Laub🍃

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2013.12.04
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カテゴリ: .1次題
ある家に黒犬と黒猫が居た。
黒犬は吠えまくる犬だった。
特にからかわれた時など手が付けられなかった。
だから子供達から怯えられていた。
だが黒犬は面倒見のいい犬でもあった。
夜中子供たちが腹を出して寝ていると、毛布をかけてやる。黒犬はそんな犬だった。

黒猫はと言えば、そんな黒犬の様子を遠目で見つつ、たまに黒犬のもとにおもちゃをもってきてやったりしていた。そして代わりにとでもいうように黒犬の貰った肉を貰っていた。黒犬は苦い顔をしながらも、それを拒みはしなかった。

しかし黒猫は先に逝ってしまった。
飼い主の不注意が原因だった。

飼い主は絶望的に生き物を飼うのが下手だった。

何年も、何年も経って。
黒犬は一匹だけ生き残っていたが、年を経て、次第にぼけつつあった。

日がな一日誰も居ない所に吠えたり、誰かが居ると噛みつかんばかりに襲ってきたり、かと思えば疲れて眠ってしまったり。

その様子を子供達は情けなく、そして哀れに思った。

けれど黒犬は先に逝っていた黒猫を見ていた。
黒猫が黒犬をからかい、まだまだ生きるわいと返された時ににやりと笑って消え、そうして黒犬の気力を奪っていく。
けれど、きゃんきゃんと吠える黒犬は、その時だけはとても楽しい思いをしている。
それがたとえ自分の独り相撲であろうとも。




黒犬は、顎を突き出して眠る。

思ったように行かなかった一生と、これから黒猫とともに歩むであろうふわふわとした道を想い、黒犬は少し笑った。





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最終更新日  2017.11.15 01:46:09
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