対象となります



入院、外来、病気の種類も問わずあらゆる場面で利用できます



また経済的な制度としてはめずらしく所得制限もなく、収入の多い人でも利用できます(所得が高い人ほど負担額は増えますが、制度は利用出来ます)



高額療養費については過去記事でも触れているので、詳細はこちらをご参照ください↓↓

​ ※超重要※ 誰もが使える万能制度 高額療養費① ​
​ 高額療養費②~70歳未満の高額療養費 ​
​ 高額療養費③~70歳以上の高額療養費 ​


②傷病手当金

病気やケガが原因で働けなくなっときに、給料の代わりに保険者からお金がもらえる制度 です



高額療養費は医療費を安くする制度 で、 病病手当金はお金がもらえる制度 です




傷病手当金は基本的には国民健康保険の人には使えません




こちらもどんな病気やケガでも使えて、所得制限もありません



期間は最長で1年6か月間、病気やケガの影響で元々していた仕事が出来ないと医師が認める限りもらい続けられます




協会けんぽ、組合、共済等の会社勤めの方が対象で、仕事に行けない期間に本来もらう予定だった給料の2/3の額をもらえるようになります



基本的には対象期内で毎月申請をすることになります(まとめてではなく、毎月収入がほしい人が多いので)




最近民間の保険で収入保障保険とかありますが、まさにこの傷病手当金の仕組みを参考にして作ったような保険です(会社員の方は傷病手当金知っておかないと、不安を煽られて不要な保険入らされますよ)




ちなみに傷病手当金に関しても過去記事で触れてるので、そちらも参照ください↓↓

​ 病気で働けなくなった時どうする①~傷病手当金 ​



③障害年金


障害年金は 体や心に一定以上の障害を負った時に、年金と言う形で2月に一回お金をもらえる制度 です




傷病手当金と同様に病気やケガが原因でお金がもらえる制度ですが、両者には大きな違いがあります




障害年金に該当となる障害の種類や該当基準は国で定められています
(目の障害、聴覚の障害、肢体の障害、心疾患による障害など)




例えば結構ある相談ですが、病気で足が動かせなくなって歩くときに足を引きずりながらでないと歩けなくなったとします



日常生活や仕事上でかなり不自由さを感じるようになり、障害年金をもらいたいと思っても該当するかはわかりません



肢体不自由の場合は体の可動域などを計測して、その上で定められた基準を満たさないと年金はもらえません




また国民年金は1,2級のみ、厚生年金と共済年金は1~3級、+障害一時金と加入している年金の種類によっても年金の該当になるかの幅も変わってきます




傷病手当金は元々就いていた仕事に戻れるかの判断は医師に任されているので、いくらでも相談のしようはあるのですが、年金は基準が数値化されているので相談の余地がありません




障害年金は受給期間に制限もなく、もらえる金額は障害の等級やそれまでにかけていた厚生年金の加算分によっても変わってきます




傷病手当金よりは受給のハードルが高いことは間違いないです(申請に必要な書類の量やかかる労力も障害年金の方が圧倒的に多いです)



障害年金の更新は特段の指定がなければ必要ありませんが、病気や障害の状態によっては1~5年くらいの間隔で更新が必要な場合もあります



それぞれの障害の種類や認定基準を知りたい方は日本年金機構のHPに載っています

​ 日本年金機構 ​




障害年金についても過去記事でまとめているので、参照ください↓↓

​ 病気で働けなくなった時にどうする②障害年金 ​



④障害者手帳



障害者手帳は病気やケガが原因で障害が残った時に税金が減額されり、公共交通機関利用時に割引が受けられるようになったり、身近なところで小さく優遇される制度 です




障害年金と混同されやすいですが、「 障害者手帳はお金をもらえる制度ではない」 ので注意が必要です




障がい者手帳も障害年金と同様に障害の種類ごとに診断の基準が定められています




障害年金は1~3級+障害一時金までの等級ですが



障害者手帳は1級~7級までの等級があります(障害の種類によって等級は変わる。例えば肢体不自由なら1~7級、心臓機能障害なら1、3、4級のみ)




障害年金とは違い 加入している年金や健康保険によって等級が変化しない ことも一つ特徴です




障害者手帳を持っているだけでは医療費が安くなったりはしませんが、 障害の等級が重度の1,2級(内部障害は3級も)の方は別途医療費の助成制度が受けられます




よく勘違いされやすいのですが、手帳を持っているだけでは医療費は安くならないので注意が必要です



障害者手帳も特段の記載がなければ更新は不要です



⑤指定難病(特定疾患)



難病とは国が定める原因が不明で、治療方針が未確立の病気 のことを言います




このうち国が定めた難病を指定難病と呼び、令和4年1月末現在で338の指定難病があります
(増え続けているので到底覚えきれません)



