Danjoseの花歳時記(外国編)-サンティアゴ巡礼街道(3)
星の道
何処までも続く麦畑、スペインの初夏の風に、うねりなびく麦の波
その青さの大きさよ、広さよ、

その麦の青いうねりの中を
何処までも、どこまでも続く細い農道
地平線の彼方へと続く

(麦畑のなか、どこまでも続く道。夕日をあびて、旅人の影が後ろからついて来る)
朝は、自分の長い影と向き合って、
行く手を指し示す道。
そして、その一本の道の先に、
どこまでも青く広い空がある。
(朝日をあびて、長い影がのびる)
夕べは自分の影を後ろに、来た道を確かめる。
(葡萄畑のなかを一筋の道が続く、どこまでも続く)
西へ、西へと進む道、サンティゴ巡礼街道。
サン・ジャン・ド・ポーから、嶮しいピレネー山脈を越え、
朝は、自分の影を踏み、夕べは自分の影を後ろに、
そして、夜は、天に横たわる天の川に沿って、
西へ西へと古代ケルト人が進んだ道。
中世のキリスト教巡礼者たちが、
過酷な天候や自然と闘いつつ西へ西へと進んだ道。
ある時は病に倒れながらも、
嶮しい上り道を、照りつける焼け付く下り道を
雷のとどろく嵐の山道を
あえぎ、うなだれ、寒さに震え、
萎える気力をふりしぼり進んだ道。
そして、今も人々は、
この中世の巡礼の道を、
泥にまみれ、汗にまみれ、ひたすら歩く。
(旅人の足跡)
その道の果てるとき、
人は何を見たか。
その道が終るとき、
人は更に歩み続ける道を見つけたか。
サンティアゴ巡礼街道一口メモ
この巡礼の道はキリスト教徒にとっては3大巡礼路の一つである。
ローマの聖ペテロの墓を詣でる第一の道。エルサレムのイエスの墓を詣でる第二の道。
聖ヤコブ(スペイン語ではサンティアゴ)の墓を詣でる第三の道
サンティアゴ巡礼街道。
1960年代に「サンティアゴ巡礼街道友の会」が結成され、
巡礼奨励活動と古い巡礼路の復旧、保存、標識の設置、宿泊施設の増設・整備などが行われ、
1990年には、フランス側、スペイン側それぞれ約800キロメートルがユネスコの[世界遺産]に登録された。
巡礼路は幾つもあるが、フランス側からピレネー山脈を越えて、イベリア半島を横断して、
サンティアゴ・デ・コンポステラに至る740キロのコースが幹線ルートである。
巡礼路にはロマネスク様式の教会や修道院など中世そのままの風景が今も息づいている。
現在では年間10万人の人々が歩いていると言う。
中世さながらの細い泥の道、粗末な宿泊施設、
およそ現代の快適な文化を拒絶したこの巡礼街道は、
日常の自分自分を見つめなおし、
新たな生きる道を模索する道として、現代人の心を惹きつけている。
黛 まどか著 :「星の旅人」 スペイン奥の細道 (光文社)
これは俳人まどかさんが
サン・ジャン・ピエ・ド・ポールからピレネー山脈を超え、
聖地サンティアゴまで48日間900キロを歩いて旅した紀行文である。
詩人としてのまどかさんが、自身の持っておられる詩人としての感性、人柄を通して、
世界中のさまざまな旅人と交流し、豊かな人格を旅を通して創り上げていくさまが素晴らしい。
日本にもこのような女性が誕生している。新しい女性像として頼もしく感じた。
ぜひ若い人々に読んで欲しい1冊である。
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