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591 アレシアの戦いで投降したフランス最初の英雄と称されるのは誰? 592 フェルメールの作品中で唯一の女中を単独で描いた油彩画は何?593 船乗りの守護聖人にちなむ、悪天候時に船の帆柱の先端が光る現象は何?594 スプーンに角砂糖とブランデーを置き、火をつけるコーヒーの飲み方は?595 煮込み料理の風味付けに用いられる香草類を束ねたものを何という?596 鉛筆を削るようにゴボウなどを薄く切ることを形状に因んで何という?597 前140年から前135年まで続いた中国で最初の元号は何?598 ギリシア語の「串」に因む古代エジプトで多く作られた記念碑は何?599 ガラパゴス諸島を領有する首都をキトに置く南米の国はどこ?600 毎年元日に白朮祭が行われる京都市東山区にある寺院の名前は何? 【解答】591 ウェルキンゲトリクス592 牛乳を注ぐ女593 セントエルモの火594 カフェ・ロワイヤル595 ブーケガルニ596 笹掻き597 建元598 オベリスク599 エクアドル600 八坂神社
2011.08.26
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黄昏刻の学園都市。 常盤台中学一年生の婚后光子は、『学舎の園』の街の中にある薄暗い路地を歩いていた。 そして、足を止める。振り向く。(……?) 人の気配を感じるような気がするのだが、何度振り返っても背後には猫一匹いない。 そして原因を探るのを諦めるように前を向き、また数歩歩く。しかし、すぐに立ち止まって再び背後に視線をやった。数秒の静寂の後、婚后は思い切って口を開く。「どなた? 私を常盤台中学の婚后光子と知っての狼藉ですの?」 梅の文様があしらわれた扇子を広げ、口元に翳した。そしてそのまま警戒するように、後方に足をにじらせていく。と、 ドン! と、身体が何かにぶつかった。 すぐさま身体を翻させる。眉根を顰めて前方を見据えていると、 ビリッ!! と、脊髄に衝撃が走った。 扇子が宙を舞い、鈍い音が響く。数秒後、そこには意識を失った婚后が仰向けに倒れていた。そして、彼女の頭の傍らに立つ少女が一人。しかし、その制服は常盤台のそれとは異なるものだった。彼女は婚后が気絶したことを確認すると、薄く薄く笑みを浮かべた。「楽しみですね……『学舎の園』!」 天気は雨。 滴がガラス窓を斜めに伝うバスの中に、初春と佐天は乗っていた。「って言ってもさ。それって、女子校が集まってるだけの街でしょ?」 目を輝かせる初春に、佐天が冷静な声で突っ込む。「その集まってる学校が、普通じゃないんじゃないですか! 常盤台中学は勿論、どれも名だたるお嬢様学校ですよ!?」「そりゃそうだけどさ……」「今日は白井さん達が招待してくれたから入れますけど、そうじゃなかったら私みたいな庶民は、一生縁が無い場所なんですよー……」 胸の前で手を合わせながら、初春は幸せそうに語る。しかし佐天はあくまで冷めた顔で、「卑屈だなぁ……大体初春はさー、」 と、初春が佐天の鞄からはみ出ている『四角い何か』に視線を止めた。 そして気付く。佐天は頬に一滴、汗が流れていると。「あれ、これって……なーんだ。佐天さんだって、今日行くケーキ屋さん、チェックしてるじゃないですか」 一瞬で赤面させた佐天は拳を強く握って熱弁を振るう。「だ、だって、パスティッチェリア・マニガーニなんだよ! 厳選された素材をイタリア本国と寸分違わぬレシピで焼き上げたチーズケーキはまさに芸術品って書いてあるでしょ? これ前から一度食べてみたかったのに、日本じゃ学舎の園にしか出店してないんだもん!!」「……佐天さんって、意外とミーハーなんですね」 ぐっ、と言葉に詰まる佐天。その時、バス内のアナウンスが流れてきた。『えー、次は学舎の園入口、学舎の園入口です……』「あ、」 ポーン、という音と共にチャイムが点灯し、バスの速度が徐々に落とされていく。 憧れのお嬢様学校はもうすぐそこだ。
2011.06.01
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白井は一瞬信じられないような顔をして、御坂の元へと歩み寄った。「開けてみても……?」「勿論」 親指を立てたウサギが「USA」の文字と共に大きくプリントされた黄色いTシャツ。 嬉しさのあまりそれを抱き締めた白井に向かって御坂は、「これからもずっと一緒なんだから、宜しく頼むわよ」 しかし、白井はそれをどう受け取ったのか、目を丸くさせると、「お、お姉様……今、ずっと一緒、って……」「当たり前でしょ? 同じ学校の、同じ部屋で暮らす、離れようにも離れられない……パートナーなんだからさ!」 思わず再び泣き出しそうになってしまう白井だったが、その時水筒が差し出された。「パートナーに乾杯!」 御坂が優しく微笑みながら言う。負けじと白井も笑い返して、「運命の赤い糸という意味で!」「ルームメイトという意味で」 ゴン、という鈍い音を立てて水筒を打ち合わせると、腰に手を添えて一気飲みをした。 っぷはーっ、と御坂は健康的な吐息を漏らすと、「さてと、また一丁頑張るか!」 しかし、白井は動くことができない。 彼女の顔は紅潮し、呼吸が荒くなる。鼓動がどんどん速くなり、心音が耳につく。 そもそも自分は何を飲んだのだろうと、彼女は手元の水筒を見て、「!!?」 それは御坂に渡すために、自分が持って来た水筒。 それには、媚薬が入っているはずでは……?「――おねーさまー」 やけに甘ったるい声が、御坂の耳を擽った。「プールのお掃除は、濡れても平気な水着の方が宜しくなくて?」 見方によっては誘っているようにも思える白井には気付かず、御坂は彼女を適当にあしらう。「んー? でもまぁ、取りに戻るのも面倒だしねー……」「ふっ。実はこんなこともあろうかと……じゃじゃーん! お姉様のスクール水着はちゃーんと持って来てますのよー!」 瞬間、白井の顔面にデッキブラシが強烈に直撃した。「鍵付きのロッカーに入れといたはずなんだけどね!?」「ふふふふふ。私の能力の前では鍵など無意味ですのよ! さあさあ、お召しになって下さいまし!」 目の周りにブラシの跡がゴーグルのように残った白井はにこっと微笑むと、空間移動で御坂の背後に迫る。そして彼女は手先をシャツの袖とスカートの裾に突っ込んで―― フォン、という音。 直後、御坂は胸や腰の辺りが何となくスースーするなと感じると、「なっ、な……っ!!?」「お姉様ったらまたこんな子供っぽいものを……」 能力で強引に剥ぎ取った御坂の下着を矯めつ眇めつしながら白井が呟く。「こら! 返せ!!」「あら? ……オソロですわ!」 御坂の白い短パンの柄と、自分が先刻に受け取ったプレゼントの柄を見て、白井はまた口を緩ませる。「オっソロ! オっソロ! おっ姉様とオっソロ!!」 小躍りする白井を見かねた御坂の堪忍袋の緒が、遂にブチ切れた。「っ、黒子おおおおお!!」「何だか賑やかですわね」「御坂様、点検が終わりましたのでお手伝いに……」 ガラッ、とドアが開いて、湾内と泡浮が返って来た。しかしそこに響くのはブラシの軽快な音ではなく、電撃と少女の奇声。「お姉様の愛のムチ、とても良いわぁあああああ!!!」「良いから返せ! 返しなさいよ!!」「いいい嫌ですの……」「返せって言ってるの……まだ言うかあああ!!」 白井の身体に電撃が走り、彼女は床の上を魚のようにビクンビクンと跳ね回る。 それを目にしてしまった『お嬢様』の2人は途轍もなく気まずくなって、「……み、見なかったことにしましょう」「そ、そうですわね」 方向を180度回転させて、再びプールを立ち去ろうとした。(黒子は挫けませんの。ずっと、お姉様の傍にいますのよ!) 一際強い電撃が走る。 彼女達の『日常』は、こうして過ぎてゆく。
2011.05.30
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「それでは、また後程」「スポーツドリンク、ここに置いておきますので。ご自由にどうぞ」 湾内と泡浮はそう言うと一礼し、校舎の方へと戻って行った。 御坂は彼女達を笑顔で送り出すと、「いやぁ、何か良い子達じゃない、黒子?」「そうですわね」「有難いわね。あれなら10分かかんないかも」「そうですわね」「あーっ! 早く終わらせてアイス食べたい!」「そうですわね」「……10世紀に誕生した中国の王朝と言えば?」「宋ですわね」 同じ返答を繰り返す白井に、御坂は思わず顔を向けた。「どうしたの? 元気ないわね」「いえ、お構いなく……私なんて、掃除もろくにこなせない能無しですから」 白井の口から放たれた冷たい自嘲の言葉に、御坂は戸惑いを隠せなかった。「えっと、何か悩み事があるなら……」 しかし。「結構ですの!!」 白井は、その思いやりを厳しく突っぱねる。「私がお姉様に相応しくないのがいけないんですの……迷惑ばかりお掛けして、お役にも立てない……こんな私では、お姉様の傍にいる資格がありませんの!!」 最後の方は、もう明確な言葉にすらならなかった。 改めて言葉を口にして、白井は感極まってしまった。感情は嗚咽に埋もれ、嗚咽は感情を揺さぶる。悲痛な泣き声だけが、暫く校庭に響き渡っていた。(……ど、) 泣きじゃくる少女の背中を見ながら、御坂は苦い顔をする。(どうしよう……いきなり過ぎて、ついて行けないんですけど……)「御坂さん、もう渡しましたかね?」「どうせだったら渡す所、見たかったな。折角買い物に付き合ったんだもん」 同時刻。第七学区のカフェには、柵川中学の制服をまとった少女が二人、並んで座っていた。初春と佐天である。「白井さんの反応が気になります。ほら、あの下着の趣味といい……」「そうなんだよなー。まさかあんな趣味だとは思わなかったから……」 佐天は天を仰いでそう呟くが、すぐに初春を見据えて、「でもさ、そういうのって気持ちだから!」 その言葉に、初春も顔を綻ばせる。「……そうですね!」「ねぇ、黒子」 自信を得たような確かな笑みを浮かべて、御坂は口を開く。「1ヶ月前の今日のこと、憶えてる?」「1ヶ月前の、今日のこと……?」「そ。アンタが私の部屋に押し掛けてきた夜、寮監に見付かって大目玉食らったでしょ? で、次の日、二人で食堂の掃除させられて……」 広大な食堂をデッキブラシで掃除する作業は、必ずしも楽なものではない。 完全にとばっちりを食らった御坂は、げんなりしながら壁に背をもたせ掛けていた。 しかし、それでも。 事件の主犯は。健気な後輩は。白井黒子は――休むこともなく、怠ることもなく作業を続けた。自らに課した償いか、目を掛けてもらおうという実利的な計画か。それは到底分かるものではなかったが、彼女の真摯な姿に、御坂は少なからず心を打たれた。 そして――気が付けば、二人は並んでブラシを動かしていた。「……で、何だかんだで、今日まで一緒にやって来た。私達に記念日があるとしたら……それって今日なんじゃないかな?」 御坂がバッグから取り出したものは、薄緑色の包装紙だった。
2011.05.29
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561 第1回先進国首脳会議が開催されたフランスの都市はどこ? 562 2012年に予定されている東武鉄道伊勢崎線・業平橋の改称後の名前は?563 略称を「UNEP」という、本部をナイロビに置く国連の補助機関は?564 12月の誕生石でもある別名をトルコ石と言う鉱物は何?565 ドイツの耳鼻科医の名に因む鼻血の原因になりやすい部位の名前は何?566 英語で「弘法も筆の誤り」を表現したときに登場するギリシアの詩人は?567 滝廉太郎が「荒城の月」のイメージを得たともいわれる大分県の城は?568 イギリスの動物学者の名前に因む、津軽海峡を分断する分布境界線は何?569 アラビア語で「西」という意味の、北アフリカ北西部のアラブ諸国は何?570 Twitterにおいて、キーワードの前に#を付けるタグ機能の名前は? 【解答】561 ランブイエ562 とうきょうスカイツリー駅563 国際連合環境計画564 ターコイズ565 キーゼルバッハ部位566 ホメロス567 岡城568 ブラキストン線569 マグリブ570 ハッシュタグ
2011.05.28
