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最終更新日  2009年05月29日 10時48分03秒
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虹を抱いた青空のように 3-1  
(匿名)希望 さん
それは洋子に招待されたパーティーの翌日
お礼にと母の焼いたパンをバスケットに入れ私は早乙女邸に繋がる道を歩いていた。

灰色の小石の敷き詰められた砂利道
三っつめの樫の木のところまできて
不思議な気持に持ち上げられ、思わずたちどまって空を見上げた。

そこには
自分の名前と同じ青い空
見慣れたはずの白い雲
昨日と変わらない樫の木のざわめき
いつもと同じ石の多い小道・・・

そう、いつもと同じはずなのに何かが違う、そんな気がしていた。

***
* ***

(2009年05月29日 15時14分08秒)

虹を抱いた青空のように 3-2  
(匿名)希望 さん
その日の朝も
キッチンでは母がいつも通り忙しそうに動き回っていた。
「おはよう。」
「おはようさん、起きれたんだねえ。」

そう言いながら母は振り返りもせずにシンクとオーブンの間を行き来していた。皮肉ではない、いつも以上に忙しそうにみえるからこっちに気を回す暇が無いのだろう。
深夜の帰宅で寝坊したのにしかりもしない、朝寝坊も注意されない・・・妙に落ち着かなかった。

私は冷蔵庫のなかのジュースをコップに注ぐとテーブルに向った。
すでに朝食は準備されていた。
母特製のフレンチトーストとサラダ。
「おいしそう。」
まずはフレンチトーストに手をのばした。

ふと目を上げる。
おっきな背中がその体格からは想像できない身軽さで動き回っている。
こういう時の母は私がいっしょにキッチン立つことを嫌がる。
邪魔になるからだ。
『おとなしく、いただこう。』
そう思うとポットからマグになみなみと珈琲を注いだ。

(2009年05月29日 15時14分42秒)

虹を抱いた青空のように 3-3  
(匿名)希望 さん
テーブルの上のものをあらかた平らげふと天窓を見上げた。
青い空が見えた。
「昨日も晴天・・・今日も晴天よね。でもなんか違う。」
ぼそっと呟いた。

「な~~にいってんの、見りゃ分かるでしょうが・・・今は乾季だし、当たり前だろ。」
本日はじめての親子の会話だ。
母・モリーはぽっちゃりとまるい手で特大のふわふわオムレツののったフライパンを片手に、それこそいつも通り陽気に言った。
「そうね。」
なにか同意しかねて、私はためらいがちに答えた

私は母を見つめた。
いつも通りの笑顔。
いつも通り歌いだしそうな陽気な言葉。

なぜかとても不思議な気がした。

そんな母の後
白い窓枠のむうに日差しに揺れる緑が光っていた。

いつもとあまりにも違う娘の様子にさすがの母も気が付いたのだろう。
「なんだよ気持ち悪いね・・・風邪でも引いたのかい?それとも慣れないパーティにいって知恵熱かい?」
怪訝そうな声で言った。
「パーティーって・・・そんなんじゃないわよ。」
パーティー・・・その言葉に私は妙に焦った。

(2009年05月29日 15時15分10秒)

虹を抱いた青空のように 3-4  
(匿名)希望 さん
するといきなり目の前に行きなり母の手が突き出された。
そこには大きなバスケットがゆれている。
「知恵熱でもなんでもいいから、とにかくお礼にこれをもっておいき。」
「え?」
「だから、パーティーのだよ。パンにオムレツ、特製ピクルス、その他もろもろ。洋子にお礼を言いにいくんだろう。あんだけしてもらって手ぶらってわけにはいかないよ。だってさあ、かーさんびっくりしたよ。お姫さまみたいにお前綺麗にしてもらってさ、おまけに送ってくれた彼もなかなかハンサムだったよね。礼儀正しかったし、てか硬すぎるくらいだたけど・・・いや~~~なんかさ、びっくりだよ。けどさ、どっかで会った事あるようなきがして、早乙女先生のところにお客さんできたことでも有るんだろうね・・・じゃないと私があんな紳士を知っているわけがないよねえ・・・。」

「う・・・うん。」
母は何故か昨日の男性が“孝史”だと気がついていないようだった。
ドキドキする。
飛び出しそうな心臓を押さえ込む為に、いそいで冷めたコーヒーに口をつける。
「で、誰だい?あの彼。」

不意に顔が焼けるように熱くなった。
もうだめだ、よくわかんないけど・・・これ以上夕べの話しはできない。
「あ・・・もう時間。」
私はバスケットを抱え、急いで外へと飛びだした。

