七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

ネガティブの原因は自信のなさから



三吉と同じような環境にいるはずのクラスメートの中には、こんな事に振り回されない子もいるはずなのに、どうして三吉はダメージを受けるのか。

1, 1年生の最初の時期から遡って考えてみると、まず幼稚園と同様に褒めてもらえると思っていたことが、ある意味大きなお世話と、あまり評価されなかったこと。

2, 唯一気配り、お世話好きが評価されていた児童会を辞めたこと。

ここまで考えてみると、どうやら三吉が人のお世話をするという事のほかに、自分に取り柄がないと感じているのではないかと思いあたりました。

彼は同級生と比べれば、体格もいい方だし、運動もできる方、おそらく勉強も取り立ててできないことはありません。
それに、対人関係においては、初対面でもお気楽にその場に入り込み、大人でも子供でもすぐ積極的に話しかけていけるので、これは特技かな、と思うほどです。
もちろん、友達はたくさんいます。

そんな三吉ですが、どうやら自分自身の評価は、親が思っているよりも低かったようです。

なぜなら、彼の目標は、常に6才と3才上の二人の兄だったため、同じ土俵に上がって勝った試しがほとんどなかったからです。

「三吉はうちの中で一番小さいんやから、勝てなくても当たり前やねんで。」と何度言っても、悔しくて、泣いてもだえていました。

そのうち勝てないことには、手を出さなかったりするものもでてきましたが、心の中では兄たちに追いつき、追い越したい気持ちが、いつもあったのだと思います。

「一番先に生まれてきたかった」

負けが込んできた時、三吉が泣きながら言った言葉です。

お兄ちゃんになりたかった“末っ子の三男”は、そういう思いを蓄積しながらここまできたのでしょう。

そして、兄のいない幼稚園で評価されてバランスを何とか保っていたのに、小学校に上がってからは、うまく評価されず、そのバランスがだんだんと崩れていき、自分には兄たちに負けない!といえるものがないと感じ、すっかり自信がなくなっていったのが、精神的なダメージに対抗できなくなった原因のひとつではないかと思いました。

人間誰でもひとつ自分にはこれがある!といえるものを持っていれば、何事にもポジティブに発想を転換することができやすいと思います。

いわゆる心の支えってやつです。

子供にだって、幼児の時とは違い、この年頃になれば、自分の中に自信を持てるものがないと、親がむやみに褒めても、簡単に喜んで受け入れなくなります。

我が家では、小さな時から子供たちに、「できると思ったらできる。できないと思ったらできない」と消極的になっているときに言って聞かせてきましたが、それも子供たちが大きくなると、精神的な根幹に少しでも自信がなければ、本当に思えないことになってくるのです。

まさに、今の三吉がそうなのです。

彼に必要なのは集中力を取り戻す方法を考えるより、自分に自信をつけてやることではないだろうか。

それができれば、集中力も精神的なバランスも取り戻し、授業妨害をするお友達に振り回されることもなくなるのではないか、と考えました。

そこで、うちの教室の相方と相談して、三吉の眉毛がなくなる前に、思い切った作戦を立てることになりました。
<つづく>

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