深名線さん、コメントありがとうございます。

たしかにおっしゃるような要素はあると思いますね。「着地型」に対するニーズはもっとあるように思える一方で、現実にはなかなか旅行のメインストリームになれていない……親和性が高いのは若年層だが、その若年層はさまざまな理由で旅行に出ない、というのは私もちょっと直面しているパラドックスです。

ただ今の旅行商品のあり方では消費者に飽きられるだろうなあと思うし、そうなっては貸切バスの仕事が減ってしまうだけなので、高速バスサイドから何か仕掛けないとなあ、と考えているところです。

引き続きよろしくお願いいたします。 (2014.03.03 11:18:40)

成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2013.12.24
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カテゴリ: 高速路線バス
前回

これは高速バスにも当てはまることだが、ウェブ化の進展というのは、単に予約方法が電話からインターネットに変わる、ということではない。

従来の旅行会社モデルでは、宿泊施設やオプショナルツアーのような「素材」は、その情報が旅行会社のパンフレットに掲載され、基幹システムに登録されることが、全国の支店で流通するための必須条件であった。しかしパンフレット制作にはコストがかかり、掲載できるアイテム数や1アイテムごとの情報量には限界があった。基幹システムの登録も、その入力作業を旅行会社のスタッフが行なう以上、アイテム数と情報量には限りがある。

であるから、旅行会社が取り扱う素材は、複雑でなくシンプルである必要があった。例えば旅館で言えば、「和室」「部屋食」「大浴場」みたいな定番から外れることは難しかった。ところがウェブ化の進展により、各旅館の公式サイト(ホームページ)にせよ楽天トラベルのような予約サイトにせよ、旅館の担当者自身が、コストを気にせず豊富な情報を、画像をふんだんに使って掲載できるようになった。以前ならば、仮にペット好きなオーナーが自分の宿を「ペット同伴可」と謳おうと考えても、一般客からの苦情も怖いしペット同伴客への注意事項なども伝えられないし、実現は難しかったところだ。

しかしウェブ化以降は、この犬種はいいけどこっちはダメとか、猫の場合は最低限これは守ってくれといった細かい注意事項も掲載できるし、一般客に対しても、何階にはペットが入ってくるけれども一般客室のフロアはペット禁止なので気になりませんよと、フロア図面まで示して安心感を持たせることもできるようになった。このあたりは、おおむね、高速バスで起こっている変化(「第三フェーズ化」)と同じである。

で、あれば、ウェブ化の進展は、まさに着地型旅行にとって追い風だ。まず、ウェブは紙と違い、掲載アイテム数を絞り込まなくていい。掲載量が増えてもコストがほとんど変わらないからだ。さらに掲載情報へのアクセスも変わった。仮にコストなど気にせず百科事典のような分厚い旅行パンフレットを作り大量の商品を並べたとして、その大量の商品から「自分の興味に合っていて、自分がその地を訪れる日や時間帯に催行されていて、自分の予算に合っている」商品を見極めるのは困難だ。しかしウェブ上で、条件やキーワードを入れて「検索」ボタンを押すだけで、理想の条件に近い商品から順番に表示をしてくれるようになった。

さらに、それら商品情報を入力するのは、地元を愛し、地元の観光素材の知識を十分に持ち、自ら商品を企画する人たちだ。よく、講演や研修の前に講師のプロフィールを見て面白くなさそうだなと感じていても、いざ本人が自分の言葉でしゃべり始めたらぐいぐい引き込まれた、という経験をする。それと同じで、自分の言葉というのは力強い。豊富な画像も使うことができる。より具体的に、商品の魅力を発信できるだろう。

いったん話は変わるが、航空運賃や宿泊料金などは、実は個人向け単品予約と旅行会社向けで価格が異なる。ボリュームディスカウントという考えもあるが、それ以上に、旅行会社が他の素材と組み合わせパッケージとして販売してくれる限り自社の卸値はオモテに出ないという理由が大きい。たとえウェブ限定とはいえ個人向け単品予約の価格を下げてしまえばブランド価値を毀損する上、ライバル間で値下げ合戦が始まってしまうが、「包括旅行」向け価格なら安く設定しても問題ない。この点が、実はこれまで、パッケージ旅行の強みの一つだった。だから、ウェブ上で、往復の交通機関と宿泊、そして着地型旅行などを旅行者自身が組み合わせ、結果としてオーダーメイドのパッケージ旅行を作る仕組み(ダイナミックパッケージ)ができれば、その価格差の問題さえクリアできる。

実際、JTB、楽天トラベル、じゃらんnetといった会社が航空と宿泊の組み合わせ、WILLERは高速バスと宿泊の組み合わせでダイナミックパッケージを開発した。みな、やがては往復の交通と宿泊だけでなく、着地型ツアーやアウトドア体験、現地でのイベントなどオプションもセットで予約できる「マルチ・ダイナミックパッケージ」に進むだろうと考えたし、機能的にはそれに近い形まで進んだサイトもある(まだできていないのは、往路と復路で別々の交通機関を組み合わせることくらい)。



結果として、そういう一般的な旅行者は、旅行会社のカウンターに向かう。つまり、今後、みなが考えたように着地型旅行が成長するかどうかは、一言で言えば、会社帰りに最寄駅構内の私鉄系旅行会社に、あるいは週末にショッピングモールの上階にあるJTBトラベランドの列に並び、従来型のパッケージツアーのパンフレットを見ながら旅行を申し込んでいるそういった一般的な旅行者の皆様を、いかにウェブに誘導し、マルチ・ダイナミックパッケージを活用してもらえるかにかかっているのだ。それは決して、サイト運営者側のIT技術の問題ではなく、また旅行者側のITスキルの問題でもない。

もっとも、ここまでの話はあくまで「旅行業界」の問題であり我々バス屋には関係ない、とも言える(もちろん、旅行業界は旅行業界で存亡の危機とも言える厳しい状況であり、がんばって欲しいわけだが)。ただ、この、<誰がどう考えても、これからは着地型がブレークすると思われたのに、一般的な旅行者にとって既存の旅行会社や従来型のパッケージ旅行の存在感は予想以上に大きく、変化は予想より遅い>という事実は、我々が、高速バスについて、観光需要をもっと掘り起こそうと考えるにあたって大いに参考になる気がするのだ。

ようやく本題に戻って、次回からは、高速バス「第三の市場」について考えてみたい。





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Last updated  2013.12.24 15:18:10
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Re:「第三の市場」の輪郭線(その3)(12/24)  
深名線 さん
はじめましてです。

「Web技術・Web時代のモノの考え方("自分のことは自分で考え、責任を持つ"という主軸)への親和性が高く、"自分で旅行を組み立てる"こと」に対して意識が高いのは、(根拠があるわけではないですが)若年の方である、と感じています。そういう方々にとって、「コンセプトに基づいた着地型観光」というのは非常に訴求力が高いと思います。しかし、若年の方は年配の方に比べて可処分所得が多くないので、あまり旅行会社も重要視はしない…そんな問題もあるのかもしれません。 (2014.03.02 11:51:51)

Re[1]:「第三の市場」の輪郭線(その3)(12/24)  
成定竜一 さん

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