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"THE MESSENGER:THE STORY OF JOAN OF ARC""JEANNE D'ARC"監督、脚本・・・リュック・ベッソン 出演・・・ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジョン・マルコヴィッチ、フェイ・ダナウェイ、ダスティン・ホフマン、ヴァンサン・カッセル、チェッキー・カリョ、パスカル・グレゴリー、デズモンド・ハリントン、他。・物語序盤・百年戦争が続くフランス。家族と共に鄙びた村で平和に暮らしていた少女ジャンヌ。彼女は幼いながらも信仰に篤く、毎日教会を訪れては懺悔をしていた。しかしそんなジャンヌの生活も、突然の英国軍の侵略によって終わりを告げた。焼き討ちによって両親も失い、愛する姉も目の前で残忍な殺され方をした。それから数年の月日が経過した。ジャンヌは神の声を聞く聖処女として、民衆の間で有名な存在になっていた。彼女はフランス王となるべき、王太子シャルル7世への面談を希望して、何度も書簡を送り付けていた。側近達は素性の知れない小娘に会うのは危険だと反対するが、王太子の義母であるヨランドは、民衆に支持される娘に会うべきだと強く推す。困惑した王太子は、身代わりを立てて、ジャンヌがそれを見抜けるかどうかで、彼女が本当に神の使いであるか判断しようと決めた。果たして、ジャンヌは偽りを見抜き、大勢の中から王太子を見分ける事に成功する。ジャンヌを信頼した王太子は、彼女に全軍の指揮を任せる事に。 映画館で観て以来、二度目の鑑賞です。映画館では結構感動したので、吹き替えと大幅なカットに、メガトン・ショック…。映画の雰囲気が完全に変わっていましたね、テレビ版は。最初に劇場版は12歳以上限定なので、残虐シーンはカットしてあると断りが出たので、厭な予感はしましたが。凄くマイルドな穏便に纏めた、牙を抜かれた狼みたいな映画になってしまいました…。序盤のイギリス軍の襲撃場面から、確りカットされていましたね。ジャンヌのお姉さんは、お腹を剣で突き刺された後、その状態でレイプされたんですけど、そのシーンは思い切りカット…。映画館ではあのシーンから、ずしーんと重い気分になれたのに、完全に肩透かしを食らいました。更に吹き替えの言葉遣いに違和感大。だって変な男言葉なんだもの、ジャンヌったら。あれじゃ、ベルバラのオスカルですよ。トホホ。という訳で、公開時に観た時のおぼろげな記憶を辿りつつ、少し感想をば。この映画のジャンヌ像ですが、大体私が以前から思い描いていたような女性でした。あまり神秘的な存在だとは思っていなかったんですよ、私も。どちらかと言うと、宗教かぶれの思い込みの激しい少女というイメージで。当時は信仰の力が今よりも圧倒的に強かったので、民衆が神懸りの少女を特別な存在として持て囃したのは自然ですし。現代ですら、カリスマ占い師や新興宗教の教祖が、崇められるのですものね。神を熱狂的に崇拝し、少し情緒不安定で時折ヒステリックになる少女を、ミラ・ジョボビッチが見事に演じていたと思います。イギリスの侵攻から祖国フランスを救いたいと願う熱い気持ち。しかしそれは正に戦争…、暴力と殺戮行為によってしか成し得ない。神の啓示を受け、フランスに平和を取り戻す使命は、ジャンヌの中で希望と栄光に満ちたものの筈だった。しかし自分の目の前に広がる現実は、累々と連なる血塗れの遺体の山。勝利に沸く男達と対照的に、呆然と立ち尽くす彼女の戸惑いとジレンマがよく伝わってきましたね。バランス的に、ジャンヌが掴まってから処刑までの時間が長くて、後半だれてしまった感がありました。彼女に語り続けていた、もう一人の自分との対話が長すぎます。全部ジャンヌの思い込みだった、イギリスを憎む彼女の願望が作り出した妄想だった。そしてその為に、多くの血を流させてしまった…。その事を強引に思い知らせ、悔い改めさせるという下りが執拗すぎて、押し付けがましかったです。しかし利用するだけ利用して、目障りになると切り捨ててしまうお上の性質というのは、今も昔も変わりませんね。囚われの身となり火刑に処せられたジャンヌの絶望と恐怖を思うと、胸が痛みます。
Dec 2, 2004
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今は無き集英社から発売されていた雑誌『ぶ~け』で掲載されていた作品が、ホーム社漫画文庫で刊行されました。水星茗先生の「エチエンヌ・シリーズ」は、全8巻で順次刊行予定です。今回発売されたのは下記2巻です。次回は8月発売予定との事。1巻「アンチキリスト★シンフォニー」2巻「ミッドナイトエンジェル」・ストーリー概略・名声は手に入れたが、自分の曲の芸術性を理解されず、悩んでいる作曲家でピアニストのレヴィ。富豪令嬢の妻ミアは、愛情は一杯だが、ミーハーなファンと変わりない。孤独感を募らせるレヴィの前に、突然現われたのは、エチエンヌという名の人懐っこい謎の美少年。彼は自分が悪魔だと言うのだが…。ファンタジック・コメディです。作品も未完結のままで、コミックスも長らく絶版状態でした。「復刊ドットコム」に、ファンの皆様に投票を呼び掛けたりと、地道な応援をしておりましたが、道程は険しく、もう無理なのかな…と諦めかけておりました。それだけに文庫版での復活は喜ばしいニュース。表紙イラストも久々の描き下ろし新作で、水星先生がまだ絵を描く情熱を、失っておられなかったのだという事を実感して、感激も一入でした。新作はありませんが、巻末に水星先生のコメントがあります。これを機に、エチエンヌ・シリーズが何処かで再開する事を祈るばかりです。ホーム社ならばファンタジーにも強いので、水星先生の作品も受け入れられそうなのですが。さて、同じく『ぶ~け』で執筆されていた、竹坂かほり先生の名作『空のオルガン』も、同じくホーム社の文庫にて、全4巻で復刊しております。こちらは、第二次世界大戦の少し前から、徐々に軍事色が色濃くなってゆく日本で、オルガン奏者を夢見る若者を描いた感動作です。時代を経ても色褪せない普遍の心。是非、読んで頂きたい作品です。「空のオルガン」
Jun 22, 2008
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