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湾内に問い掛けられた御坂は、少しだけ驚いて返答する。「えっ? そうだけど……」 すると、湾内は嬉しそうな表情を浮かべて、口を開いた。「っ、やっぱり! ……憶えていらっしゃいませんか? 私、先だって粗暴な殿方に取り囲まれておりましたところを、御坂様に助けて頂いて……」「ああー……そんなこともあったっけ?」「その節は、本当にお世話になりました」「お噂はかねがね……お会いできて光栄ですわ!」 隣に立っていた泡浮も、にこやかに微笑む。と、白井はその姿を遠巻きに眺めていた。(流石はお姉様! 私の知らない所でも、悪者を懲らしめてらっしゃいますのね!) 白井は頬を染めながら優しく笑む。そしてデッキブラシを手に取り、彼女達の所に舞い戻ろうとしたのだが、「暖かくなると、変なの増えるしねー」「でも流石ですわ!」「ええ、本当にあの時の御坂様は素敵でした!」「いやいやいや……」 3人が談笑する姿を見て、白井は思う。 昨日の寮での出来事。 そう。 まるで、初春と佐天が、湾内と泡浮に変わっただけではないのか?(これは……デジャブ!) しかしすぐに、雑念を振り落とそうとするように頭を大袈裟に振りながら、(気のせいですわ! 昨日の今日でナーバスになっているだけ! 黒子だけ仲間外れにされているなんてそんなこと……) 白井は、視線を前方に向ける。「この暑い中、大変でしょう? スポーツドリンクを持参していますので、よろしかったら……」「ありがとう、頂くわ!」 泡浮が差し出した水筒を、御坂は受け取る。 そして、『直に口を付けて』いくらかを飲んだ。(ガーン!! 何なんですのこの扱いの差は!? そう言えば、事あるごとにスルーされて来ましたし……折に触れて親睦を深めようとしても手荒く拒絶されて来ましたの! ……ひょっとしてお姉様、本気で私のこと、疎んじてらっしゃる……? しっかりするのよ黒子! 自信がないなら取り戻すまで、不安があるなら吹き飛ばすまで! そう、私だけのアドバンテージ・空間移動を以てすれば、お姉様のお役に立つことなど幾らでも……) そして、再度前方を見据える白井。しかし、 そこにあったのは、50センチぐらいの高さを保って回転し続ける、水の竜巻だった。「うわー凄い! みるみる綺麗になってく!」「私の能力、水流操作系なんです。点検簿を先生に提出しなければならないんですけど、それが済んだらお手伝いさせて頂けませんか?」 湾内がそう言うと、御坂は少しだけ困ったような顔をした。「えー、でも……」「助けて頂いたせめてものお礼ですわ!」「……ありがとう! すっごく助かるわ!」 御坂の微笑み。「喜んでいただけて嬉しいです!」「でもホント凄いね! これならあっという間だよ!」 それだけで、彼女を撃墜させる戦力としては十二分だった。
2011.05.23
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「ったくもう、何で私がこんな事。確かにちょっとやりすぎたけど……だからってその罰が、このクソ広いプール掃除って!!」 御坂は天を仰いで、精一杯の声を張り上げる。「いくら何でもそりゃ無理でしょおおおおおおおおおおおおおお!!!」 しかし虚しくなったのか、彼女は腰に手を当てると、「はぁ……朝からやってもう昼過ぎ。まだ3割も終わってないってどういうこと!? これ今日中に終わるのかしらね?」 ぶちぶちと愚痴をこぼしながら、デッキブラシを前後させる御坂。彼女に背を向ける形で、白井もまた頭を垂れ、ブラシを握っていたのだが、(……うふ。うふふふふふ……うふふふひひひ!!) 彼女は、至高の悦楽にのめり込んでいた。(これはラッキーですわ……水場で汗だくヌレヌレのお姉様と、二人きりのプライヴェートタイム……まさに昨日の雪辱を晴らす、千載一遇のチャンスですのよ!!) 白井はごそごそと自分のバッグを漁り、紫色の水筒を取り出した。「お姉様!」 特別柔らかい鈴のような声で、彼女は御坂に声を掛ける。「炎天下の作業には水分補給が必須ですのよ? 私特製のドリンクは如何?」 しかし、御坂の態度は至って素っ気ない。「いらなーい」「ぇ……ど、どうしてですの?」「アンタ、昨日の『パソコン部品』。まさかその中に入れたりしてないわよね?」 たぱたぱと、白井は滝のように汗を滴らせる。そして思わず御坂は顔をしかめて呟いた。「……やっぱりか」「白井さん?」 その時あらぬ方向から、ふわふわとした少女の声が聞こえてきた。「やっぱり白井さんですわ」「こんな所で、何をなさってますの?」 ウェーブのかかった、ライトブラウンでセミショートの髪を持った少女と、黒のロングヘアの少女が、スクール水着の上にワイシャツを羽織って佇んでいた。「見ての通り、プール掃除ですわ」 白井はだるそうな顔で応答する。と、ライトブラウンの髪の少女が問い返す。「でも、どうして?」「初夏でも世間の風は冷たいんですのよ。ところで貴方達は?」 白井がプールサイドの少女達に歩み寄っていく。そして御坂は、それを何の気なしに眺めていた。(黒子のクラスメイトか……ってことは) 御坂は、少女達の豊満な胸と、自分の貧相なそれを見較べ、溜め息をつく。「年下か……」「お姉様」 と、不意に白井に呼ばれた御坂は、はっ、と我に返った。「こちら私のクラスメイトの、湾内絹保(わんないきぬほ)さんと、泡浮万彬(あわつきまあや)さんですの」 そう言われた2人の少女は恥ずかしそうに顔を一度俯けると、軽く会釈をした。「こんにちは」 御坂は、できるだけ相手の気に触れないように軽快に挨拶をする。「で、こちらが……」「あの、失礼ですが……御坂様でして?」 セミショートの少女――湾内と呼ばれた方が、口を開いた。
2011.05.18
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鳴ったインターフォンに視線をやって、御坂が応答する。するとマイクの向こうから、男の声が聞こえてきた。「宅急便です。208号室、白井黒子さんのお部屋でよろしいでしょうか?」 その時、ギクリと白井の顔が引きつったが、御坂はそれに気付かない。「はい……あの、品物は?」「パソコン部品とありますが……」 その声を聞いた途端、白井の顔が安堵に緩む。彼女は脇に顔をそらして溜め息をついた。(そりゃあそうですわね。あの手の業者はその辺りよく心得てますもの……)「送り主は?」 なおも御坂は問い掛ける。すると、 そこで、『地雷が起爆した』。「有限会社・『愛と漢方の絶倫媚薬』様からです」「って、そこを明記してどうしますの!」 思わず白井は叫んでしまう。しかし、気付かれれば最後。御坂の妙に落ち着いた声が白井を射止める。「黒子……? ささやかなお祝いするのに、なんで媚薬が要るのかしら?」「えーっと……」 白井の顔から脂汗がだばだばと溢れる。「アンタの変態性質を直すには、相当な荒療治が必要なようねぇ!?」 御坂の身体の周囲を紫電が閃く。臨戦モードになった彼女は、もう止められない。「ここでその名の通り、真っ黒焦げになりなさい!!」 直後。 轟! と寮のドアが吹き飛ばされ、電気で構成された白い柱が貫いた。 しかしそれは白井に当たらない。彼女は『空間移動』によって、一瞬で安全圏へと逃げ延びたのだ。 おーっほっほっほっほ、と白井は高笑いしながら告げる。「私の能力をお忘れになっては困りますわ! こうなったら喰うか喰われるか……黒子の愛を受け入れられないのなら、いっそ黒子と戦って下さいまし!!」 初春と佐天が、恐る恐る壊れた壁から顔を覗かせた。歯噛みしながら黒子を睨み付ける御坂。次の瞬間、彼女の顔が恐怖一色に染め上げられた。「? お姉様?」 白井はまだ気付かない。 その背後に迫る、畏怖の塊に。「寮則第9条。寮内での能力の使用は、これを固く禁ずる……よもや忘れた訳ではあるまい、白井。ん?」 ギチギチと。ミシミシと首を軋ませながら、白井は振り返る。 そこに立っていたのは、髪を中央で分け、吊り型の眼鏡を掛けた長身の女性だった。如何にも厳格そうなオーラが、そこかしこから溢れている。「こここここれはご機嫌麗しゅう、寮監様? 勿論ですわ! 私達、ただいたずらに能力を使った訳ではありませんの。これには色々と深い訳が……!」 しかしその言葉でさえも、寮監と呼ばれる女性は非常に遮る。「成る程。よんどころ無い事情というヤツか……」「そ、そそそうなんですの。実は……」「だが」 直後、ボキリという鈍い音が鳴る。それは、白井の首が寮監にホールドされ、不自然に折り曲げられた音だった。それを見た初春と佐天は口元を押さえて顔を背ける。「く、黒子っ!?」 御坂の叫び声が廊下に響く。しかし寮監は構わずに彼女の元につかつかと歩み寄って、冷酷に告げた。「そんな事情を一々斟酌していては、寮の規律を守ることは出来ん――規則破りには罰が必要だ。そうは思わんか? ……御坂」 寮監の鋭い眼光が、御坂を貫く。彼女は身体中を縮み上がらせて、絞り出すような声で応答した。「は……はい!」
2011.05.07
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「早いもので、あれからもう一週間経ったんですねー!」「て言うかまだ一週間なんだ! なんかもうずっと前から一緒に居るような気でいました……」「これからも宜しくね!」 初春と佐天が懐古しながら御坂と談笑するのを尻目に、白井は拗ねて壁に顔を向けている。(何なんですの、この扱いの差は……黒子、ひょっとして要らない子?) 顔に悲痛を滲ませながら、『冷たいおしるこ』をずずず、とすする。 と、缶の口の所を見て白井は思考する。(この小豆。誰にも顧みられずに捨てられる……この孤独な小豆と同じですの!) 白井は顔を仰向けにして、お汁粉を呷る。「あ、これ以外にイケるよ!」「へー……」「カツサンド!?」 御坂が手にしたオレンジ色の缶を見て、初春と佐天が驚きの声を上げる。 ――ずぞぞぞー。「そしたらその後初春が……」「うんうん!」「ちょっと、佐天さん!」 御坂はにやにやと頬を緩ませ、初春は顔を真っ赤にして話を止めようとする。 ――ずぞぞぞぞー。「アハハハハハ!!」 三人は爆笑する。 ――ずぞぞぞぞぞー。「うっさいわねアンタはさっきから!!」 遂に御坂がキレた。白井はべこん、と缶を凹ませると、「……やけ汁粉ですわ」「はぁ?」「これがやけにならずにいられましょうか?」 白井はゆらりと立ち上がり、御坂の方を睨む。彼女の目は据わり、頬は紅潮していた。「えっ、と……」「出会って一週間? ハッ、笑わせないで下さいな! 一か月。今日はお姉様と私が運命の赤い糸で結ばれてちょうど一か月の記念日ですのよ!? ――ひと月前のこの日、黒子とお姉様は偶然にもこの部屋のルームメイトになった。以来寝食を共にし、喜びも悲しみも分かち合ってきた……ここで! この部屋で!! なのに、なのにお姉様ったら……」 白井の瞳が揺らぎ、じわっと涙が溢れ出る。彼女は感極まったのか、手で顔を覆って泣き出してしまった。 彼女の嗚咽を聞き、初春と佐天は顔を見合わせる。「白井さん……」「あたし達、お呼びじゃなかったかな……?」 申し訳なさそうに初春が首を竦める。と、「黒子……」 御坂が口を開いた。「お姉様……!」「アンタ、無理矢理この部屋に押し掛けてきたわよね? 偶然でも、運命の赤い糸でもなく、さ。それで何? 喜び、悲しみ、やけ汁粉?」 ビクン、と。白井の顔が固まる。「何やら私急用が……」という独り言を彼女が言い終わらぬうちに、その頬が勢い良く掴まれ、「良くもそこまで言えたわねえええ!?」「痛い痛い痛い痛い痛い!! へんはいのほうひへは……!」 白井は再び日本語どころか人類語でさえない言語を紡ぎ出す。激情の止まらない御坂は、「そうよね。変態は掃除しちゃわないとね!」 白井は腕を振り払って、御坂の魔手から逃れる。「見解の相違ですの! 私はただ、お姉様と今日という日をささやかにお祝いしたいと――」 ピーンポーン。 その時、インターフォンが鳴った。
2011.04.26
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「「わぁー! 可愛い!」」 『入学式』と書かれたプレートの横に立って、笑顔で撮影されている幼少の頃の御坂を見て、初春と佐天の二人は思わず顔を綻ばせる。「これって、小学校の入学式ですか?」「隣の綺麗な人、お母さんですか?」「あ、うん……」 佐天と初春の質問に、御坂は恥じらいながらも答える。携帯ゲーム機のような形の電子アルバムのディスプレイには、入学式での写真が、運動会での写真が、七五三での写真が、遠足での写真が、プールでの写真が写し出されていく。「……でも、ちょっと意外」 不意に、佐天が口を開いた。「何が?」「ホラ、御坂さんって超能力者(レベル5)で、常盤台のエースじゃないですか。何かイイトコのお嬢様で、子供の頃からエリート街道まっしぐら! みたいな?」「そんなことないよ! 私だって、最初は弱能力者(レベル1)だったし。全然普通の子だったって」「……へー」 わずかに視線を俯かせて、しかし少しだけ嬉しそうに、佐天は息を漏らす。 と、一通り写真を見終えた初春が、背後の白井に声を掛けた。「じゃあ、次は白井さんのを」「ええ喜んで……と申したい所ですが、生憎私アルバムは持ち合わせておりませんの」「ふぇ?」 初春が間の抜けた声で聞き返すと、白井は得意気な顔になって言う。「黒子は今を生きる女! 過去を振り返るよりも、未来を夢見るよりも! 今を……今この瞬間を見つめていたい……! そう心に決めておりますのよ」「これじゃあ……?」 その時。人知れず書棚に向かい、ごそごそと漁っていた佐天が、彼女のアルバムらしきものを発見した。が、白井本人は並々ならぬ動揺を見せて、「ギャー!! それはダメですのー!!」 そこには、数々の御坂本人の写真が貼り付けられていた。 ある物は、『帰様の浴院』でシャワーを浴びている一枚。 ある物は、カエルの柄のパジャマを着て睡眠中の一枚。 ある物は、制服を着ている最中に隠し撮りをした一枚。 そして、それを見た御坂は、「黒子ぉ!! ……確かにアンタは、過去や未来より『今この瞬間』を見つめ直す必要があるようねー!?」 再び白井の両頬をつねり始めてしまった。と、白井は御坂の仕打ちから解放されると、なよなよと床に倒れ込む。「私、それだけ本気でお姉様のことを……! お姉様、今日が何の日か憶えていらっしゃいませんの!? 初春や佐天さんを連れていらしたのも、てっきり『この日』のためかとばかり……!」 呼ばれた当人の御坂は、二、三回両目をぱちくりさせると、「今日? 初春さんと、佐天さん……? あ、そう言えば!」「思い出して下さいまして!?」「今日は、初春さん佐天さんと知り合って、丁度一週間目の記念日だ!」 直後。 白井は仰向けに、盛大に床に転倒した。
