Laub🍃

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2011.05.04
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カテゴリ: ◎2次裏書
わたしにとってかわろうとするあの娘が嫌いだった。
わたしより後にやってきたのに、わたしより後におばあちゃんと出会ったのに。
全部あの娘が持って行く。

死んでしまえと思ったこともある。

あんな世界滅んでしまってせいせいした。


*******

不要な子供

*******


うじうじして、自分の意見を言えなくて。


目が覚めた時目の前に居た女の子は、過去の自分と似ていて、だからいじめた。


ライバル?向上心?

…くだらない。


そう思ってあの場所を出たわたしを、懐かしい背中が待っていた。


素直になれないわたしを、その人は包み込むようにして穏やかにしてくれた。
その人が困っている時、わたしもいつか包み込んでやるわと決心したのが、12の時のこと。





あれから、1年、4年経った。
わたしのアタックにその人はまだ揺らがない。

せめて息子が一人前になってからやとか言ってるけど、うかうかしていたらあの ひと にとられてしまいそうだから嫌なのよ。








わたしの力は、あの娘ほど強くない。
だからあの娘にその行く先を訊こうかと何度か思ったけど、それでもやっぱりプライドが邪魔をした。

「心配することはないですよ」

……訊かなくても向こうから察していってくるのがむかつく。



「……分かってるわよ。あの人にそんな度胸ないもの」

あと数年もすればイチコロよ。
ふふ、と笑うあの娘にイラッときて、つい意趣返しに口を開く。

「……それよりも、あなたはどうなの。想い人が行方知れず、死んだことになってるなんて……心配じゃないの?」
「…優しいですね」
「べ…別にそんなんじゃないけど!?」

全く、調子が狂う。

…あの娘といい、話題のあいつといい、何か詳しく知りたいわけでもないけど、勝手にそこかしこから情報が入って来る。

唯一の同年代の男も何か複雑そうな顔をしていたけど。
うまくフォローしてあげるほどわたしは優しくも大人でもない。

「あの人は……生きていますし、そこでは、この村よりは居心地がいいようなので……もう、いいんです」
「……」
「……」
「最近生まれたあいつの子供」
「……」
「やっぱり、居場所がないのかしらね」


わたしは本家、あの娘は分家。
たったそれだけの違いですら、扱いと期待に差が生まれた。

苗字の残り少なくなったこの世界では、どうなるのか。

「……作ってあげたいですね」
「別に。わたしは誰だろうと子供は苦手だからどうでもいいわ」
「ふふ。……でも、納得いかない、嫌な目に遭ってるのを見たくないって顔です」
「……」

生まれた時からの扱い。
貰えたはずのもの。
持っていたけど奪われたもの。
恨みは全て、持っている人に向かう。

わたしは自分が好きじゃない。
特に、昔の自分は。

だから、そんな姿、もう見たくないと思うだけ。

「……目障りなのよ」





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最終更新日  2017.11.13 16:44:22
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