MY HIDEOUT ~私の隠れ家~

Dec 1, 2004
XML
カテゴリ: 映画鑑賞記録
12/4より全国ロードショーです。
official

"SHATTERED GLASS"
監督・・・ビリー・レイ
製作総指揮・・・トム・クルーズ、他
出演・・・ヘイデン・クリステンセン、ピーター・サースガード、クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ザーン、ハンク・アザリア、メラニー・リンスキー、他。

・物語序盤・
1998年、ワシントンDC。
“THE NEW REPUBLIC”誌は、アメリカ国内で最も権威の有る政治雑誌。
25歳のスティーブン・グラスは、そこに勤務する最年少の編集者である。

そして担当する記事は、どれもセンセーショナルなスクープ記事で、若輩ながらトップ記者の名声を欲しい儘にしていた。
そんな彼に転機が訪れたのは、入社以来スティーヴンを可愛がってくれた尊敬する編集長マイケル・ケリーが、会社との意見の相違で解雇を宣告された時だった。
後任の編集長チャックは、非常に真面目な性格で、他誌の編集長アダムの指摘から、スティーヴンの書いた記事"ハッカー天国"の信憑性に疑問を抱き始め、調査を開始するのだった。


アメリカのマスコミ界に衝撃をもたらした人気ジャーナリストによる記事捏造事件を、事実を基にリアルに再現した社会派ドラマです。

観ていて感じた事は、決して主人公スティーヴン・グラス寄りの映画ではないという点です。
記事の捏造というスキャンダルを起こした張本人なので、殊更弁護する必要性は無いのかもしれませんが、映画として主人公に重点を置かなかった事が災いして、結果的に誰にも感情移入できず、実質的主人公不在の作品となってしまった事が残念ですね。

これを観て連想したのが、2000年に起こった旧石器遺跡捏造事件、所謂「神の手事件」でした。
あの事件で石器を捏造していた犯人像と、記事を捏造していた記者像が様々な点で被ります。
次々にセンセーショナルな特ダネをモノにして、ヒーローとして持て囃されるスター記者。
だがそこに大きな落とし穴が存在した。
素晴らしい記事を書けば、次は更にそれを上回る記事を期待され、実際に上回る記事を発表しなければ、記者として評価はされなくなる。

最初はほんの些細な嘘から始まったのでしょう。
少しくらいの脚色なら構わないだろう。
その方が記事が面白くなり、同僚や読者が喜んでくれる。
そして自分を賛美し、評価してくれる…。
そんな甘い誘惑の罠に、一度嵌まったが最後、主人公が辿る転落の道は容易に想像が付きます。

ただ脚本家としては、彼への同情はそもそも求めていなかったのかもしれませんね。
彼の犯した事は大いなる罪。
だから罰せられ、見捨てられるのが当然なのだというスタンスなのかもしれません。

主人公の人柄の描写が印象的でした。
誰にでも親切で、小さな気配りを忘れない。
ランチを運んであげたり、ネックレスや口紅を褒めたり。
そして時には、己の弱弱しさを武器に、憐れみを乞うような涙を浮かべてみせたり…。
そんな些細な行動が、実は人の心を掴むのに大いに役立つ事を、彼は熟知していました。
そしてそれを実践する事で、好感と絶大な信頼を勝ち取り、上司や同僚に愛される人物像を作り上げる事に成功しました。
強かな処世術に、冷ややかで沈着な彼の一面を見た思いでしたね。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Dec 1, 2004 05:40:03 AM
[映画鑑賞記録] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: