さるのちえ

さるのちえ

2005年05月07日
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カテゴリ: 伝統文化芸能
いまNHK衛星放送で醍醐寺薪歌舞伎を堪能しました。本物を観たともりんさんの劇評を寄せていただいていたので、予想はしていましたが、こんなのなら無理をしてでも行けばよかったと思いながらテレビ観劇をしました。

醍醐寺という舞台を100%生かした新作舞踊に始まり、護摩の煙がまるで霧のように漂うなか境内の木立のなかから顕れた海老蔵の姿は実に幻想的なまでに美しかった。時蔵との新舞踊は「桜の醍醐寺」に相応しい舞踊に仕上がっていた。巳太郎の作曲と聞き、さもありなんと頷かされた。

次の醍醐寺声明(しょうみょう)に先立ち、團十郎の挨拶と「睨み」があった。昨年の海老蔵襲名の月に大病で倒れ、海老蔵は頼れる父のいない舞台で見せた「睨み」と比べ、さすがに親父だけのことはあると、納得させられたものであった。舞台の関係もあったのであろうが、短刀がなかったのには理由があったのかと思ったのは私だけであろうか。声明という伝統的な仏教儀礼に重みを感じさせられた。

そして、いよいよお待ちかねの勧進帳が始まった。最初に驚いたのは富樫が金堂から出てきたことでした。しかも、名乗りは仏壇正面であったことも驚きだった。海老蔵の富樫は昨年襲名時よりも進歩成長の跡はあったけれども、全体的にはまだまだ修練が必要だと思いました。正直なところ、発声、口跡、台詞術等、注文は尽きないというのが私の贔屓ゆえの注文です。

義経一行の出も工夫はあったが、やはり劇場の花道そのものを求めることは無理であろう。時蔵の義経は初見ですが、なかなか気品もあり、よい出来だったと思います。いよいよ團十郎の出。第一印象だが、化粧術も進歩したのか、弁慶の顔が以前と比べると、段違いにすばらしい。十一世團十郎というより、七世幸四郎(祖父)の顔(といっても、実物は観たことはないが、写真で見たもの)に似ているようでありました。

山伏問答は、ともりんさんの印象と私のそれは違っていました。やはり海老蔵の未熟(当然のことだが)が目立ったし、それを庇おうとする團十郎の温かさのようなものを強く感じました。途中で気になったことですが、團十郎の足(とくに右足)に、どこか故障があるのでは‥という懸念でした。

動作のなかで、いつもと違うものを感じました。晩年の松緑のようなことになっては大変だという懸念が私の危惧、思い過ごしであればよいが、という印象を感じました。

富樫の一度目の引っ込みが、出と同じように金堂(正面)へ入るため、あの涙を堪えて、命懸けの義経一行を助ける「心ある武士」の場面が、ちょっと間が抜けてしまったのは舞台の関係だから仕方がなかったのかも知れないが、なんとならないものかと気になりました。

全般的には、NHKの山川さんがいうように、感動的な出来だったと思いました。ビデオに録画することができましたので、もう一度ゆっくりと鑑賞したいと思っています。





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最終更新日  2005年05月08日 09時00分44秒
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