成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.04.22
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カテゴリ: 高速路線バス
私がなぜ今、 チャネルコントロール レベニューマネジメント (なお、細かいことを言うと、チャネルコントロールもまたレベニューマネジメントを実現する手法の一つであり、私が今回「レベニューマネジメント」と呼んだ後者は「(ダイナミック)プライシング」という、レベニューマネジメントの手法の一つ、という定義になろうが)のことを書いたのかというと、現在、いくつかの会社からいただいている(あるいはいただけそうな)仕事のほとんどが、高速バス市場の「本丸」である多頻度昼行路線においてその二つを実現する、というものだからだ。もっとも、明確に上記を認識したうえでご相談いただいている会社も、なんとなく「活性化策を考えてよ」というご依頼で、突き詰めていくとそうなった、という会社もある。もちろん、夜行路線中心の会社からのお話もあるけれど。

昨日も書いたように、首都圏~京阪神など事実上ホワイトスペースだった路線では、いわば、新しい「ルール」(レギュレーション、つまり法制度という意味ではなく、ビジネス上の戦い方)を作り上げさえすればよかった。紙の回数券を利用する既存客とか、予約センターの電話番号を暗記してしまっている地元客とかはほとんどおらず、ウェブでの集客、ウェブでの予約・決済をベースに全てを考えることができた。

大都市と地方都市を結ぶ路線においても、長距離夜行に関しては、高速ツアーバスの参入はウェブマーケティングによる市場拡大と同時に起ったし、「買い回り要素」が強い商品だから、新しく生まれた利用者層だけを対象に新しいルール(例:100%ウェブによる予約・決済だという前提で本格的にダイナミックプライシングなどを行なうこと。その代わり回数券や往復割引はほとんどない)で運営すればよかった。既存の利用者層は、新しいルールに納得すれば高速ツアーバスに移ればいいし、従来のルール(例:全日全便同運賃、紙の回数券など)の方がよければ高速路線バスに残ればいい、と割り切ることができたのだ。

もちろん、高速路線バスのやり方に慣れた既存客が、高速ツアーバスに挑戦してみて違和感を覚えるケースもあっただろうし、その中にはそれに慣れて高速ツアーバスに定着する人も、また高速路線バスに戻っていく人もいただろう。停留所のわかりやすさやスタッフの接客、車両のグレード、もちろん当該事業者の安全性への信頼感など他の要素も考慮したうえで「お客様自身が選べばいい」のが、長距離夜行路線の特徴だ。

しかし、多頻度昼行路線はそうはいかない。「買い回り品」よりは「最寄品」なのだ。A社のバスとB社のバスを、価格やら車両グレードやらで選ぶというよりは、「いつものバス停」に行って「先に来た方」に乗るというイメージだ。さらに、ここが重要なのだが、長距離夜行路線、なかんずく大都市間路線に比べると、昼行路線では市場の開拓が大きく進んでいる。市場開拓の余地はまだ十分にあるとはいえ、長距離夜行路線ほど大きなホワイトスペースは残っていない。

結果、利用者にも事業者にも定着してしまっている従来のルール(車内発券、紙の回数券など)に配慮しながら、さらなる販路と認知の拡大を求めてチャネルコントロールに取り組み、さらなる収益性向上に向けてダイナミックプライシングに取り組む、という難題が待ち受けることになる(なお、「完全なダイナミックプライシング」の実現のためにはレギュレーションの改正も必要だが、国内線航空で行なわれているような「制限されたダイナミックプライシング」なら現行法令で可能である)。

当然そのためには、法令は別としても、基幹システム、運用、告知など実に幅広い面での挑戦が必要だ。さらにいうと、何も「既存事業者の既存高速バス路線に、新しいやり方を持ち込む」というだけとは限らない。新規参入側が(その際にレギュレーション面で「乗合」を選ぶか「ツアー」を選ぶかは別として)新しい手法を武器に、従来のやり方を融合させる形で既存路線に戦いを挑む、というパターンもまた存在するのだ。



中央高速バス甲府線に「トクワリきっぷ」という回数券がある。正規運賃片道1950円に対し2枚つづりで2900円。ただし平日しか使えない。JRの特急が増発と割引乗車券で巻き返してきた際、値上げと減便で負のスパイラルに陥ったバス側が起死回生のために採用したアイデアだ。私がアルバイトだった頃だから、約20年も前の話。それが今日まで続いているのだ。しかし考えてみれば、この「トクワリきっぷ」によって、甲府線はかなりの精度でレベニューマネジメントが実現していると言える。日ごと便ごとのマネジメントは無理でも、曜日単位で対応すれば、感覚的には7割の精度と言えるだろう。一時のジリ貧(失礼)状態の甲府線を知っている身としては、現状は、まさに起死回生を果たしたと感じる。

現行法令(2002年以降)どころか、それ以前の制度においてさえ、おおざっぱなレベニューマネジメントは実現できたし、していた会社が存在するのだ。もちろん、私が目指しているのは、何も全国の高速バス路線に「トクワリきっぷ」を導入させるということでは決してなく、もっともっと新しい挑戦ではある。しかし本件を見るにつけ「できる」か「できない」かではなく、「やる」か「やらない」かの問題だと、いつも勇気づけられるのだ。

少なくとも、何社かの事業者は、新しい挑戦をすることを決断してくれた。勇気ある決断だと思う。だからこそ私も、現場をよく見て、現行システムをよく見て、そして頭がちぎれるほど考え、その期待に応えねばならない。





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Last updated  2011.04.22 12:13:45 コメント(1) | コメントを書く


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京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
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