2011.04.17
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「白井さんの……?」「この、大胆な下着が?」 思わず、初春と佐天は聞き返してしまう。「大胆というほどでも……黒の下着くらい、レディーの嗜みですわよ?」 ツインテールの髪を指先でいじりながら答える。「……じゃあ、この真っ赤なバタフライのも?」「気持ちを盛り上げたい時などにそれを」「この、ほとんど紐なTバックも?」「お肌に痕が残らなくて重宝しますわ」「こ、この、全身無地のボディストッキングも!?」「女には、時として女豹にならなければならない時がありますのよ」 流石に彼女の下着センスについて行けなくなり、初春と佐天は顔を真っ赤にして口をぽかんと開けている。直後、 佐天が、初春のロングスカートを大きく捲り上げた。「い、いきなり何するんですか佐天さん!?」「いやー、自分の日常を取り戻したくなって……初春の縞パン見たら落ち着いたー!」 耐えきれなくなった初春は、より一層顔を林檎のように赤らめる。「そんな下着ぐらいで大袈裟な……ほら、色々ありましてよ?」 そして白井は木箱に手を掛ける。「パール素材のオープンブラに、フリル付きのベビータオル。ガーターベルトにレースのテリー。そして……」 シルクハットを被った黄色いカエルのような生物が剽軽に笑っているピンク色の下着が提示される。それをしばらく唖然と見ていた初春と佐天だったが、一度大きく溜め息をつくと、「良かったー。白井さんもそんなの履くんだー……」「私の白井さんが帰って来てくれました」 しんみりと語る二人の眼前から突如、ピンクの下着が消失する。 それは、脇からにゅっと突き出た腕に奪取されたからであった。「……ごめん。これ、私の」 顔を背けて呟く御坂に、今度こそ二人は唖然とする。 御坂は勢い良く振り向くと、ほんのり赤くなった白井の頬を思い切りつねった。「つーか黒子! 何でアンタのベッドの下に私の下着があるワケ!? ええ!?」「こ、これはお姉様――!」 騒動を抑えようと、残された二人は愛想笑いを浮かべて言う。「まあまあ御坂さん……そうだ! 私、アルバムが見たいなー!」「おっ、定番だねえ!」「御坂さんと白井さんの小学校時代とか、すっごい興味あります!」 彼女達の必死のフォローに、御坂は顔をそちらに向けて、照れ笑いと共に呟く。「……えー?」
2011.04.15
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「わぁー……憧れのお嬢様のお部屋!」「お洒落ー! シックー!」 初春と佐天は、その瞳をきらきら輝かせながら、室内をぱたぱたと歩き回る。「ベッドもふかふか!」「ホントだー!」 二人は白井のベッドに腰掛け、スプリングを揺らしながら歓談していた。と、その向かい側の御坂のベッドには彼女本人が腰掛け、白井がうつ伏せに伸びている。「……ったく。アンタ、何考えてんのよ!」「お姉様こそ。どうして初春と佐天さんを?」「たまたま街で会ったのよ! 買い物にも付き合ってもらったし。一度寮を見てみたいって言うから……」「買い物?」 しかし、白井が猜疑したのは、御坂が予想もしなかった箇所だった。え? と、彼女は抜けたような声を発すると、視線を宙に彷徨わせながら答える。「う、うん……ちょっとね」「?」 白井は赤くなったおでこに手を添えながら、眉根を寄せた。「やっぱり凄いですね、常盤台の女子寮! 羨ましいなー……」「食堂なんかもこーんな広かったもんね!」「そんなことないよ!」 初春は聖母に祈る時のように両手を組み、佐天は食堂の巨大さを形容するために腕を広げる。対して御坂は若干照れながら手をひらひらと振った。 その背後で、白井はシーツに沈みながら苦悩していた。(お姉様ったらよりにもよってどうしてこの日に……! 折角の記念日が台無しですわ……はっ! もしかしたら……)『私と黒子が結ばれてから丁度一か月の記念日なの……私と黒子は二人で一つ。初春さん、佐天さん。これからも私達をよろしくね。……君の瞳に、乾杯』「……ひぃ、ひっ、ふひっ、ひっ!」 気が付けば、足を虚空に突き出してバタバタと身悶えする白井。その奇行に初春は若干引き気味に、「あ、あの。白井さん、大丈夫ですか……?」「……何でもありませんの。さあさあ、これといったおもてなしもできませんが、どうぞお好きに……」 白井は一瞬で起き上がると、満足な顔で呟く。御坂へにじり寄っていくと、途中で一点に視線が釘付けになった。 白井のベッドの下に潜り込んでいる、佐天を見ていた。「佐天さん。そこで何をしていますの?」「いやー……友達の家に来たら、まずはお約束のガサ入れかなー……って!」 彼女は白い木箱を引っ張り出すと、遠慮もせずに蓋を開ける。「うをっ! エロスっ!!」 そこから取り出されたものは――両脇を紐で留めるタイプの、黒い下着だった。「佐天さん! そんな人の物を勝手に……」 あわあわと狼狽える初春の忠告は耳に入れず、佐天は四方八方からじろじろと一通り観察すると、「流石御坂さん! おっとなー!」「いや……それは……」「私のですわ!」 顔を赤く染めて返答に詰まる御坂の傍らから、白井の声が割り込んだ。彼女は得意満面の笑みを浮かべて、優雅に座っていた。
2011.04.10
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学園都市に7人しかいない超能力者(レベル5)。その中の一人・常盤台中学の御坂美琴はその日、大通りを走っていた。 信号が赤に変わり、彼女は横断歩道の手前で足止めを食らう。よく見ると、ハァ、ハァと、肩で息をしているほどに彼女は疲労していた。と、その背後から、黒髪のツンツン頭が特徴的な少年が、こそこそと離れていく。周囲を見回していた御坂は、その少年に気付くと、再び走り始めた。 高架下をくぐり、少年は細い裏路地に駆け込む。彼も足を縺れさせながら走っている所を見ると、御坂と同様に疲労しているらしい。 少年は裏路地の付き当たりを右折する。が、そこは工事現場となっているらしく、隔壁によって行き止まりとなっていた。 そして、御坂は彼に追い付いた。最早袋の鼠である。 彼女は荒い息を吐きながらも、にやりと笑う。「もう逃がさないわよ」「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺は……!」「観念しなさい!!」 御坂の身体の周囲を青白い電撃が迸り、一本の大きな槍となって少年を襲う。 が、彼はそれでも、右手をかざすだけしか対抗策をとらなかった。 氷の割れるような音が響き渡り、御坂の瞳孔が揺らぐ。 御坂は、路地の出口の所に呆然と突っ立って、流れる浮雲を眺めていた。「御坂さん!」 不意に、横から呼び止められた。見ると、柵川中学に在籍する初春飾利と、佐天涙子が走ってくる。「初春さん、佐天さん……」「何かあったんですか?」「今何か、凄い音がしましたけど……」 初春と佐天の言葉に、御坂は思わず顔を引きつらせる。「あ、いや、そのー……あははは、あはははは!」 御坂は笑って、場を凌ごうとする。しかし先程の音を裏付けるように、路地は電撃で周辺が焼け焦げていた。 そこに唯一、黒く変色していない凹みがあった。 『まるで、誰かが堰き止めたように』。 白井は女子寮の自室で、シャワーを浴びていた。(……今日は、黒子とお姉様の記念日(アニバーサリー)……運命の赤い糸で結ばれて、丁度一ヶ月目の) 彼女は浴室を出ると、ヘアブラシで髪を梳き、薄い桃色のルージュを口元につける。(『例の品物』が届かなかったのは残念ですけど……) 食器棚から取り出した2つのカクテルグラスにヤシの実サイダーを注ぎ、チェリーを浮かべる。(今日こそ黒子は差し上げますの。心を込めた贈り物(プレゼント)……そう。生まれたままのこの私を!) 装飾の多い下着を履き、薄手のランジェリーを羽織る。そして―― ガチャッ、とドアが開き、御坂が帰って来た。「ただい――」「おねええええさまああああああ!!!」 御坂の動きが固まる。と、その時。「「お邪魔しまーす!」」 ドアの横から、初春と佐天が顔を覗かせた。 動きを固めるのは、白井の番である。「あぐぅっ!!?」 当然のことながら、御坂の鉄拳が振り下ろされる。
2011.04.06
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乗用車は縦になって、アスファルトにめり込んでいた。気絶した青年の頭がクラクションに当たり、辺りに騒音を撒き散らす。「はぁー……す、」「すごい……!」 初春と佐天は、超電磁砲の威力に嘆息する。 風紀委員や警備員が現場に到着した。護送車の青いランプが点滅し、カメラの音が絶えず聞こえていた。「一般の方の負傷者はゼロ。それと――」 遅れてやって来た同じ風紀委員第一七七支部の先輩に、初春が業務報告をしていた。「さ、さっさと歩いて下さい……」 護送車の扉の脇に黒髪をポニーテールにして、頬にガーゼを貼り付けた、いかにも気弱そうな丸眼鏡の女性が立っていた。 視線を俯きがちにして護送車へと入って行く発火能力者の青年の背後から、白井の声が聞こえた。「貴方の能力も中々のものでしたわよ?」 その言葉に、青年は顔をそちらに向ける。白井は彼に背を向け、広場を見つめていた。「強能力者(レベル3)、と言った所かしら。能力に有頂天になる余り、道を違えたようですわね。――暫く自分を見つめ直して、もう一度出直して下さいな」 青年はその言葉に、数秒だけ動きを止める。やがてギリッ、と奥歯を噛むと、護送車に乗り込んだ。「本当に……ありがとうございました!」 バスガイドの女性が発した言葉に、佐天はどう反応して良いのか戸惑っていた。「いえ。あの……」「何とお礼を言ったら良いか……ほら、貴方も」 バスガイドの傍らにいた女性が、深く頭を下げる。そして呼ばれて応じたのは、茶髪の青年に誘拐されそうになった男の子だった。「お姉ちゃんありがとー!」 その言葉に、佐天は思わず顔を綻ばせた。「はぁ……」 男の子達が立ち去った後、佐天は人知れず小さく溜め息をついた。と、御坂が彼女の傍に歩み寄って来た。「お手柄だったね、佐天さん。凄く格好良かったよ」「……御坂さんも、」 佐天は恥ずかしそうに顔を俯けて呟く。と、御坂の背後から「お姉様ー!」という白井声が聞こえてきた。彼女は御坂に飛びついて、『いつも通り』を演出し始める。「さ、佐天さん! お怪我、大丈夫ですか?」 初春は、佐天の頬の絆創膏を見て言う。対して佐天は「平気平気」と呟くと、前の二人――御坂と白井を見て、再び言った。「御坂さんも、凄く格好良かったです!」
2011.04.05
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「やっぱり、広場の方をもう一度――」 御坂がそう言った時、遠方から男の荒々しい声が響いてきた。「なっ、何だテメェ!! 離せよ!!」「ダメー!!」 直後に響く、布を裂くような悲痛な叫び声。 見ると、黒ジャケットの青年が連れ去ろうとしている男の子に佐天が縋り付いていた。「くっそぉ!!」 青年は人質を取るのを諦め、逃走に専念することにしたらしく、男の子を蹴り飛ばした。 佐天の目尻にあった涙が飛ぶ。「ッ!!」 御坂は思わず息を呑む。瞳孔が揺らぐ。「佐天さん!?」 初春が顔を歪めて叫ぶ。更に逃走する青年に攻撃を加えようとした白井を、御坂は大声で制止して、「こっからは私の個人的な喧嘩だから……悪いけど手、出させてもらうわよ」 超能力者(レベル5)の少女の身体の周囲に、電撃が走り、前髪がわずかに揺れる。と、発火能力者の青年が、怯えた声で呟いた。「思い出した! 風紀委員には捕まったが最後、身も心も踏み躙って再起不能にする、最悪の空間移動能力者がいて――」「誰のことですの、それ?」 白井は疑いの視線を青年に向ける。「畜生、このまま引き下がれっかよ!」 強盗の一人、茶髪の青年は男の子を身体から引き剥がすことに成功したのを確認すると、白色の乗用車に乗り込み、アクセルを強く踏む。タイヤはアスファルトを削り取りながら急発進していった。「更にはその空間移動能力者を身も心も虜にする、最強の電撃使い(エレクトロマスター)が!!」 そしてそれが逃げて行くのを後ろから見る少女が、一人。彼女はスカートのポケットから、ゲームセンターでもらえるような安っぽいコインを取り出した。「ヘ、ヘヘッ。こうなったらテメェらまとめて……!」 乗用車のハンドルを強く握り締める茶髪の青年は、白布に隠れて見えないながらも、確かにその口元には笑みを浮かべていた。「そう。あの方こそが学園都市230万人の頂点、7人の超能力者(レベル5)の第3位――」 少女は指先で、コインを空中に弾き飛ばす。それは回転しながら、重力に引かれて手元に戻っていく。 アクセルが更に強く踏まれる。 タイヤがアスファルトを削り取る。 少女はコインが手元に着弾すると同時、今度は前方へと撃ち出した。 プラズマの尾がオレンジに光る。アスファルトは道路の真ん中で一直線にひびが入る。その衝撃波は乗用車に直撃すると、それは回転しながら少女の背後に墜落した。「超電磁砲(レールガン)! 常盤台中学が誇る――最強無敵の電撃姫ですの!!」 少女はフッ、と息を吐くと、髪をかき上げた。
2011.04.04
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「なっ!?」「テメェ……!」 残る二人の青年が歯噛みする。そして、傍観する佐天と御坂が、感心した表情で呟いた。「凄い……!」「流石黒子!」 と、その時、遠方から初春の慌てた声が聞こえた。「駄目ですって! 今広場から出たら……」「でも……」 見れば、広場を飛び出そうとするバスガイドの女性の腕を、初春が必死に捕えている。「どうしたの!?」 御坂は切迫した調子で問う。「それが……」「男の子が一人足りないんです! 少し前に、バスに忘れ物したって行ったきり……!!」 答えようとした初春を、一瞬でも惜しいように、バスガイドが遮る。御坂は表情を強張らせて言う。「じゃあ、私と初春さんで――」「私も行きます!」 御坂の背後で、佐天が必死な声を絞り出す。御坂はそちらを振り返ると、佐天は力強く頷き返した。「分かった……手分けして探しましょう!」 白井は、短い黒髪の青年と対峙していた。「……今更後悔しても遅ぇぞ」 青年の左手に、炎の塊が宿される。それは熱風を噴きながら野球ボール大になった。(発火能力者(パイロキネシスト)……!) 白井は彼を睨みながら黙考する。「俺を本気にさせたからには、消し炭になっ……て!?」 直後、白井は青年達を大きく迂回するように、銀行前の歩道から大通りへと飛び出した。「逃がすか……よ!!」 青年は炎の塊を、フリスビーのように横方向に投げる。それは白井を追尾するような軌道を描いて彼女の小柄な身体に―― 当たらなかった。 白井は塊が衝突する直前に、その姿を突如消滅させたのだ。「消えた!?」「誰が――逃げますの?」 白井は一瞬で青年と距離を詰め、彼の懐に潜り込む。「ッ!!?」 しかし彼女は狼狽える青年に攻撃を加えず、そのまま再び消滅する。一瞬の後、彼女は青年の後頭部の辺りに移動し、両足を揃えて蹴った。「ぐあっ!!」 青年は衝撃で前のめりに倒れ、口元の白布が外れた。 たんッ、と彼の前に降り立った白井は、スカートの下――太腿に巻いた革ベルトに挿された鉄矢を白井の能力によって手元に移動させる。そしてそれらを、コルク板に画鋲で紙を貼るように、青年の衣服の端々と共にアスファルトの地面に刺し止めていく。「てっ……空間移動者(テレポーター)!?」 四肢を地に縫い止められた発火能力者の青年は、怯えた声でそう叫ぶ。「これ以上抵抗するなら、次はこれを体内に直接空間移動させますわよ?」「ぐっ……!」 青年は、観念したように身体から力を抜く。 どうやら、決着がついたようだ。 一方、御坂達は爆風を受けたバスの周囲で、行方不明の男の子を捜していた。「そっちは!?」「駄目です!!」 御坂と初春が短い言葉で受け答えする。どこ行ったのよもー、と愚痴る御坂から少し離れた所では、佐天が地面に這いつくばって男の子を捜索していた。 と、異なる二人の男の声が、彼女の耳に届いた。 見ると、茶髪で黒ジャケットの青年が、緑色のサマーセーターを着た男の子を連れ去ろうとしていた。佐天が御坂達を呼ぼうかと躊躇っている内に、少年は強引に腕を掴まれる。(あたしだって……!) 直後、一般人である佐天は走り出す。 小さな一般人を、この事件から救うために。
2011.04.03
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「ほらお姉様、遠慮なさらず……」「いらないって言ってんでしょ! 何よトッピングに納豆と生クリームって!?」「ほらほら……あ~ん!」「だからやめなさいって……!!」 そんな会話を眺めながら、初春が呟く。「……良かったですね」「え?」「御坂さん。お嬢様のイメージとはちょっと違ったけど、思ってたより、ずっと親しみやすい人で……」 初春と佐天は、顔を前方に向ける。 口に無理矢理クレープを押し込もうとする白井の頭を、御坂は必死に押さえていた。「どーなんだかねー?」 佐天は、思わず苦笑混じりに呟いた。 と、二人が自分の方を見ていることに気付いた御坂は、自分のバナナやチョコがトッピングされたクレープを佐天に差し出す。「はいっ。味見でしょ? さっきのお礼、一口どうぞ」 その時、御坂の背後から、悲痛な金切り声が聞こえた。「お姉様っ!! おおお姉様は私というものがありながらささ佐天さんとの間接的な面での――ッッ!!」 白井が頬に手を添えながら何か叫んでいる。それを見た佐天は、初春に向けて思わず、「アンタの友達にはついていけないかも……」「あはは……ん?」 苦笑した初春が、視線を背後に向ける。その先にあるのは、大通りの向かい側の銀行。「いえ、あそこの銀行なんですけど……何で昼間から防犯シャッター下ろしてるんでしょうか?」 直後、 鋼鉄製のシャッターが歪み、轟!! と爆発した。 白井はクレープを一口で自分の口に押し込むと、すぐさま走り出す。「初春、警備員(アンチスキル)への連絡と、怪我人の有無の確認! 急いで下さいな!」 轟音に耳を押さえる佐天の横をすり抜け、白井は早くも大通りへと降り立つ。「はっ、はい!」 初春はバッグからPCを取り出し、スカートのポケットから緑色の腕章を取り出す。そこに刻まれているのは、『風紀委員』の文字。「黒子!!」「いけませんわ、お姉様。学園都市の治安維持は、私達風紀委員のお仕事。――今度こそ、お行儀良くしていて下さいな?」 頼もしい後輩を見て、御坂の顔が自然と緩む。が、今はそんな感傷に長々と浸っていられるほどでもない。現に、銀行の非常用ベルがけたたましい音を撒き散らしていた。「はい、そうです。第七学区ふれあい広場前の銀行で、強盗事件発生! 警備員の出動を要請します!!」 銀行の店内では、再び小さな爆発が起こる。その時、黒煙の中から3人の青年が飛び出してきた。全員が揃ったように黒いジャケットを着て、白布を口の周りに巻いていた。「ほら、グズグズすんな! さっさとしねえと……」「お待ちなさい!」 青年達の行く手を、白井が遮る。「風紀委員ですの! 器物破損、及び強盗の現行犯で拘束します!!」 しかし青年達は数秒呆れたように押し黙り、一度仲間と顔を見合わせると、腹を抱えて笑い始めた。白井の顔が不機嫌になる。「ヒャハハハハ!! 何だよこのガキィ!」「風紀委員も人手不足かぁ!?」 爆笑を続ける青年達に、白井はゆっくりと歩み寄って行く。「ほらお嬢ちゃん。とっととどっか行かないと、怪我しちゃうぜえ!?」 青年の中でも一際ガタイの良い男が、右拳を固めて白井に迫る。が、彼女は極めて冷静に、風のようにそれを避けた。「な……っ!?」「そういう三下の台詞は――」 重心がぶれた青年の足を払う。彼は空中で一回転すると、背中をアスファルトに強打して気絶してしまった。白井は、あくまでも平然と言う。「死亡フラグですわよ?」
2011.04.02
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「どうなさいましたの、お姉様?」 疑問に感じた黒子が、御坂に歩み寄ってくる。すると、ふっと気付いたようで、悪戯な笑みを浮かべながら、「あら。クレープ屋さんにご興味が? それとも、もれなくもらえるプレゼントの方ですの?」「えっ!? な、何言ってんのよ! わ、私は別にゲコ太なんか……だってカエルよ? 両生類よ? どこの世界にこんなものもらって喜ぶ女の子が――」「あっ」 御坂はそれを即座に否定する。しかし彼女の顔は紅潮し、明らかに挙動不審だった。 そして、初春があるものを発見した。それは、 御坂の学生鞄に付けられた、カエルのストラップ。 御坂は完全に固まってしまい、ストラップを隠すこともできない。初春と佐天は反応に困り、白井に至ってはそっぽを向いて必死に噴き出すのをこらえていた。 第七学区のふれあい広場では、「RABLM」というクレープ屋が新規オープンしていた。「うわー……すっごい人!」 広場を眺めていた佐天が思わず声を漏らす。「何でこんなに小さい子が……」 初春が周囲を見回すと、「休憩は1時間ですー! あまり遠くに行かないで下さいねー!」と声を張り上げているバスガイドらしき女性が見えた。来年度に入都市する子供達とその家族が、見学会中の休憩時間と言うことで押し寄せていたのだろう。 そしてそれを察した初春と黒子が呟いた。「タイミングが悪かったみたいですね……」「先にベンチを確保して参りますわ」「あっ、じゃあ私も……佐天さん、私達の分もお願いしますね」「お金は後でお支払いしますわ」 そう言い残して、2人は去って行った。 残ったのは、佐天と御坂。「えっ、ちょっ……」 佐天は思わず後ろを振り向く。と、そこにいた御坂は、 真剣な面持ちで腕を組み、指をいじっていた。「え? 何?」「あの……順番、変わります?」 そう言われた御坂は、一瞬だけぱぁっと顔色を輝かせる。しかしすぐに、「あっ、別に順番なんて……私はクレープさえ買えたら……」「やったー! ゲコ太ゲットー!」「私も私もー!」 御坂の傍らを走り去っていく少年と少女が持っていたストラップを、彼女は思わず目で追っていく。それを見た佐天は、はぁ、と小さく苦笑した。「はい、どうぞー!」 佐天の目の前に、黒い口髭を生やしたカエルの小さなストラップが差し出される。「最後の1個ですよー」「どうも……って、え? 最後?」 直後、彼女の背後から、御坂が地面に倒れ伏す音が聞こえた。「あ、あの……良かったら、どうぞ」「えっ!? いいの!? 本当にいいの!?」 途端に居たたまれなくなって、佐天はストラップを御坂に提示した。御坂は絶望の闇の中に差した一筋の希望の光にすがるように、輝かしい声を発する。「え、ええ……」「ありがとおおおお!!」 佐天が若干引き気味に答えると、御坂は彼女の手を取って、歓喜に肩を震わせた。「い、いえ……」
2011.04.01
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「おっ……おね……」 その言葉を聞いた白井が、ピタリと動きを止める。「お姉様ぁぁぁああああ!!!」 そして、 白井は、少女の膝の上に空間移動(テレポート)した。「くろっ……!?」「お姉様がそんなにも黒子のことを思って下さってたなんて! 黒子はもう……もう……どうにかなってしまいそう!!」 ふと、少女は視線を店外に向ける。すると、 興奮気味の初春と、若干引き気味の佐天がこちらを見ていた。 更に追い討ちのように、背後から「お客様?」と、店員に声を掛けられる。「申し訳ありませんが、他のお客様のご迷惑になりますので……」 気付けば、店内のほとんどの客が、白井の奇行に注目していた。直後、 少女の鉄拳が、白井に制裁を加えた。「――と言う訳で、とりあえず紹介しますわ」 少女と白井は、店外に出た。白井が自分の頭を撫でながらそう言う。「こちら、柵川中学一年、初春飾利さんですの」 白井に紹介された初春は、緊張に頬を赤く染める。「はっ、初めまして。初春飾利、です……」 語尾が若干弱くなったが、彼女は自己紹介をした。「それから……」 白井の言葉が詰まる。それを察して、佐天も少女に向き直って自己紹介をした。「どうもー。初春のクラスメイトの、佐天涙子でーす。何だか知らないけど、ついてきちゃいましたー。因みに能力値はレベル0でーっす」 皮肉をたっぷり込めて、佐天がそう言う。「あぁあ、ささ佐天さん、何を……!」「初春さんに、佐天さん」 途端に慌て出す初春を、少女の声が遮った。「私は御坂美琴。よろしく」「よ、よろしく……」「お願いします……」 予想よりもフランクな彼女の態度に虚を突かれた佐天と初春は、小さな声で挨拶に応じる。「では恙無く紹介も済んだ所で……多少予定は狂ってしまいましたが、今日の予定はこの黒子がバッ」 再び、少女の鉄拳制裁が下される。「まっ、こんな所にいても仕方ないし。とりあえず……ゲーセン行こっか?」「えっ?」「ゲーセン……ですか?」 初春と佐天が順に問い掛ける。しかし御坂はそれには答えることなく、フッと微笑んだだけだった。「ほら、黒子行くよ?」「もう、お姉様ったら……ゲームとか立ち読みではなく、もっとこうお茶とかお琴とか、ご自身に相応しいご趣味をお持ちになれませんの?」「ぐっ……うっさいわねー。大体、お茶やお琴のどこが私らしいっていうのよ?」 四人はゲームセンターへ行くために、大通りの歩道を歩いている。しかし先頭で雑談している御坂と白井の背後で、柵川中学生の二人は呟く。「何かさ……全然お嬢様じゃなくない?」「上から目線でもないですねー……」 初春は、先程街頭で受け取ったチラシに目を落とす。すると佐天もそれに気付いて訊いてきた。「何それ?」「新しいクレープ屋さんみたいですね。先着100名様に、ゲコ太マスコットプレゼントって……」「何このやっすいキャラ? 今時こんなのに食いつく人なんて……」 その時。佐天が、立ち止まっていた御坂と衝突した。「すみませ……ん?」「御坂さん?」 『常盤台のエース』・御坂美琴は。 チラシに描かれたゲコ太に、心を奪われていた。
2011.03.31
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「と言う訳で、一緒に買いに行くよ?」「あ、でも私、今日は白井さんと約束が……」「白井さんって……風紀委員の白井黒子?」 佐天が、初春の方向に顔を向けて疑問を投げ掛ける。すると、当の初春はキラキラオーラを振りまいて、「念願叶い、御坂さんに会わせてもらえることになったんです! 学園都市でも7人しかいない超能力者(レベル5)、『常盤台のエース』・御坂美琴(みさかみこと)さんに!!」「常盤台の超能力者(レベル5)? どうせまた能力を笠に着た、上から目線でいけすかないヤツじゃないの?」「そんなこと……」 佐天は初春を横目に睨みながら言う。すると、初春は思わず言い淀んだ。「だってああいう人達って、自分より下の人間を小馬鹿にするじゃん? ムカつくんだよねー。しかも常盤台のお嬢様だなんて……」「良いじゃないですか、お嬢様!」 初春の言葉が、佐天の愚痴を遮断した。「いえ、むしろお嬢様だから良いんじゃないですか!」 初春の周囲には、再びキラキラオーラが放出されていた。「ってアンタ、単にセレブな人種に憧れてるだけなんじゃ……」「そっ、そんなことないですよ? 因みに、私の出身が西葛西だってことも、関係ないですよ?」 初春の声が上ずった感じになる。佐天は心の中で苦笑した。すると、初春はそうだ! と閃いたような素振りをして、「この際だから佐天さんも一緒に……」「あ、あたしは別に……!」「大丈夫大丈夫!」「大丈夫って……ちょっと!」「こんな機会、滅多にないですよ?」 初春は多少強引に、躊躇っている佐天の腕を掴むと、そのまま走り出して行く。「私のファン?」「風紀委員の第一七七支部で、私のバックアップを担当してくれている子ですの。一度でいいからお姉様にお会いしたいと事あるごとに……」 第七学区の「josePh’s」というファミレスで、ボックス席に向かい合って座っている少女達がいた。常盤台中学の制服――風紀委員の白井黒子と、彼女に慕われている超能力者(レベル5)の少女である。 少女ははぁ、と溜め息をつく。すると、白井がそれを察したように、「お姉様が常日頃からファンの子達の無礼な振る舞いに閉口されているのは存じてますわ? けれど、初春は分別を弁えた大人しい子。それに何より、私が認めた数少ない友人――ここは、黒子に免じて一つ。あ、勿論お姉様のストレスを最小限に抑えるべく、今日の予定は私がバッチリ……あ、ちょっ、待っ……!」 おもむろに白井が取り出した手帳を、少女が奪い取った。そして取り返そうと席を立つ白井の頭を、少女は手の平で荒々しく押さえ付けて、手帳に目を通す。「なになに……? 『初春を口実にしたお姉様とのデートプラン。その1・ファミレスで親睦を深め、その2・ランジェリーショップ(勝負下着)購入、その3・アロマショップでショッピング(媚薬購入)、その4・初春駆除、その5・お姉様とホテルへゴー!!』……」 みるみる内に、白井の顔から血の気が引いていく。しかし少女は続けて、「……つまり、大人しくて分別ある友人を利用して、自分の変態願望を叶えようと?」「いえ、あの……」 白井の言葉から、ことごとく力がそがれていく。「読んでるだけで、すんげーストレス溜まるんだけど!!?」 直後。少女は白井の両頬を掴み、引っ張った。「ふひひへふおひえいひふひあいえふひ~~~!!」 白井が何かを必死に訴えようとするが、それは最早人類に理解できる言葉ではない。「まぁ、でも」 少女が白井の頬から手を放す。ゴムボールのように元の形に戻った頬を、白井は手でさすった。「黒子の友達じゃあ、しょうがないか」
2011.03.30
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日を同じくして身体検査を実施している、第七学区の柵川中学校。「♪~」 鼻歌交じりに、携帯端末をいじりながら歩いている少女がいた。彼女は黒いショートヘアーの上に、まるで花瓶のような沢山の花をかたどった髪飾りをのせていた。「えーっとぉ……」 画面に表示される情報を目で追っていた彼女の背後から、別の少女の声が聞こえてくる。「うーいーはー……るぅ!!」 背後にいた少女は、髪飾りをのせた少女のスカートをめくり上げ、彼女のパンツを拝んでいた。「……ひぇえっ!?」 数秒遅れて顔を真っ赤に染める、髪飾りの少女。しかし背後の少女はそれを気にせず、「おっ。今日は淡いピンクの水玉か~」「ひゃああああああああああああああ!!?」 髪飾りの少女の甲高い叫び声が、青空に響く。「いきなり何するんですか佐天さん!?」「おーおー。クラスメイトに敬語とは、相変わらず他人行儀だねえ。どれ、親睦を深めるためにもう一回!」「きゃあああああ!!」「はぁ……ひどいですよ」 学校から少し離れた通りにあるベンチに腰掛けた、髪飾りの少女。その飴玉を転がすような甘ったるい声は、白井が暴漢を追跡中に通信していた、初春と呼ばれていた少女のものだった。 彼女の名前は初春飾利(ういはるかざり)。白井と同じく風紀委員に所属する中学一年生である。 と、肩を落とす初春を慰める気があるのかも分からないような明るい声で、先程彼女のスカートをめくった少女が言う。「ごめんごめん調子に乗っちゃって。代わりにあたしのパンツ見る?」「結構です!」 黒いセミロングの髪に、白梅の花を模した髪飾りを付けたセクハラ中学生の名前は、佐天涙子(さてんるいこ)。彼女は初春のクラスメイトである。そんな彼女はスカートの裾を膝上までたくし上げるが、すぐに下ろした。「そういや、どうだった?」 佐天の言葉に、初春は視線を元に戻す。「どうって……」「決まってるじゃん。身体検査」「あぁ……全然ダメでした。相変わらずの低能力者(レベル1)、小学校の頃からずっと横這いです。担当の先生からも、『お前の頭の花は見せかけか! その花の満開パワーで、能力値でも咲き誇れ!!』って……」「えーっと……その単刀な説教にも色々突っ込みたい所だけど……まぁとりあえず、元気出しなよ!」 佐天は初春の隣に腰掛けて、空を見上げる。「大体、低能力者(レベル1)ならまだ良いじゃん? あたしなんてレベル0、無能力者だよ?」 あっ、と、初春は小さく声を漏らして、少しだけ申し訳なさそうな顔をする。が、佐天の方はそれを気にする風でもなく、「でもそんなのは気にしない。あたしは毎日が楽しければ、それでオッケー!」「佐天さん……」 初春は、思わず表情を緩める。と、佐天はイヤホンを初春の耳元に近付けて、「ほら、これ聴いて元気出しな?」「……あっ、一一一(ひとついはじめ)。これって……」「先行配信された曲をダウンロードしたの。今日この曲が入ってるアルバムの発売日なんだ!」「ダウンロードしたのに、CDも買うんですか?」「初回限定盤の応募券で、抽選で100名に当たるプレミアムグッズをゲットしてこそ、真のファンというものでしょうが!!」 拳を宙に掲げて熱弁する佐天は、そこでおもむろにベンチから立ち上がった。
2011.03.28
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「この分だと、超能力者に到達するのは私の方が先かしら?」 得意気に、豪奢な扇子で口元を隠しながら語る婚后を、白井はフン、と一蹴して、「私と貴女の能力を一緒にして欲しくはありませんの。大体三次元と十一次元では空間把握法が根本的に――」「元々私、一年の分際で大きな顔をする貴女が気に入りませんの」 白井の言葉を遮断した婚后に、白井は怒りの拳を小さく握る。 相変わらず人の話を聞きやがりませんの……などとぶつぶつ呟く白井を無視して、婚后は自己陶酔しながら言う。「この私が常盤台のエースとなった暁にはぎゃぁあ!?」 と、婚后の言葉の末尾が歪められる。それは、グラウンドから数百メートル離れたプールに立つ巨大な水柱と共に巻き起こった地響きによるものだった。 衝撃波によって婚后の身体が浮き、尻餅をつく。「な、何事ですの……?」「フン。本年度から二年に転入してきた貴女はご存知ないかも知れませんが、今あのプールで能力測定されているのが、常盤台のエースですわ!」 誇らしげな笑顔を浮かべる白井を、不思議そうな眼で見る婚后。その時、再び水柱が立った。「プールの水を緩衝材にしなければまともに測定できないほどの破壊力。あの一撃を真っ正面から受ける覚悟が貴女にあって?」 数秒間隔で立つ水柱。それを睨みながら、婚后は唇を噛んだ。「記録、砲弾初速、秒速1030メートル。連発能力、毎分8発。着弾分布、18.9ミリ。総合評価、超能力者(レベル5)」 プールの脇に設置されたマイクから、女性の声が響く。そしてプールサイドに立っていたのは、肩までの茶髪が特徴的な、白井に何かと慕われていたあの少女だった。彼女はゲームセンターのコインを手の中で弄びながら、大きく波立つプールを眺めていた。そして、大した感情も込めることなく、呟く。「……ふむ」 常盤台中学には3つのシャワールームが付属施設として備えられており、生徒が放課後、身だしなみを整えるために用いられる。そしてその中の一つ・『帰様の浴院』では、超能力者の少女と、白井が施設を利用していた。「え? 校庭まで音届いてたの?」 水を撥ね返す音と共に、少女の軽やかな声がシャワールームに響く。「凄い音でしたもの。皆驚いていましたわ」「全く。あんな方法じゃないとまともに測定もできないなんて。私より黒子の能力の方が、よっぽど便利で良いわ……」「隣の芝生は青く見えるんですのよ」 ぼやく少女を白井は諭しながら、曇りガラスのスイングドアに引っ掛けておいたバスタオルで頭と身体の水気を拭い取る。「そりゃまぁ。そうかもしれないけど……」「何と言っても、お姉さまは常盤台のエース! 堂々と胸を張っていれば良いのですわ」「エースって……」 返答に詰まっている壁の向こうの少女に、白井はいたずらっぽい笑顔を向けて、「まぁ、もっとも? 張ると言うには自己主張の足りない慎ましい胸ですけど?」 少女の背後に空間移動(テレポート)した白井が、彼女の胸に手を添えていた。「あぁ~でもこの慎ましさこそがお姉様の罪深さ! 奥ゆかしくも悩ましい誘惑に、黒子は……黒子の心は……壊れてしまいそう!!」 直後。白井は少女に蹴飛ばされ、彼女のシャワールームから飛び出した。「はなっから壊れてんのよ、アンタは!!」 少女の荒々しい声が、シャワールームから聞こえる。「ただのスキンシップですのに~!」 白井がそう言うと、少女の布を裂くような高い声が響いた。「うるさい!!」
2011.03.27
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「お姉様ったら……またスカートの下にそんな無粋なお召物を」「ぶっ!!?」 瞬間、少女がジュースを盛大に吹き出した。 げほっ、げほっ、と、彼女は何度か咳込むと、「どこ見てんのよ!」 と、自分の傍らでしゃがんでいる白井の方に体を向けた。「この方が動きやすくてあたたか……」 少女は顔を真っ赤にして反論する。 その時。遠方から、甲高いサイレンの音が聞こえてきた。それはどんどん彼女達に近付いてくる。白井は少女の口を押さえ、反論を封じた。「むぐっ!?」 少女が小さく声を漏らす。 衝撃で彼女の手から離れた缶が宙を舞い、カン、と堅い音を立てて地面に落下した。『自動販売機・71165――不具合ヲ確認。器物損壊ノ疑イガアリマス。器物損壊ノ疑イガアリマス』 数台のドラム缶型の警備ロボット(清掃ロボットとは細部が異なる)が、自動販売機の前でターゲットを特定すべく徘徊する。「……軽率な行動は、お慎みあそばせ?」 ビルの屋上の端に腰掛けて、不敵な目でロボットを眺めていた白井が呟いた。彼女の傍らでは、フェンスにもたれて拗ねた子供のようにそっぽを向いている少女もいる。と、白井が、何かを思い出したように言った。「あらいけない。急ぎませんと」 それを聞いた少女もまた思い出したように、「ん? あぁ、そっか。今日身体検査(システムスキャン)の日だっけ」 二人が空を見上げると、大画面(エキシビジョン)を付けた巨大な飛行船が、ゆったりと滑空していた。そこには身体検査を実施する学校として、常盤台中学校、柵川中学校、旭日中学校などの名前が表示されていた。 『学舎の園』――第七学区の南西端にある、五つのお嬢様学校が作る共用地帯の通称である。地中海に面した街並みに似た外観で、基本的には生徒や教職員などの関係者以外は立ち入ることができない一つの小さな街のようになっていた。 そのお嬢様学校の内の一つ・私立常盤台中学校では今日、生徒の能力を調べる身体検査が行われていた。学園都市では生徒を無能力者(レベル0)、低能力者(レベル1)、異能力者(レベル2)、強能力者(レベル3)、大能力者(レベル4)、超能力者(レベル5)に分類しており、そのレベルを調査するための行事が身体検査である。校舎内では念動力系、遠隔操作系、知覚系、視覚系などにグループ分けされた生徒達が、それぞれ教室やグラウンドなどに割り振られて、各々のテストを受けていた。 ――グラウンドでは、60キログラムの重りを指定位置に移動させるテストを行っていた。「記録、78メートル23センチ。指定位置との誤差、54センチ。総合評価、大能力者(レベル4)」 女性教官の機械的な声が、記録を読み上げる。 決して悪くはない、むしろ学園都市全体で見れば誇るべき結果のはずだが、テストを行っていた少女――白井黒子は、苦い顔をしていた。 白井ははぁ、と溜め息を小さくついて、「調子が今一つですの。やっぱり昨日の風紀委員の仕事が影響して……」 その時、横合いから低い笑い声が聞こえてきた。「フッフッフ。そんな言い訳なさるようでは、先は見えてますわね、白井黒子さん?」 漆黒の髪を真ん中で二つに分け、後ろは長く垂らしている、日本の中世貴族のような顔立ちの少女は、顔の前で梅の花の模様をあしらった豪奢な扇子を広げた。「っ、婚后光子……!」 白井は渋い顔をして、まるで会いたくない人間に会ってしまった時のような声を出した。
2011.03.24
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「こちら白井黒子(しらいくろこ)、犯人の一人を確保!」 そう名乗った先程の少女は裏路地を抜け、小型イヤホンマイクに話し掛け続ける。「初春、残りの野蛮人共はどこですの?」『その路地の突き当りを左へ。5メートル先を更に左です!』 飴玉を転がすような甘ったるい声がイヤホンから聞こえる。しかしその切迫した声調と、背後の高速でキーボードを叩く音から、彼女もまた少年のグループの追跡に専念していることが窺われた。「了解ですのっ!!」 力強く答えた白井という少女は、イヤホンの向こうの指示通りに路地を走る。そして、指示にあった目的地への最後の角を曲がって、「風紀委員ですの! 通報を受けて参りました、どうぞ大人しくお縄に――」 しかし、その言葉は最後まで口にされることはなかった。「え? これって……」 白井は素っ頓狂な声を思わず漏らしてしまう。その先では、 少年達が伸びていた。 よく見ると彼らの衣服には焦げ跡があり、身体からはぷすぷすと煙が噴き出している。 そしてその中で立っている少女が一人。 肩までの茶髪。それだけで、彼女が誰かを特定するには十分だった。 少女は振り返る。その顔には最初警戒の色が浮かんでいたが、白井を見つけると、何事もなかったかのように、呟いた。「あぁ、黒子」「お姉様!?」 前髪から青白い電撃を弾かせる彼女は――先刻、陸橋の上で少年達に絡まれていたあの少女だった。 学園都市のほぼ中央にある、学生寮や彼女達の通う学校がある第七学区。そこを並んで歩く、二人の少女がいた。「全く……何と申し上げたら分かって頂けますの? 学園都市の治安維持は、私達風紀委員のお仕事ですのよ? 勝手に立ち回られては困りますわ」 親が子供に対するような口調で、二人の内の片方、白井は長々と説教する。しかしもう片方の少女の反応がないことに気付くと、怪訝な顔をして確認を取った。「聞いていますの? お姉様」 『お姉様』と呼ばれた少女は眉をひそめて答える。「だからしょうがないでしょ? あんた達が来る前に終わっちゃうんだから……」「権限のない学生が暴れると……お上に睨まれますわよ?」 白井は、傍らを通り抜けるドラム缶型の清掃ロボットを横目に見ながら呟く。「だったらもっと早く駆け付けることね。大体学園都市も名前負けなのよ……街中にセキュリティ張り巡らせても、『あの手』のバカは絶滅しないし、最先端科学だ何だと謳っても……」 そこで、少女の言葉は紡がれなくなった。そして彼女の足は、自然と自動販売機へと向かっていく。「? お姉……え!?」 白井はぎょっとして、頬の筋肉を引きつらせる。直後、「ちぇいさー!!」 少女は左足を軸に、自動販売機の脇腹の辺りを回し蹴りした。 数秒後、衝撃で一本のジュースが落下してくる。品目は『黒豆サイダー』だった。「ほとんど私達の生活には関係ないじゃん?」 少女は気軽にジュースを手に取ってプルタブを開けた。←#1 「学園都市」http://plaza.rakuten.co.jp/MysteryNovels/diary/201103190000/
2011.03.21
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夏休みも間近に控えた7月16日。蝉時雨が降りしきり、日光は容赦なく地面を照らしている。 そんな中で一人の少女が、陸橋の欄干にもたれ掛かりながらジュースを飲んでいた。 中学生ぐらいの背丈。茶色い髪は肩まで伸ばし、灰色のプリーツスカートに半袖のブラウスにサマーセーターといった恰好をして、小さな緑色のカエルのストラップを付けた薄い鞄を携えていた。「♪~」 鼻歌交じりでご機嫌な様子の彼女。と、その時、彼女の隣の欄干にブレスレットを何本も付けた無骨な手が置かれた。続いて背後に、同じような雰囲気の男達が歩み寄ってくる。「ねぇ、あれ大丈夫かなぁ?」「一応風紀委員(ジャッジメント)に連絡しとくか……」 そんな少女を遠巻きに見つめる二人の学生。 しかし、少女はつまらなさそうに言う。「ホント、退屈しないわね。――この町は」「総人口は230万人、その実に8割を学生が占める街。それがこの『学園都市』です!」 太陽が傾き始めてほの赤く染まっている道路を、黄色いバスが走る。そのフロントガラスには、『来年度入都市希望者用 学園都市見学会』と書かれたシートが貼られている。「科学技術の最先端が集まった、いわば巨大な一つの実験都市。学園都市とそれ以外では、使用される技術に20年から30年の開きがあるといわれています。そして、」 無人運転バスの先頭部に立っていたバスガイドの女性は、そこで一旦言葉を区切る。彼女は口調を保護者向けから入都市する子供向けへと変えて、「ここで皆がお勉強するのは?」 と問うた。すると乗車していた子供達は元気に答える。「ちょうのうりょくー!」 その言葉にバスガイドは2、3度、満足そうに頷くと、再び口調を戻して、「大切なお子様をお預かりするのに、学園都市は万全の治安体制を敷いています。どうぞご安心――って!?」 その時。バスが大きく横にドリフトし、ガイドはバランスを崩して尻餅をついた。車内は悲鳴で満たされ、バスの方は対向車線の乗用車と衝突する寸前で停止する。「痛たたた……な、何なの? 一体何が……」 どよめきも去らぬ内にガイドは座りこんだまま、窓の外を見る。すると、 信号機のライトが、消えていた。 通りには、行き場を失った車のクラクションが鳴り響いている。しかし、ライトから少しだけ漏れ出た電流に気付くものは、誰一人としていなかった。「ったく、クソッ!!」 裏路地を、少年が走っていた。白いニット帽を被った長身の彼は先刻、橋の上で少女を取り囲んでいた一人である。「ついてねぇ!! 一体何なんだ、アイツは!?」 ゴミ箱を蹴飛ばしても構わず、息を切らせながら全速力で走り続ける彼。と、その背後で、「お待ちなさいな」 鈴の音のような少女の声が響く。瞬間、少年の視界が大きく動いた。無機質な壁に切り取られた小さな空だけが目に映る。「風紀委員(ジャッジメント)です!」 茶色い髪を赤いリボンでツインテールにした小柄な少女はそう叫び、少年の頭を地面に押さえつけて馬乗りになる。そして少年の腕を後手に掴み、本来なら有り得ない方向に捻る。「痛でででっ!!」 悲愴な叫び声を上げる少年。対して少女は悠然と、一言呟く。「通報にあった暴漢というのは……貴方ですわね?」 少女は懐から金属製の手錠を取り出し、手近なパイプに男を拘束する。「くっそ……!」 後には、虚しく少年の声が残るだけだった。→#2 「風紀委員」(ジャッジメント)http://plaza.rakuten.co.jp/MysteryNovels/diary/201103210000/
2011.03.19
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春期休暇中、09年10月から10年3月の6ヶ月間にわたって放映された「とある科学の超電磁砲」をノベライズしてみようかと思っています。といってもまだ思案中ですし、1話の開始5分までしか出来ていませんが・・・一応公開はしてみるつもりです。
2011.03.18
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昨日午後2時46分頃、宮城県沖で観測史上最大規模のM8.8の巨大地震が発生いたしました。皆さんは御無事でしょうか?因みに私は在住県は埼玉の県北ですので、震度5弱の揺れだけで特に水害や地割れの被害は受けておりません。約3週間後に控えている特別企画は予定通り執り行う所存でございますが、今回の参加に関して支障が発生する方がいらっしゃいましたら是非ご一報下さいませ。尚無事の報せでもお寄せ頂ければ幸甚に存じます。 皆様の無事を、改めてお祈りします。
2011.03.12
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551 1枚45円で販売される、正式には「広告付郵便葉書」というはがきは?552 もとは劇場装置の一種である、東西冷戦の緊張状態を表す言葉は?553 ロシアなどの4カ国が承認している、首都をスフミに置く国は?554 「Lep」と略す、オリオンに追われている動物をモデルとする星座は?555 山鳩色ともいう、コウジカビの菌糸の色を由来とする渋い緑色は?556 マテ茶を飲むための牛の角などで作られた南米のコップは何?557 長い竹を数本組んで門松などを燃やし、その火で餅を焼くという行事は?558 静岡県の県の鳥にも指定されているヒタキ科の鳥は何?559 「秘めた思い」という石言葉を持つ6月の誕生石の名前は?560 日本で1942~45年に用いられた鉛筆の硬度表記で、「中庸」は何を表す? 【解答】551 エコーはがき552 鉄のカーテン553 アブハジア554 うさぎ座555 麹塵556 グアンパ557 左義長558 サンコウチョウ559 アレキサンドライト560 HB
2011.03.07
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(最初に断っておきますが原作既読組です)原作11巻に相当する新シリーズ「イタリア編」。キーワードは「アドリア海の女王」「ロザリオの刻限」でしょうか。OPでアニェーゼ達のシーンが長かったのはこれもあったからでしょうか。まぁ1話目ですので、特に前半は明るいタイプ(日常話+ラッキースケベ)ですね。これで上条さんは「不幸」とかほざいてやがるんですから嫉ましいwwwオルソラ嬢は当麻に入浴シーンを見られて欲情してしまいましたか。最初は5枚目はインデックスさんだったのですが、それだとオルソラの写真がゼロになっちゃうので彼女にしました。何度見ても「強制詠唱」(スペルインターセプト)はカッコいいよな...字幕が。さて、突如キオッジアの水路から出現した謎の氷の船。そして船内で邂逅するシスター=アニェーゼ。おひさです。それも良いのですが、今回から新EDでしたね。黒崎真音さんによる「メモリーズ・ラスト」。横スライドがなくなってしまったのはちょっと残念ですね。今クールは登場人物が比較的少ないから?とか思ったけど、一応11巻が魔術、12巻が科学だから、基本的にキャラは総出の筈...ですよね。一部の活躍所を抜き取られた哀れな人々は除いて。
2011.01.16
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541 日本の学校におけるチャイムとしても有名な曲の題名は何? 542 1853年、日露和親条約を締結したロシアの政治家は誰?543 アメリカの50州の中で最も小さく、公式名称が最も長い州はどこ?544 「小さな長い虫」という意味の、スパゲッティよりも細いパスタは?545 日本海と中海を分けている米子市と境港市にまたがる半島の名前は?546 江戸いろはがるたにおいて最後の「京」の札に記された諺は?547 オランダに約450ある、最小の自治体単位を表す言葉は何?548 南米の帽子の名前に因んで名付けられたおとめ座にある渦巻銀河は?549 塩をふったスズメダイを真っ黒になるまで焼く福岡県の郷土料理は?550 日本では「海洋療法」と訳される、海水や海藻を利用した治療法は? 【解答】541 ウェストミンスターの鐘542 (エフィム・)プチャーチン543 ロードアイランド州544 ヴェルミチェッリ545 弓ヶ浜半島546 京の夢大阪の夢547 ヘメーンテ548 ソンブレロ銀河549 あぶってかも550 タラソテラピー
2011.01.14
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531 クラムチャウダーや酒蒸しとして供されるマルスダレガイ科の貝は? 532 その漢字を分解した様子から61歳のことを形容する様になった言葉は?533 1871年に創刊された、日本初の日本語の日刊新聞は何?534 1932年に国連によって満州の調査に派遣された調査団の通称は?535 スウェーデン語の「酸っぱいニシン」に由来する缶入り食品は?536 紀行文日記・十六夜日記の筆者である藤原為家の側室は誰?537 イギリス・サマセット州の町の名前に由来するチーズは何?538 1824年、シーボルトが長崎の郊外に設立した私塾の名前は?539 ユネスコの諮問機関である略称を「イコモス」という非政府組織は?540 ネルソン・マンデラが収容された南アフリカ共和国の島は? 【解答】531 ホンビノスガイ532 華寿(華甲)533 横浜毎日新聞534 リットン調査団535 シュールストレミング536 阿仏尼537 チェダーチーズ538 鳴滝塾539 国際記念物遺跡会議540 ロベン島
2011.01.06
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さて、今回も会計戦〈善吉VS怒江〉が続きます。 怒江ちゃんが振り回す二丁包丁を軽々と避けてそれを足で撥ね飛ばし壁に突き刺してしまう善吉。[P3] 善吉身体能力SUGEEE!!いやこの漫画において今更言うことではないけれども一応ね。最初見たときに両足を宙に浮かせてるのかって思っちゃったぜ。 そんな激闘とは打って変わって柵の向こうでは呑気にピクニックを始めている瞳先生と困った球磨川。[P4] 球磨川くんもこれには流石に迷っているよう。このアヤシイ植物の中でお茶が飲める瞳先生の精神力は如何なものなのか。俺だったら吐いちゃうぜ。っつか失神しちゃうぜ。間違いなく。 自分の提案に取り合ってもらえずに戸惑っている球磨川が、[P5~6]ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ !!?一応形状は涙......のようだけど、何で色が付いてるんだ?「血涙」とか?ww 『彼女は僕が生徒会長をやっていた頃の副会長でしてね』『支持率0パーセントの僕が曲がりなりにも生徒会長を務められたのは』『彼女のお陰と言う他ないでしょう』[P7] 球磨川くん中学時代は髪が短かったのね。何か違和感。 『だからちょっと試してみたくなって』『僕は彼女の顔面を剥がしました』[P8] ひいいいいいいいいやああああああああああ!!!......というのはまぁ誇張的な所もあるけれどもこの事件が三次元世界〈リアル〉で起こったら上みたいになるんだろうね。 「...俺達に訊くのは卑怯だろ」「俺の妹はいつからそんな腑抜けになったんだ」「お前の意思を俺達の意見で翻そうとしてんじゃねーよ」「まして今!お前の馬鹿な意見に従って馬鹿みてーに戦ってる馬鹿が一名いるんだぜ」「あいつが戦ってるうちは」「お前は間違っても間違いを認めちゃ駄目なんだ!!」[P11] 夭歌△!!でも初登場時の面影はいずこだよね。あの時は口にも包帯巻いてたよね。 『荒廃した腐花』狂い咲きバージョンタイプ『マンドラゴラ』!![P12~13] 技名長ぇーよ!俺は普通の人だから気持ち悪いって思ったよ。因みにマンドラゴラっていうのは実在するナス科の植物らしいね。 「なにそれお世辞のつもり?」「気遣いのつもり? やめてよね」「そんなこと言われたって」「私はもうあなたにデレたりしないんだから!」「結局過負荷〈わたしたち〉の気持ちは」「過負荷〈わたしたち〉にしかわからないんだ!!」[P14] 怒江ちゃん可愛いよ怒江ch(ry 『そういえば彼女は摩訶不思議なスキルをたくさん持ってましてね』[P16] 彼女は今後どんな立ち位置になるんだろう。チートじゃねーか。 『彼女の名前は安心院なじみ』『学校中の誰もが親しみを込めて』『安心院〈あんしんいん〉さんと呼んでいました』[P17] まぁた西尾節全開だな。でも飄々とした感じがたまんないのです。 「これこそまさにっ...」「デビルアイ!」『違うよ善吉ちゃん』『彼女はその目を「欲視力」〈パラサイトシーイング〉と呼んでいた』[P19] うっわぁー......恥っずかしいー......www 『やれやれ』『やっぱりその目は』『彼女からのレンタルだったんだね』[P19] 球磨川くんも怒気を露にして、遂に戦いも終盤に。残り時間は11分11秒11。さてさて結着や如何に。 再来週ぐらいには終わるかな? 《今号のベストフレーム》 やっぱり安心院さんが一番!
2011.01.05
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521 英名は「台形」に由来している、人間の背中の一番表層にある筋肉は? 522 イエズス会が設置した司祭、修道士育成のための初等教育機関は?523 火・水・土・空気によって成る四元素説を唱えた自然哲学者は誰?524 「準恒星状天体」に因む極めて明るく内部構造が確認できない天体は何?525 フランス語で憲兵を表す奥穂高岳の西南西にあるドーム型の岩稜は何?526 坂道に適応していることが特徴の、長崎県で飼育される日本在来馬は?527 アクチノイド元素の中で唯一「E」が含まれる原子番号99番の元素は何?528 その所在する地区名に由来する、札幌飛行場の通称は何?529 舒明天皇の命により第1次遣唐使として唐に2年間滞在したのは誰?530 ギリシア語の「風」に由来するキンポウゲ科の多年草は何? 【解答】521 僧帽筋522 セミナリヨ523 エンペドクレス524 クエーサー525 ジャンダルム526 対州馬527 アインスタイニウム528 丘珠空港529 犬上御田鍬530 アネモネ
2011.01.05
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時間もそれほど持ち合わせておりませんので簡単に抱負をば。 今年からはアニメ・漫画の感想類を中心にやっていければいいなと思います来年の今頃にどうなっているかは分かりませんが、ね(^ ^;)
2011.01.01
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511 中国の文人画で好まれる松・竹・梅のことを何という? 512 宮崎県の県の木に指定されているフェニックスともいうヤシ科の木は?513 キリシタン大名でもある、耳川の戦いで敗北した武将は誰?514 1945年に廃止された、ベトナム語の表記に用いられた文字は何?515 蘇我馬子が葬られているとされる、奈良県明日香村にある古墳は?516 今年(2010年)欧州文化首都に指定された、ドイツ西部の都市はどこ?517 大分県の大野市と臼杵市の間の三重川に掛かる石造アーチ橋は何?518 名前の通り強酸性を示す国民保養温泉地にも指定されている温泉は?519 エドゥアール・リュカが考案した、杭と円盤を使った数学ゲームは?520 1927年に始まったイタリア語の「1000マイル」に因む自動車レースは? 【解答】511 歳寒三友512 カナリーヤシ513 大友義鎮514 チュノム515 石舞台古墳516 エッセン517 虹澗橋518 酸ヶ湯(温泉)519 ハノイの塔520 ミッレミリア
2010.12.28
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501 化学式C18H30O2で表わされるエゴマなどに含まれる必須脂肪酸は? 502 エジプト古王国期の統一王朝最初の都はどこ?503 パナソニックが販売している世界一長持ちする単3形アルカリ電池は?504 冬穀、根菜類、夏穀、牧草を順次耕作する農法を何という?505 塩・麹・米を3:5:8の割合に混ぜて漬ける会津地方の郷土料理は?506 サウジアラビアにある世界最大の埋蔵量を持つ油田は何?507 両眼視機能障害の矯正訓練を行う別名を「ORT」と呼ぶ国家資格は?508 気温が氷点を下回ることで凍結した路面をドイツ語で何という?509 ソビエト連邦の特殊部隊の名に因む刀身が射出可能な短剣の名前は?510 刑法第92条にある悪意をもって外国の国旗などを損壊する犯罪は何? 【解答】501 α-リノレン酸502 メンフィス503 EVOLTA504 輪栽式農業505 三五八漬け506 ガワール油田507 視能訓練士508 アイスバーン509 スペツナズ・ナイフ510 外国国章損壊罪
2010.12.27
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「Mystery Novels」というタイトルに多少反するのですが、来年からはアニメ・漫画を中心としたブログにする予定です。来期は以下のアニメを視聴し、その簡易感想をUPする予定です。・とある魔術の禁書目録2(後半)他に、以下の漫画・書籍を購読し、その簡易感想をUPする予定です。・めだかボックス・とある魔術の禁書目録(文庫版)また、他のアニメに関する関連情報も、その都度記事にしていく所存です。尚、クイズ記事も更新していく予定です。詳しくは今後順次発表していきます。全ての始動は1/1です。
2010.12.26
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重要なお知らせを一つ。 「第154話 追憶」をもって、本作は一旦の終了を迎えることを決定しました。理由は、大きく分けて三つです。まず、(年齢相応に)多岐に亘る趣味に興じる時間を割き、自分のブログへの時間が減少してしまっていること。次に、このブログとは別の方向でも執筆活動を行っていること(公開はしていません)。そして、この小説の連載も徐々に惰性化していたこと。 三番が特に大きいと思います。惰性化、と申しますが、悪く換言すればつまりネタ切れです。更に趣味の傾向が、このブログを始めた2008年の夏と大きく変わってしまったのもあります。来年・2011年からは、アニメや別の漫画作品の感想記事なども取り入れていきたいと思っております。 支離滅裂なのかもしれませんが、今回はこの辺りで筆を措かせて頂きます。
2010.12.09
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「そ、そうだったんですか……」 仁之は安堵したのか、僅かに下を向いた。「それと一応なんですがあなたにも事情を聞いておきたいので……暇な時はありますか?」「今日の午後なら……」「では伊津幡署で待っておりますので」「はい。分かりました。それじゃ、僕は一旦家に帰ります」 そう言って、仁之は雑木林を出ていった。「んじゃ、俺も一足先に署に戻ってるよ」「あ、私はもう少しここに残っています」 塩田は残り、十川は、パトカーに乗り込んで去って行った。「あの、北門警部……」 暫くして、傍らの北門に、首藤が話しかけた。「はい?」「何で十川警部が県外にわざわざ来たんですか……? それに十川警部に訊いたら不自然なそぶりを見せましたし、旧友と言うのが……」「本当に君は鋭い子ですね、首藤君。それではお教えしましょうか」 北門は一片の雲が浮かぶ空を眺めた。「あれは中学時代……実は彼と私は、同じ学校に在籍していたんです。実家は福島なんですが、一時期引っ越していたことがありましてね」 そこで北門は、隣の雲に目を移した。「私達は気が合いましてね。よく遊んでいたんですよ。ですが……高校に進学するにあたり、2人とも地元の高校、つまり別々の高校に進むことに決めたんですよ。その時丁度、2人ともある1人の女子生徒に思いを寄せていた訳なんです。その子が私と同じ福島の高校に行くと言ったので、彼は随分落胆していました。振られたって言ってね」 北門は頬を赤らめ、笑いながら頭を掻いた。「私達はもうそこで別れるものかと思っていましたが、違いました。高校3年の時、高校生活最後の柔道の試合で、私達は鉢合わせしたんです。中学時代から実力が伯仲していた私達は、お互いに腕を上げていることを肌で感じていました。そして結果は――」「け、結果は……?」 塩田が息を呑んで訊いた「彼が勝ちました。今でもそうですが最後はやはり体格がモノをいってしまいましてね。綺麗な一本背負いでマットの上に落ちたことは、今でも鮮やかに覚えている数少ない記憶の一つです」「……それで十川警部が少し変な態度だったんですね」 その時、キッ、と、車のブレーキが踏まれる音がした。「悪い! ペンが落ちてないか? どっかで落としてしまったみたいで……」 十川がパトカーから降りてきた。「警部! これですか?」 塩田がポケットからペンを取り出して走り出した。(ま、解決か……) 不意にそよ風が吹いた。ふっと首藤が空を見上げると、木々に切り取られた空には、丁度一片の雲もなかった。
2010.12.09
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491 芥川賞・直木賞の選考会が行われる東京都中央区の料亭の名前は? 492 アラビアン・グレイハウンドともいうモロッコ原産の犬種は何?493 日本に落ちた2つの原子爆弾のコードネームはリトルボーイと何?494 海王星軌道の外側にある天体が密集した円盤状の領域を何という?495 1993年にイスラエルとPLOの間で同意された一連の宣言は何?496 世界初のノーベル経済学賞を受賞したオランダの経済学者は誰?497 中国が実効支配しているカシミール地域の東半分の名前は?498 ケチュア語の「糞」に由来する離島の珊瑚礁に見られる肥料資源は何?499 首都をマレに置くアジア大陸一小さい国はどこ?500 桑園駅から新十津川駅までを結ぶJR北海道の鉄道路線は? 【解答】491 新喜楽492 スルーギ493 ファットマン494 エッジワース・カイパーベルト495 オスロ合意496 (ヤン・)ティンバーゲン497 アクサイチン498 グアノ499 モルディブ500 札沼線
2010.10.16
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481 ツワナ語の「雨」に由来する、ボツワナの通貨単位は何? 482 人工衛星「おおすみ」を打ち上げた肝付町にある宇宙センターは?483 別名を「ホーアチン」というガイアナの国鳥は何?484 春の大三角は、おとめ座のスピカ・しし座のデネボラと、うしかい座の何?485 太陽の上方に離れた空に虹のような光の帯が現れる現象は何という?486 国の特別天然記念物にも指定されている富士宮市にある湧泉は?487 世界初の鉄橋がかかるイギリス・シュロップシャー州の世界遺産は?488 生マグロの水揚げ高が日本一の宮城県の中央部に位置する市は?489 2010年現在最後の女帝である第117代天皇の名前は?490 ユカタン半島にある約6550万年前の小惑星衝突跡を何という? 【解答】481 プラ482 内之浦宇宙空間観測所483 ツメバケイ484 アルクトゥルス485 環天頂アーク486 湧玉池487 アイアンブリッジ峡谷488 塩竈市489 後桜町天皇490 チクシュルーブ・クレーター
2010.10.14
