成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.06.15
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カテゴリ: 高速路線バス
本日より、南海バスの高速バス「サザンクロス」 大阪-広島線 の取扱を開始した。先日の西東京バスに続き2社目の、大手私鉄直系の事業者(ツアー商品も含めれば小田急箱根高速バスと京成バスシステムの例があるが)。西東京バス金沢線と同様、意思決定の関係でまずは同社唯一の単独運行路線から取扱となった。昨年11月の乗合商品取扱開始以来、平均するとなんとか毎月1社のペースを保っている。既に取扱がある事業者の共同運行路線のうち具体的に案件進捗中のものがいくつかあり、その共同運行先まで含めて、いわば「乗合商品取扱の第1フェーズ」というところだろう。昨年11月には「ようやく予選を突破しスタートラインについただけ」と書いたが、西東京そして南海の件で「スタートし、第1コーナーは無事に通過」くらいまで進んだだろうか。南海バスをはじめ、(状況を勘案すれば)勇気あるご決断をいただいた経営者の皆様、様々な調整を行なってくださった企画や営業の担当者の皆様、そして多少のオペレーション負荷を受け入れてくださった現場の皆様と、ここまで導いてくれた協力者の皆様に、深く深く感謝する。

ちなみに今回、南海バスは、ほぼタイミングを合わせて「オフピーク片道運賃」を設定した上で、私たちのサイトには、まずはそれが適用になる月曜~木曜日のみ席を登録している。さらに期間限定でポイント付与率を5%(通常は1%)に設定することで、サイト上では高速ツアーバス(同路線を運行しているのはウィラー・トラベルのみ)からの乗客の転移を図るとともに、パブリシティ等リアルな露出も目指している。柔軟な価格設定と在庫(販売対象座席数)登録、さらにはポイント付与率変更と、私たちのサイトをうまく活用している印象だ。単に「何でもいいから出してみよう」ではなく、該当路線の置かれた状況と使えるツールを勘案して総合的に決めた戦略、という印象がある。これで、自社側の販路の売れ具合を見ながら在庫数をリアルタイムにコントロールし始めれば完璧だ。

「平日だけ在庫を登録する」「売れ残りそうな座席数を見極め、その座席のみ登録する」というと、よく「そんなことをしたらお前のトコロが儲からないだろう」とよく尋ねられる。たしかに送客実績に基づき手数料をいただく私たちとしても、金曜日の夜行便とか土曜日の朝便など黙っていても売れる座席をお預かりするのに越したことはない。売るのに苦労しないからだ。しかし、売れなさそうな座席しか預けてくれないリスクがあるからこそ、私たちは集客力をさらに強めることに必死になる。その代わり、がんばって結果を出したときの手数料率は他社より高い。その分のコストと知恵を使っているのだし、黙っていても満席になる便を何席販売するよりも、売れ残りそうな座席を1席販売することの方が事業者側にもメリットがあるからだ。在庫、価格、そしてその前提となる商品作りを私たちが握るのではなく、各事業者が主体的にコントロールするという考え方は将来も変わらないだろう。

仮に手数料率を無闇に値上げして暴利を貪ったり、せっかく預かった座席をぜんぜん売る力がないなど、私たちが各事業者にとってメリットが無い取引先になってしまったら、各事業者は座席を投入しなければいい話だ。しかもそれがリアルタイムに可能である。極端な話、私の電話口の対応が悪くて担当者を怒らせてしまえば、次の瞬間に座席を全部抜かれてしまうリスクを私たちは抱えている。売れる商品が無ければ、手数料売上も何も無い。だからこそ、私たちは各事業者のメリットが最大になるよう慮るのだし、私たちが事業者にもたらすメリットが大きければ大きいほど、私たちも多くの座席をお預かりでき結果として手数料も多くいただける。会社も、そこで働く人間も、基本的には「サボリ」である。ほうっておくと「のんべんだらりん」と、昨日までと同じことだけをやりたがる。それでは、変化する環境の中マーケットに対応することができなくなる。それを防ぐ手立ては一つ。「がんばらなければ、工夫しなければ、儲からない(別に金儲けだけが全てというわけではないが、給料が貰えないとメシも食えない)」環境を、あえて作り上げることである。

その上で、各事業者は、1便ごとに、1席ごとに、どの販路でどのような戦略で予約をゲットしていくべきか真剣に考え試行錯誤を繰り返す必要がある。ここで周りを見渡してみると、規制緩和(高速ツアーバス業態の容認を含む)とウェブ化の進展は「販売力のフラット化」をもたらした。「昔からバスをやっている」ということが高速バス参入の事実上の条件だったり、「駅前に窓口を構えている」会社だけが販売力を持っていたりする時代では、もうない。そして、これらの変化は何もバスにだけ起こっているのではなく、この国のあらゆる産業が直面している共通の変化である。そのような環境変化によって、たとえ新興でも中小でも、努力と工夫しだいで事業に後発参入できたりそこで大きな販売力を持ったりすることができるようになったのだ。そしてこの文脈の中で「高速路線バス事業者」を捉えたとき、たしかに一面では新規参入者に追い上げられる既存勢力であることは間違いないにしても、別の一面では鉄道や航空などより存在感の大きい交通手段に対し積極的に攻め込んでいくツールを手にした、ということもまた事実である。いったいどの事業者が、これまでの「座席が予約で“埋まる”」から「予約で“埋める”」へと考え方を変えていくことができるか、楽しみだ。難しいことではないと思う。つい30年ほど前、それ以前は主に高速バス専業者か国鉄バスくらいにしか参入を認められていなかった高速バス事業に、自ら規制をこじ開け参入しそれ以降の高速バスの事業モデルを作り上げたのは、ほかでもない彼ら自身なのである。





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Last updated  2010.06.15 19:45:47
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既存の高速バス  
basukeiei さん
歩みはのろくとも、着実に一歩ずつ進んでますね。
拙ブログでも取り上げさせていただきます。 (2010.06.15 23:49:52)

Re:既存の高速バス(06/15)  
basukeieiさん、ご無沙汰いたしております。コメントありがとうございます。
そうですね。まあ、もう4年もこっそりと営業をしてきましたから、そろそろ結果を出さないと・・・・・・という話はともかく、東京空港交通様、九州産交バス様が最初にご決断いただいたのは大きかったですね。いろんな方々のご協力にあらためて感謝しているところです。
「バス経営情報」でご紹介いただけるのも楽しみにしています。またコメントをお待ちしています。 (2010.06.16 19:12:57)

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京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
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