Laub🍃

Laub🍃

2011.04.17
XML
カテゴリ: ◎2次裏漫
同級生の芳井はとてつもなく愛想が悪い。
特に女子に向ける態度が壊滅的だ。大学生とは思えない。
仕方がないので正義感で生きてると言われるあたしが注意することになった。

「ちょっと芳井ー!」
「……」

ほら、欝々とした態度でじろっとみてくる。
こういう奴が将来犯罪を起こすのよ。

「あたしの友達泣かせたでしょ」
「人違いだ」

「知らん」

あーもーなにこいつ。こういう奴ほんと嫌い、人の気持ちを慮る回路が欠けてるんだろうなきっと。
190以上ある身長で高みから無表情で見下してくるそいつに苛立ちが募る。
身長と性別でマウント取れるとか思わないでよね。

「そんな言い逃れが通用すると…」
「ヨッスィーーーーーー!!!」
「!?」

突然轟音が響き、目の前から芳井の姿が消えていた。

「…え?え?」

いや、ただ突然追突してきた何かに押し倒されてただけだった。
……190以上のマッチョを?何が?


…人間だった。

「え…あの……」

「ちょっとヨッスィー!なんで人に断りもなく女の子と会話してるの!浮気!?ねえ!絶対不安にさせないからって言ったのは嘘だったの!?」

……え?

芳井とは全く逆、喋り倒すその女の子?にあたしも、…芳井も硬直してる。



地獄の底から響くような声に芳井はあ、とかう、とか返せていない。
芳井、あんたの嫁でしょ、何とかしなさいよ。

「そんな…そんなことするなら…もうだめだね…おしまいだね…」
「いや、待て、待て頼む」
「待たない!ヨッスィーの馬鹿!」
「いや俺の頬撮むとか髪の毛いじるとか好きにしていいから頼むからまた自傷すんのはやめ「……仕方ないなあ、ヨッスィーの表情筋も髪の毛もほっとくと強張ったりごわごわになっちゃうもんね」……あ、ああ、そうだな。ごめん」

素直すぎる芳井に呆気にとられるあたしたちの前で、芳井はその子に引きずられていく。
芳井はさきほどその子に追突された腰がまだしびれて立ち上がれないようだ。もしかしたらその子に合わせて敢えて立ち上がれないふりをしてるだけかもしれないけど。
ーかと思ったら、その彼女?さんがぐるりと唐突に振り返り、びくりとあたしの肩が跳ねる。

「……芳井に何か用事あったなら、代わりに聞きますけど?」
「…いえ、大丈夫です。自己解決しました」
「それならよかったです」

ちっともよくない顔でその子は去っていく。

あの何とも言えない欝々とした顔。
自分以外の何かに縛られている顔。
度を越したぶっきらぼうな態度。

……これまでの芳井の態度の諸々に納得が行った気がして、あたしは心の中で芳井に合掌した。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.05.12 00:40:03
コメント(0) | コメントを書く
[◎2次裏漫] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: