Laub🍃

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2010.10.31
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カテゴリ: .1次長

だから、全力で彼女の人生を支える犬になる。

「なあおじょーさま。俺は有能な従者だろ?」
「うん、いつもありが……べ、べつにそんなことないし」
「わはは!」

彼女は頭がおかしい。具体的に言うと喉元過ぎれば熱さを忘れたり冷たさに感じたり面白さに感じたりするレベルのおかしさだ。
だから僕は彼女を理解したくて翻訳したくて、異言語ーといっても方言レベルではあるがー通訳の機械なんかを造った。

突然みんなの居る所で全裸になり注目を集めアナウンスをしたかと思えば、突然恥ずかしがりタオルを被り妙な服を着たり。

行き場のない子供たちのサーカスカー…4階だてのそれで、3階で知り合いにあったらしく「これまでの恨み!」と蹴り上げるかと思えば結局止めてしまったり。
そのまま4階に上がって少女達と話をしたり。

少年…少年を男の娘化…とつぶやいていたかと思えばその相手が幼女だと言う事に気付き意気消沈して普通の接し方を始めたり。

対岸の教授を見られる特等席に座ったかと思えばぼーっとしていたり。
かと思えばコーヒーを注いでいる教授を助けたり。

学校代わりのトレーラーハウスの4階で、茶色の猫と黄土色の猫をふわふわと撫でていたり。

実際に僕が目の前で見たこともあれば、噂話で聞いたこともある。

「え?あーそれね、●●って言ったら勘違いされちゃって」

彼女についての妙な噂で、明らかに現状と異なっていることを問うたらそんな答えが返って来たこともある。

彼女について馬鹿にする目的で、
「あいつ道で金拾ったのに、その場にテープで張って帰ったんだぜ。交番に届けろよ」
「それ後で、誰も見てない時とりにいくつもりだったんじゃない?」

そんな噂話の生まれる瞬間を聞いたこともある。
とにかく万華鏡のように変わる彼女は、サーカスよりも不思議な存在だった。
悪意を持って見れば悪魔に。
善意を持って見れば天使に。

単純に見れば頭のおかしい人に。
穿って見れば頭の良すぎる人に。

そう見えるのが彼女だった。

彼女の手足として動きたかった。


腕は案外重い。

俺は彼女の手足となるため、彼女の手足を取った。





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最終更新日  2017.05.08 05:04:03
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