Laub🍃

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2012.09.27
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カテゴリ: .1次メモ
Deppression


「いやー愛されてんじゃんレイズよ」
「全く嬉しくないですね」
 強い奴をぶっ潰すのが大好きな後輩は、逆に弱い奴が苦手らしい。触れるのも苦手なんだとか。壊すのが怖いんだとか。俺には理解できない。

「先輩こそ何人も取り巻き居るくせに。今日は珍しく居ないみたいですけど」
 また飽きて処理したんですか?と冷たく口角だけ上げ、膝の上にもたれかかる手下を撫でるレイズ。
 同じく俺も口角だけ上げといてやる。
「いや、今回は違うね。10人中7人が裏切りやがっててよ」
「残りの3人は?」


 よく言う。
「はいはい。彼女らがまた尋問され始めた時の絶望の表情が目に浮かびますよ」

 ご名答。あんまり続けて虐めてると感覚が麻痺するらしく、弱い奴が強くなっちまう。
 程度をわきまえ、弱者は弱者である内に楽しんでおかなくちゃならない。

「お前も見てみろよ。一回やったら癖になるぜ」
「遠慮しておきます。私には強い者しか面白いと思えないので」

 その言葉にぴくりと反応するレイズの手下。
 発言を許可されるまで黙っているつもりなのだろうが、言いたいことは滲み出ている。

「……ああ、大丈夫だ。お前がもし強くなったら、もう一度喧嘩してやるよ。それに見合った名前をつけてやる」
「お前ってネーミングセンスねぇよなぁ」
「見たままを付けただけですから」



「いつかボスを喧嘩で負かしたら、ボスにも名前つけんの?」
「当然です。……あぁ、先輩は心配しなくても大丈夫ですよ。元から戦っても楽しめそうにないと分かってるんで」

 余計なお世話だ。

「はいはいありがとよ」

 可愛くない後輩とその忠犬に背を向け、俺は無実だと判っている3人の元に歩き出した。





強いものいじめが好きな後輩と弱いものいじめが好きな先輩。
後輩の部下になると強くなるまで育てたのち叩き落され、
先輩の部下になると弱くなるまで甘やかされたのち切り捨てられる。





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最終更新日  2015.10.04 21:18:17
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