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471 元素周期表の考案者・メンデレーエフに因む原子番号101番の元素は何? 472 九州地方で唯一「れ」で始まる、天草郡に属する町は?473 寿司業界用語で「なみだ」と言えば何のこと?474 2002年にノーベル平和賞を受賞した第39代アメリカ合衆国大統領は誰?475 現地語で「40の部族」を表す語に因む首都をビシュケクに置く国は?476 88星座の中で平仮名表記で8文字なのはみなみのかんむり座と何?477 「蕎麦白き道すがらなり観音寺」を詠んだ俳人は誰?478 微細な粒子がポテンシャル障壁を量子効果により乗り越える現象は何?479 地球誕生からの約7億年間を指す始生代の前の地質年代の区分は何?480 どっちつかずの状態をある虫の名前を用いて「(何)色」という? 【解答】471 メンデレビウム472 苓北町473 わさび474 (ジミー・)カーター475 キルギス476 みなみのさんかく座477 河東碧梧桐478 トンネル効果479 冥王代480 玉虫(色)
2010.10.13
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461 フランス南部を流れて地中海に注ぐ、約812kmの川の名前は何? 462 千葉県千葉市若葉区にある縄文時代の貝塚の名前は?463 東京湾アクアラインにある、正式名称を「木更津人工島」という人工島は?464 5円切手に描かれている(2010年8月)カモ科の鳥は何?465 秋田県北部の米代川流域で飼育される日本三大地鶏の1つは何?466 ある曲線が任意に十分接近する直線、または曲線のことを何という?467 初めて採集した日本人の名前に因むバラ科のアイスランドの国花は何?468 風呂屋の脱衣所で他人の所持品を盗むことを「(何)稼ぎ」という?469 1981年に廃止された内閣告示の1850字の漢字群を何という?470 ゼロ磁場地域である長野県伊那市と大鹿村の境界に位置する峠は? 【解答】461 ローヌ川462 加曽利貝塚463 海ほたる464 コブハクチョウ465 比内地鶏466 漸近線467 チョウノスケソウ468 板の間(稼ぎ)469 当用漢字470 分杭峠
2010.09.07
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今回計50問の予想対策問題をブログに掲載しました。その内、3問が的中しました。「チャド」「ルーマニア」は去年も国旗識別問題が出たため狙い目だったのですが、ハリソンは予想しにくい範囲のため、的中し、正解した喜びも一入でした。 ちなみに、これからもクイズ記事は継続する予定です。
2010.09.07
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今回は9月3日放送の高校生クイズ対策用の問題を出題します。 と言っても、私自身が情報収集できる範囲なのですが......又、こちらのページも参照していただければ幸いです。(注・この下の記事に解答があります。先にこちらを読んで下さいますようお願いします) 【地理】次の国旗の国名を答えなさい。1 2 3 (1より2の方が青色が明るい) 次の国旗の国名を答えなさい。4 5 次の( )内に入るものを答えなさい。日本の川の長さ(長い順)1位 信濃川 2位 利根川 3位 石狩川 4位( 6 )日本の山の高さ(高い順)1位 富士山 2位 北岳 3位 奥穂高岳 4位( 7 )世界の島国の面積(狭い順)1位 ナウル 2位 ツバル 3位( 8 ) 9 次のオーストラリア大陸最高峰の山の名前を答えなさい。次の位置にある国の国名を答えなさい。10 11 【漢字】次の漢字の読みを答えなさい。12 海月13 海鞘14 海扇 次の漢字の読みを答えなさい。15 洋琴16 洋傘17 洋袴 【芸術】18 次の絵は「麗子立像」ですが、この作品の作者は誰か答えなさい。【スポーツ】1920年のアントワープ五輪で、同時に日本人初の銀メダリストとなったテニス選手の名前を答えなさい。19 (中央)20 (右) 21 2006年FIFAワールドカップで優勝したサッカーイタリア代表の通称を答えなさい。 22 今から50年前・1960年の冬季オリンピックの開催都市を答えなさい。 【音楽】23 ピアノ組曲「展覧会の絵」を作曲したロシアの作曲家は誰か答えなさい。 24 国学者・本居宣長の6代目の子孫に当たる童謡「七つの子」の作曲者は誰か答えなさい。 次の音楽家の名前をフルネームで答えなさい。25 (代表作・ヴァイオリン協奏曲『四季』)26 (代表作・歌劇『ムツェンスク郡のマクベス夫人』) 【歴史】27 現在発行中の五千円紙幣E号券の裏面に描かれている尾形光琳の作品を答えなさい。 28 将軍に二度務めたという室町幕府第10代将軍の名前を答えなさい。29 68歳で就任し、その1か月後に死去した第9代アメリカ合衆国大統領は誰か答えなさい。30 放射線の発見により1903年にノーベル物理学賞を受賞したフランスの物理学者は誰か答えなさい。【文学】次の文章から始まる作品の名前と、作者を答えなさい。31 私はその人を常に先生と呼んでいた。...... 32(作者名)33 未だ宵ながら松立てる門は一様に鎖籠めて、...... 34(作者名)35 石炭をば早や積み果てつ。中等室の卓の...... 36(作者名) 37 「吾輩は猫である」内で、主人公の猫を飼っている飼い主の教師の名前を答えなさい。 次は「源氏物語」の帖名です。( )の中に当てはまる言葉を答えなさい。一帖 桐壷二帖 帚木三帖 ( 38 )四帖 夕顔五帖 ( 39 ) 【宇宙】次の星座の名前を答えなさい。40 41 42 木星の表面に見られる模様の名前を答えなさい。43 アポロ12号が着陸した、月の海の中で最も広大な部分の名前を答えなさい。【数学】44 3個のサイコロを振って、出た目の積が48となる確率を答えなさい。 45 AとBのチームが試合をして、先に5勝したほうが勝ちます。また、各チームの勝率は2分の1で、引き分けはありません。8試合目でAが勝つ確率を答えなさい。 【科学】次の元素記号で表わされる元素名を答えなさい。46 Pa47 Pb48 Pd 次の元素記号であらわされる元素名を答えなさい。49 At50 In
2010.09.01
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【解答】 1 チャド2 ルーマニア3 マリ4 イタリア5 ハンガリー6 天塩川7 間ノ岳8 マーシャル諸島9 コジオスコ10 シエラレオネ11 サントメ・プリンシペ12 くらげ13 ほや14 ほたてがい15 ピアノ16 パラソル17 ズボン18 岸田劉生19 柏尾誠一郎20 熊谷一弥21 アズーリ22 スコーバレー23 モデスト・ムソルグスキー24 本居長世25 アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ26 ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ27 燕子花図28 足利義29 ウィリアム・ハリソン30 アンリ・ベクレル31 こころ32 夏目漱石33 金色夜叉34 尾崎紅葉35 舞姫36 森鴎外37 珍野苦沙弥38 空蝉39 若紫40 じょうぎ座41 コンパス座42 大赤斑43 嵐の大洋44 1/2445 7/3246 プロトアクチニウム47 鉛48 パラジウム49 アスタチン50 インジウム
2010.09.01
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451 マトチキン海峡で隔てられているのはセヴェルヌィ島と何? 452 1992年まで使われていた天気予報での気圧の単位は何?453 夏にアスファルトの道路などで遠くに水があるように見える現象は何?454 ユーラシア・北アメリカ大陸の亜寒帯に発達する針葉樹林は何という?455 座ったままで順に膝をずらして席を詰めることを何という?456 元は英語で「笑窪」を表す、ゴルフボールの表面の凹凸は何?457 「獲加多支鹵大王」の文字で有名な稲荷山古墳から出土した剣の名前は?458 「オランダキジカクシ」という和名を持つユリ科の植物は?459 イタリア語で「怒り」という意味の唐辛子をきかせたトマトソースは?460 屋島の戦いで平氏軍に掲げられた扇を射落とした武将は誰? 【解答】451 ユージヌィ島452 ミリバール453 逃げ水454 タイガ455 膝送り456 ディンプル457 金錯銘鉄剣458 アスパラガス459 アラビアータ460 那須与一
2010.08.21
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「ちょ、ちょっと、竹治さん……」 そんな仁之の言葉も聞こえない様子で、竹治は言葉を続けた。「まず羽織ちゃんをここに呼び出して、催眠薬を嗅がせて眠らせた後、首に縄で作った輪をつけ、もう片方をそこに立っていた杭に結んだ。それから羽織ちゃんを浮き輪に乗せ、僕はその場から立ち去ったんだ」 竹治は俯き加減に、口を動かしていた。「丁度それをやった時間帯は雨が降っていたんだが、僕は足跡の隠滅と羽織ちゃんが差してきた傘を持って帰るのに一杯一杯で、杭が抜けるなんて考えてもいなかった……結局警察は、最初は崖上を調べなかったんだけどね」 竹治は徐々に歩を進め、仁之の前で止まった。「最初は首を吊ったように見せかけようとしたんだが、雨のせいで杭が抜けてしまった。僕は現場を確認するために2時間後ぐらいに様子を見に行ったんだが、羽織ちゃんは滝壺に浮いていたから、急いで川の下流に行って浮き輪を回収してきたんだ。それはそこから何百メートルか離れた畑に埋めてきたよ。縄と杭は見つからなかったから諦めたんだが、結局警察が見つけちまった」「どうして……」「どうしてって、俺は羽織ちゃんに金をちょいと借りてたんだが、その関係がこじれて……」 その瞬間、仁之が竹治の頬を力一杯殴った。鈍い音が響き、竹治は地面に倒れた。「て、てめぇ……」 竹治は鋭い眼差しで睨んだ。が、その声はすぐに仁之の怒号にかき消された。「どうしてそんなちっぽけな理由で羽織を殺めたんだ!」 仁之は涙目になって、本気で怒っていた。「そこまでだ!」 突然周囲から鋭い光が二人を包んだ。その声は北門のものだった。「元木竹治……殺人罪の容疑で、お前を逮捕する!」 北門の脇には、首藤、そして十川と塩田が立っていた。 竹治は全てを失ったような顔で、がっくりと地に膝をついた。「あの、警部さん……」「はい?」 仁之が北門に声をかけた。「竹治さんは『君の言った通り真実を話す』と言っていました……僕は竹治さんにそんなことを言った覚えがないのですが……」「ああ、すみません。あれは実は我々が関与しておりまして、少々あなたをも騙してしまった面もあるのです。首藤君が、夕食中の竹治さんの様子が変だと我々に教えてくれたので、ちょっとカマを掛けてみたのですよ」「カマって、一体……?」「あなたに竹治さんからメッセージがあったでしょう? あれは私が書いたもので、同じく竹治さんにもあなた名義でメッセージを送っていたんです。『本当のことを教えてください。明朝6時、崖上の雑木林で待っています 仁之』とね」
2010.07.27
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431 別名「伯耆富士」とも呼ばれる中国地方最高峰の山は何? 432 その屋根瓦の色から、韓国の大統領官邸のことをハングル語で何という?433 ハクジラ亜目のクジラの頭部のほぼ中央にある脂肪組織は何?434 ルクセンブルクの国鳥でもある日本国内で最少とされる鳥は?435 中国四大料理は山東料理、四川料理、広東料理と、あと1つは?436 その形状からフランス語の「マッシュルーム」に因むフランスパンは?437 ボリビア南西部に位置する世界最大の平坦な塩原の名前は?438 沖縄方言で「砂糖の揚げ物」という意味の揚げ菓子の一種は何?439 埼玉県の県の魚でもある、熊谷市に生息が確認されるトゲウオ科の魚は?440 大阪府門真市の豪農の家に生まれた第44代内閣総理大臣は誰? 【解答】431 大山432 青瓦台(チョンワデ)433 メロン(体)434 キクイタダキ435 江蘇料理436 シャンピニョン437 ウユニ塩原438 サーターアンダーギー439 ムサシトミヨ440 幣原喜重郎
2010.07.19
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421 沖縄方言で「笊」を表す言葉に因む豚の肋肉のことを何という? 422 北海道空知地方南部に位置する全国で2番目に人口が少ない市は?423 名産地の京都府木津川地方に因む寿司屋での「きづ」の意味は?424 大日本帝国憲法のような、君主によって制定される憲法を何という?425 4人の米国大統領の胸像が有名なサウスダコタ州の記念建造物は?426 「アフリカの角戦争」ともいう、エチオピア・ソマリア間の戦争は?427 「TTX」と略される、主にフグの卵巣に含まれる毒は何?428 その燃えにくさから名づけられたとされるバラ科の植物は何?429 イギリス海軍の制服の色であったことに因む一般に濃紺を表す色名は?430 ミラノ近郊の村の名前を由来とする世界三大ブルーチーズの1つは? 【解答】421 ソーキ422 三笠市423 干瓢424 欽定憲法425 ラシュモア山(国立記念公園)426 オガデン戦争427 テトロドトキシン428 ナナカマド429 ネイビー(・ブルー)430 ゴルゴンゾーラ
2010.07.17
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