Laub🍃

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2010.07.30
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カテゴリ: 🎋竹林
アンパッチの赤い雨


やはり俺らが小3のころの事件や。
当時『アンパッチ』というお菓子が流行した。名前は覚えてへんでもみんな一度は食べたことがあるやろう。それは一応キャンディーということになっとったけど、実際はパサパサ、ポロポロとした粉やった。口に入れるとツバで溶けてパチパチはじける炭酸粉。そのパチパチぶりは激しく、たくさん食べると痛みすら覚える。 はじめはその刺激を楽しんでいた俺らやったが、そのうち物足りひんようになった。刺激を失った遊びは男の牙を失わせてまう。もっと刺激を。

プーちゃんがアンパッチを鼻に入れてみよう。と言い出しよった。自分の鼻の穴にアンパッチをどんどんつめこむ。右の鼻がいっぱいになったらしく、左の鼻にも入れよった。そうとう刺激に飢えとったらしい。とたんにプーちゃんの様子がおかしくなってしもた。痛い痛いともがいとる。俺らは笑った。 こいつほんまアホや。 プーちゃんの苦しみようがだんだん激しくなってくる。 水で洗ってくるというプーちゃんを俺等は止めた。水に溶けて、もっとパチパチするからや。しかたなく指でアンパッチをほじるプーちゃん。が、鼻から抜いた指は血で赤く染まっとった。 ドンパッチの破壊力はすさまじかった。鼻をぶち破っとるやろと思うほどや。 鼻血で溶けてさらにパチパチしよるドンパッチ。 プーちゃんの痛がりようはもはや尋常やない。どうしたらええかわからへん俺らは、とりあえずプーちゃんを保健室につれていった。

『また、君たちか今日はどうし・・・』  両方の鼻の穴からパチパチと線香花火のように血を吹き出すプーちゃんを見て保健の先生が凍りついた。 『なにしたの!君たち!』 いつもは優しい…誰?先生が怒っている。 シュンとなる俺ら。 『・・鼻にアンパッチをつめました・・』  俺らはまぬけな答えを真面目にかえした。プーちゃんは鼻うがいをしとる。 『だれがこんなひどいことしたの!』  『・・プーちゃんです・・』  誰に怒っていいか困る先生。プーちゃんがアホすぎたんや。俺らは悪くない。どうやら怒られないですみそうや。

甘かったわ。俺らは学校にオヤツを持ってきた悪い子として、放課後、反省文を書かされとった。世の中の不条理を子供心に感じ、いらついた。俺はプーちゃんの反省文をのぞいてみた。 『俺がアンパッチを鼻につめたせいで、みんなに迷惑をかけました。保健の先生にも迷惑をかけました。なんでも鼻につめるのは悪いことだとおもいました・・・』

俺にはプーちゃんがなにを反省しているのかわからなかった。余談やけど数年前アンパッチは復活していたのだ。けど、パチパチ度はひかえめになっていて物足りんかった。 そのうち見いひんようになった。残念。





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最終更新日  2017.10.15 19:46:47
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