贅沢な昼寝

贅沢な昼寝

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Jul 5, 2006
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カテゴリ: 食関連
今日は個人的な思い出を書いておきたい。

ある夏の日。
東京の友達が長岡まで訪ねて来てくれた。その年の3月に16年暮らした東京の生活を引き払って実家に戻っていたので、彼女に会うのは約半年振りであった。美大で版画をやっていた人で卒業後も精力的に作品を制作していた。訪ねて来たのは私をモデルに個展用の作品を作りたい、そのデッサンをするためだった。

私が実家に帰った一番の理由は父の病気だった。脳梗塞で倒れ半身がうまく動かなくなっていた。それでもゆっくりと歩いたり、庭をいじったりするくらいには快復していた。しかし仕事はもうできなくなっていた。
その夏の日も父は1階の自室で飼い犬を傍らにしたがえ、テレビを見て過ごしていた。母は留守にしていた。私たちは朝から「仕事」。2階の暑い部屋で汗を流しながら私はポーズをとる。彼女は鉛筆を動かす。休憩を入れながら日が暮れるまでそれは続いた。翌日も同様。

仕事を終えて、夕飯作りのために階下の台所へ行く。するとテーブルの上に二皿のいなり寿司が置いてあった。一皿にいなり寿司が4つ。もう一皿には2つ。作業台には油揚げの中に半分ほどご飯をつめたものがそのままになっており、床にはご飯粒が散乱していた。父を探すと自室で横になっている。
お客好きな父が彼なりのもてなしをしようと、いなり寿司を作ってくれていたのだった。しかしよく動かない手でご飯をつめるのは大変だったのだろう。そして6個のいなり寿司を作ったら疲れ果ててしまったのだ。
なぜいなり寿司か。それは父の好物でもあった。

ありがたかった。


いなり寿司を作る時、あの夏の日のことを必ず思い出す。
今日はその父の命日であった。






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Last updated  Dec 15, 2006 06:06:04 PM
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