背中で呆気にとられこっちを見ている母の気配を感じた。

* ***
* **

* ***

(2009年05月29日 15時15分46秒)

虹を抱いた青空のように 3-5  
(匿名)希望 さん
早乙女家への道を歩いた。
いや、歩いたというより走ったというほうが正しいかもしれない。

空を見上げた。
自分の名前と同じ青い空
見慣れたはずの白い雲
昨日と変わらない樫の木のざわめき
いつもと同じ石の多い小道・・・

そういつもと同じはずなのに、今日はなぜか雲の絨毯のように軟らかく弾むような感触がした。

三っつめの樫の木のところまできて
たちどまって空を見上げた。
強い日差しが緑の木の葉に影をつくっていた。

大きく深呼吸をして
『焼き立てのパンが冷める前に
はやく洋子にこれを渡したい』
そう思って再び足を踏みだした・・・その時。

砂利を踏む音と同時に“何故?”
不意に心のなかの誰かが問い掛けてきた。
「そしたら・・・このパンが朝食のテーブルに出るかもしれない。焼き立てのママのパンは最高だもの。きっと喜ぶ。・・・だからよ。」
ぶつぶつと答えながら脚を早めた。

“誰が?”
声が再び問いかけた。
『ああ・・・うるさい。』
立ち止まった。
今日はお母さんと言い、この変な声といい、いったい私に何を言わせたいのだろう。
『なによ・・・いらいらする。』

「洋子よ。」
思わずだした癇癪もちのような大きな自分の声。
あせって、思わず周囲を見回した。
誰も聞いていない
いや、畑の向うを逃げるように野うさぎが走っていくのが見えた。
『ウサギ・・だけね・・・よかった。』
ほっとして私は早乙女家に向って再び走り出した。

やがて揺れる緑のむこうに早乙女邸の玄関が見えた。

頭の後で“うそつき。”例の声が笑っている気がした。

* **


(2009年05月29日 15時16分21秒)

虹を抱いた青空のように 3-6  
(匿名)希望 さん
背筋を伸ばす。
深呼吸をして玄関のチャイムを鳴らす。

「どなた?」
洋子の声だ。
「セイラです、母がパンを焼いたので。それとピクルスとオムレツ。」
なぜかいつもよりちょっとだけ声が上ずる。
「まあ素敵!・・・実は朝食がまだなの。モリィって気が利くわねえ、昨日、遅かったし今やっとキッチンにはい出してきたの。で、ごめんね手が放せないから勝手口からまわってちょうだい。」
「はい。」
いつも通りの洋子の声に力づけられ、頷くと勝手口を目指した。

ローズマリーとレモングラスの繁る庭を突っ切る。

白い壁と反対側にユーカリとミモザ。
黄色い花が青い初夏の空気のなかで揺れていた。
芝生をつっきる
手入れされたカモミールの芝生は歩くたびに心地よい香りを振りまく。
青みがかった板塀がみえた。
ふと立ち止まり足元をみる

蜉蝣のように薄い青色の花びらがゆれていた。
儚げなそれは空の色を写しているようにみえた。
「なんて花だろう?」
いつも観ていたはずの景色なのに今日はいろいろなものが目に付いた。

右に曲がるとガレージ、そこを通り過ぎれば勝手口にたどりつく。

昨夜きいたチャイコの弦楽セレナードハ長調Op48が頭のなかでくるくるとまわりはじめた。
「パーティーの華やかさが素敵だった・・・のよね。」
呟きながら思わずワルツのステップを踏んだ。
「わお!もう完璧、私って天才かも。」
そうまさに夕べはシンデレラナイトだった。
「素敵なドレス、紳士淑女、光り輝くシャンデリア、宝石のようなグラス、美味しいお料理・・・。」
小さく呟くと壁に手を添わしながら弾むように角を曲がった。
「そしてダンス・・・パートナー。」

ふいに脚をとめた。

そして誰もいないはずの勝手口に私は“誰か”を見つけた。

* ****

つづく。

(2009年05月29日 15時17分28秒)

うわ~~  
riri さん
「つづき」が気になる! 気になる!
早く会わせてくださいね~彼に・・・ (2009年05月29日 16時10分06秒)

乙女心  
北の大地の碧 さん
どこか夢見心地、どこか不安…遥かかたなの遠い昔を思い出します。乙女の気持ち、可愛くてたまりません。 (2009年05月29日 17時08分02秒)

気になる~~  
青空 さん
いつもと変わらない景色なのに・・・キラキラ輝いて見えるんだろうなあ・・・・
昔々そういう頃もあったのねと・・・懐かしい気持に
早く続きがみたい。待っています (2009年05月30日 00時24分25秒)

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