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May 2, 2006
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朝、出勤途中にケータイが鳴った。


「あ、○○ちゃん?あのね、はるよし、今朝亡くなりました。」

「え!?・・・・・」


この日を覚悟していたとはいうものの、
あまりにも突然で意外な知らせに、言葉が出なかった。

はるよし兄ちゃんとは、遠い親戚。
兄ちゃんといっても、もうすぐ70歳、
それでも仕事は現役、若々しくて、阪神ファンで、

いつでもガハハって笑ってて、
私たち姉妹を妹のようにかわいがってくれた人。

はるよし兄ちゃんのお父さんと、私の父とがいとこ同士で、
15歳離れていたけど、父は弟のようにかわいがってもらい、
父がその息子であるはるよし兄ちゃんを、弟のようにかわいがり、
そして、兄ちゃんが私たちを妹のようにかわいがってくれた。

でも、兄ちゃんは父によく言っていたものだ。
「わしが兄さんにいっつもいじめられたから、
今度はわしがこの子らいじめとんや~。ガハハ」


兄ちゃんと父は、お互いの実の兄弟以上に兄弟のような間柄だった。
だから、兄ちゃんが入院したとき、

「はるよしの顔、よう見んわ・・・。」

そのとき、兄ちゃんの状態が悪いということだったけど、
後悔するのもいややろ?と
父を病院に連れて行った。

父は顔を覗き込み、黙って兄ちゃんの腕をさすっていた。

お互い、言葉は最小限でも、全て気持ちが通じているな、と思った。

父がおばちゃん(兄ちゃんの奥さん)と話している間、
私は兄ちゃんと話した。

「兄ちゃん、このごろ阪神強くなってきたな。」
「うん。」
「今年は優勝するかな。」
「あかんやろ。そやけど、岡田っちゅうヤツは変わったヤツやな。」
「なんで?」
「昨日ヒット打ったヤツでも、簡単にはずすやろ。
普通やったら、あんなことせえへんやん。
ほんま、変わったヤツやで。」

「○○ちゃん、このごろ仕事どうや?」
「うん。元気でがんばっとうで。」

「あんたとこの美容師はどないや?」
「うん、がんばっとうわ。手が荒れて痛々しいけど、
好きなことやからなあ。」
「うん、うん。」

「あんな、兄ちゃん、私、こないだ怪我してん。」
「どないしたん?」
「ベッドから落ちて、膝打って、お皿にひびはいってしもてん。」
「アホやな・・・。」

そして兄ちゃんはいたずらっぽく薄ら笑いを浮かべた。
その顔はとっても兄ちゃんらしい顔で、
とっても病人には見えなかった。


兄ちゃんは、胃ガンだった。
入院したのは1ヶ月前、前日まで仕事をこなしていた。
そのときはすでに、ガンがリンパを通してあちこちに広がり、
胃はポリープ状のものでボコボコになり、
腸と癒着し、腸閉塞状態だった。
もう、手の施しようが無いと言われたらしい。


不思議なことに痛みはなく、痩せることもなく、
腹水はたまっていても、ほとんど苦しいということはなかった。
父と病院へ行った日の前日まで、危ない状態だったけど、
持ち直してからはどんどん元気になっていた。
それから、また悪くなってICUに移されたけど、
1週間でまたまた元気になり、病室に戻っていた。

今日も、昼からCTを撮ることになっていたのに・・・。

でも、苦しまなかったという。

死因は「肺炎」

5時半ごろに目覚めたときは普通だった。
もう一度、寝かせて、
今度おばちゃんが目覚めたときはすでに心配停止状態だった。


兄ちゃんは安らかな顔をしていた。
普通に眠っているみたいで、
「あ~~~、よう寝た~~。」
って起きてきそうな顔だった。


兄ちゃんのお葬式は明後日。






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最終更新日  May 2, 2006 11:38:59 PM
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