七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

七転び八起き母ちゃんの子育て失敗学のススメ

悩んで悩んで・・・



彼女は終業式の前日、学校から家に帰らず、

私の家にやってきました。


「おばちゃん、助けて!」


「今日は、私が学校に持ってきたらあかんものを持ってきたから

先生が親にそのことを電話するって言うてん。


そんなんお父さんにばれたら、怒って何されるかわからへん。


怖くて家に帰られへんから、おばちゃん泊めてくれる?」


実は先月も、父親の虐待に耐えきれず、

ほかの友達宅に泊めてもらったのだそうですが、

そこも親に知られてしまったので

もうほかに行くところがなく、

4年前に見つかったけれども太吉はクラスも違うし、

親も覚えていないだろうと考えてやってきたと言うのです。


私は、「いいよ」と答えました。


彼女は、それから家で両親からどんな仕打ちをされているのかを

話し出しました。


参観日の時に私が見た目の上のあざは、

やはり父親が蹴ったものでした。


しかし、それは、目に見える一部のもので、

彼女の話は、私の想像を絶するものでした。


最初は、再婚相手の母親から、小学2年の時に始まったそうです。


その後、止めていたはずの父親も加勢し、

現在は父親からの虐待を、見かねた母親が止めきれないでいるとのことでした。


そうです。


彼女は、6年間も辛い目にあっていたのです。


弟にやさしくしなかった、

家の手伝いをちゃんとしなかった、

勉強をちゃんとしなかったなど、

ほんの些細なことが、父親の機嫌とともに虐待にエスカレートします。


屋根裏に1日中、食事もなしで閉じこめられたり、

朝から晩まで見張りつきで休みなしのスクワット、

鉄パイプでおしりを叩かれる、

煙草の火を手のひらに押しつけられる、

ガラスの灰皿が飛んできたりは日常茶飯事。


何より恐ろしかったのは、いつも包丁を手元に置いて

ちらつかせているということでした。


彼女は、この話を涙ひとつ見せずに、淡々と私に話すのです。


私は、今度こそ家にはもちろん、学校にも連絡しないで

彼女を一晩預かることに決めました。


学校が、先月他の家に彼女が一晩泊まったことも、あざを作っていたことも、

虐待にあっていることも、だいたい知っていることは彼女から聞きましたから、

やはり相談しても、また4年前と同じ事になると思いました。


誰かが本気で、彼女がこの生活から抜け出せるようにしなければ

なりません。


彼女自身は、今日1日だけ、この辛い状況から逃れることしか考えられないのです。


それは、仕方のないことだと思います。


私は、彼女が3兄弟と仲良く食事をし、楽しく遊んで、子供部屋に寝に行ってから、

これから彼女の将来のため、どうすればいいのかを、悩んで悩んで、悩み抜きました。


そして、真夜中になっていましたが、意を決して

「24時間の虐待ホットライン」に電話をしたのです。

<つづく>




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