なないろの空~南欧風の家づくり~

職場復帰までもうすぐ・・・



今日は、会社へ行って来た。
咲の代わりに仕事してくれている看護師さんとのひきつぎをしたり、
月一回うちの会社へ巡回してきてくれるお医者さんとの打ち合わせをしたり、
そういうのをして、半日くらいで帰ってこようと気楽に出かけたのに、
健康診断のスタッフをしたり、
パソコンでお医者さんの言う資料を作ったり、
気がついたら、結構、一日働いてしまっていた。
疲れた・・・ふぅ。

咲は、小さな工場の中の保健師。
健康管理室という保健室のようなお部屋で、ふだんは、ひとりで仕事してる。
主な仕事は、社員さんの健康管理。
健康診断をしたり、
病気予防のための健康づくりの教育をしたり、
病気を抱えた人の相談に乗ったり、
精神的な悩みのある人の援助もする。
あと、工場の中では、鉛など有害な物質もたくさん作ってたりするから、
そういうものが安全に取り扱いされているかなどを見ていたりもする。

今日も、社員さんが健康管理室にやってきた。
30歳の男性。
健康診断をきっかけに、大きな病気がみつかった。
多発性骨髄腫。血液の癌だ・・・
3年後に生きていられる可能性は50%です、と告知されたという。
どれだけ落ち込んだ顔でやつてくるかと思ったのに、
いつもと同じ明るい顔で冗談をとばしつつ、やってきた。
その笑顔にほっとしつつ、
笑顔の裏で、どれほどにがんばっているのかを思うと、つらかった。
その社員さんがお医者さんと面談をしている間、
咲は別の用があって、いったん、席をはずしていた。
その間に、その社員さんは入れ違いで帰ってしまった。
帰り際、「咲さんは?」と聞いてくれたという。
咲もいろいろ話したかったのに、
来週から入院でしばらく会えないと言うのに。

3年後に生きる可能性が50%しかないとしても、
咲は、その人をそのギリギリのラインから、ひっぱりあげたいと思った。
生きて欲しいと思った。
ううん・・・生きてくれると信じてる。



職場復帰への準備のはずがいきなり、大きな出来事にあたり、
ちょっと正直、疲れた。
でも、疲れたけれど、
たくさんの人と話をして、元気がでた自分もいる。
昨日は、仕事を辞める事も考えようと思ったけれど、
ちょっとがんばってみようかとも思えた。
ひまわりちゃんのために使える時間は少なくなると思う。
でも、長い時間をなんとなく過ごすより、
短時間でも、中味の濃い過ごし方ができたら、
それは、また幸せなことかもしれない。

仕事が終わり、
ひまわりちゃんを迎えに、おばあちゃんの家に行くと、
ひまわりちゃんが咲をみつけて、にこっと笑ってくれた。
そして、「あはは」と声を出して笑ってくれた。
何度も、何度も。
大好きなおばあちゃんと一緒だから、悲しくはなかっただろうけど、
咲が帰ってきたことをとても喜んでくれているのがわかって、
とても嬉しかった。
こんな嬉しさは、離れていたからこそ、味わえるものかな。

とりあえずは、半年がんばってみよう。
半年働いてみた時点で、もう一度、仕事をどうするか、考えてみてもいい。
今すぐ辞めることはできないんだから、
半年の間は、
とにかく、仕事と家庭の両立を楽しめるよう、がんばってみようと思った。


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