有名なところでは



・ALS(筋萎縮性側索硬化症)~全身の筋肉に力が入らなくなり、頭はしっかりしているが会体を動かすことができなくなったり、話や呼吸もできなくなってしまう病気


・パーキンソン病~震えや手先が固まったり、歩くことが出来なくなったりする病気


・関節リウマチ~関節の痛み、腫れ、硬直などが出てくる病気


などがあげられます



指定難病の中でも重傷として認定されると医療費の助成が受けられます (指定難病と診断されても医療費やすくならないこともあります)




世帯の収入に応じて医療費の自己負担額が0~30,000円の間で設定されて、指定難病に対する治療に限っては自己負担を超えた医療費は支払わなくてもよくなります




注意すべき点は、高額療養費とは違いすべての病気には適応されず、 申請した病気に関するもの以外の病気では使えない という点です



医療費以外にも 障害福祉サービス(障害を持つ若い方向けの介護保険のようなサービス)の対象に指定難病の一部が追加されたり、就労支援で指定難病を持つ方を雇った企業に補助金が支給されたり と少しずつ支援の範囲が拡大されてきています



よく勘違いされるのは介護保険の「特定疾病」がありますが、これは指定難病(特定疾患)とは全くの別物です

______


ちなみに制度に関しては数えきれないほどの制度があるので、その全てを覚えている訳ではありません(全部覚えていると言うマニアックなMSWさんは相当マニアックな方ですね)


何せ担当する診療科によっても利用する制度は変わってくるのと、国や地方自治体で作っている公的なものから、加入する医療保険や独立行政法人などが行っている非公式なものまで多くの制度が存在しているからです



そのため、「制度の大まかな知識」や「制度のことをどこへ聞いたらわかるか」という部分をMSWは押さえて置けば、面接の時に正しい情報を調べて患者・家族へ伝えることが出来ます



広く浅く知識を身に付けることがMSWにとっては必要なことです





3.
「経済的問題の解決、調整援助」と「制度説明」の違い



この経済的な問題の解決、調整援助に関して新人MSWの方が陥りがちな罠があります




ここでいう罠とは 制度説明をすることが目的になってしまい、本来の目的であるソーシャルワークに目が向かなくなること です



先にも述べた通り制度の数は数え切れないほどあり、かつ、申請が基本となるため知らないと制度の恩恵を受けられません



患者・家族または医師や看護師などの医療従事者でさえも知りえない制度もたくさんあります





そこでMSWは経済的な相談に乗る時は患者や家族の話を聞きながら、または病名を調べながら何かしらの制度に引っかからないかにアンテナを立てます






最後の砦である(と私は思っています)MSWが何かしらの制度に引っかからないかに目を光らせておくのは重要なことです




しかし、その結果「制度の対象になる、ならない」だけを判定する人ではMSWが相談に乗る意味がありません(単なる制度説明だけなら事務職が行っている病院も多いです)




本来の経済的問題の解決とは制度が使えるか使えないかだけではなく、経済的に困っている問題の根本がどこにあるかを考え解決すること だからです




制度を使えるかどうかは目的ではなく、手段でしかありません




制度の該当や説明に囚われるとこの目的と手段が混同してしまい、本来の目的である問題の解決にまでたどり着かなくなってしまいます




中には単純に制度の該当かだけを知りたいという相談もありますが、相談を受けるときには注意が必要です




最初に書いた通り新人のMSWは制度の知識もおぼつか無く、「相手に理解してもらえるように説明できるだろうか」という点に目が向きがちです




実際に説明してみるとわかりますが、「自分が理解している」のと「相手に理解してもらう」のでは、大きな違いがあります




説明するためには自分で理解している以上の知識が必要です




年数を重ねたMSWが新人MSWよりも知識があるのは、相手に説明する中で自分もわからないことを質問されたときに、相手に説明できるまで調べて理解しようとする経験をたくさん積んできているからです





そういう意味で新人さんや学生さんは知識がないのは仕方ないことです





大事なことは上手に説明することではなく、どんな時でもその人の不安を理解して解決しようとする姿勢だと思います



*まとめ*
​

病院にかかるときに切っても切れない関係にあるのがお金の話です


救急やICUに入院したり、手術をしたりする場合だと3割負担の方で、100万円を超える請求が来る可能性がある


ただし、制度を正しく利用できれば実際に支払う金額を下げることができる


誰もが利用できる制度として高額療養費という制度があるが、利用対象者を絞った制度だと公的なものから団体が実施ているものまで数え切れないほどの制度がある


医療に関する制度はほとんどが「申請」が原則なので、自分から申請しないと制度を利用できないことが多い



制度だけなら調べれば出てくるが、実際に利用するとなるとMSW等精通している人に相談しないと、個人レベルで利用するのは困難なことが多い



MSWとして経済的問題の解決、調整援助を行う際には、ただの制度を説明するだけの人にならないように注意が必要



経済的な問題の背景に別の問題が潜んでいないか、経済的な問題は氷山の一角でしかないことも多いので、「支払いができる、できない」や「制度が使える、使えない」だけではなく根本の問題に目を向ける必要がある​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​





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最終更新日  2022年02月11日 09時01分18秒
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